エピソード記憶における時間情報の処理に関連する神経基盤とその障害

岩田沙恵子先生と、月浦崇先生の文献になります。

BRAIN and NERVE 69(11):1303-1309,2017

この論文より学んだことを少し記載させていただきます。

◯ エピソード記憶とは

私たちが日常生活の中で個人的に経験する出来事の記憶
出来事の内容に加えて、その出来事の時間や文脈情報を伴う記憶と定義されている。

「朝ごはんを家族と食べた」

これには、朝食時の風景の視覚情報、朝食に関連する嗅覚や味覚の情報。
家族との会話に関する聴覚情報など様々な要素が含まれている。

時間情報の役割は多面的なものであり、「連続して生起する出来事の記憶の順序を整理する」、「似たような出来事の記憶を区別する」「同一のエピソード記憶に含まれている要素を統合する」少なくてもこの3つの役割に分類されることが考えられる。

◯ エピソード記憶における時間情報処理に関連する脳領域

1. 外側前頭前野領域
ここが障害されると、親近性判断などの時間順序判断が障害されることが報告されている。
単語や事象の再認や再生の成績は、健常者とあまり変わらない。
しかし、記憶した単語や事象を時系列に並べる課題では、健常者を優位に下回った。

2. 前頭葉眼窩部
ここが障害されると時間文脈の障害見られる。
エピソード記憶に付随する時間文脈の情報を手掛かりにして連続するエピソード記憶をそれぞれ異なるエピソード記憶として区別する役割を持っているとことが示唆される。

3. 側頭葉内側面領域
この領域の特に海馬は、連続した記憶を同一時間に生起しているエピソード記憶を関連づけ、統合することによって一つのまとまったエピソード記憶を再構成して想起することに関与していることが示唆される。

以上を整理すると・・・

エピソード記憶における時間情報の処理には、
①出来事の記憶の順序を整理する。
②複数の出来事を区別する
③1つの出来事の記憶に含まれている複数の要素を統合する
以上の3つの側面があり、それぞれ・・・

①外速前頭前皮質
②前頭葉眼窩部
③海馬を中心とする側頭葉内側面領域
がそれぞれ関与することが考えられている。


それでは今日はこんなところで!


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