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老人区議会議員のモラルハザード ~もしくはゆで蛙の楽園~

自民党議員の白石正輝が区議会で放言を繰り広げたことは既報の通りである。本人は「たとえ話に使っただけだ」と言い張るが、冗談やたとえ話にこそ本人の本音や差別意識が強く表れるので、白石正輝がLGBTに強い嫌悪感や恨みつらみ、何らかのトラウマを抱えている可能性は極めて高い。

足立区の住民が100%LGBTになれば確かに足立区は滅びる。しかし、これは自由な移動の可能な日本では荒唐無稽なたとえ話でしかない。あり得ない話で混ぜっ返すのは政治家のやるべきことではない。

翻って自民党区議会は厳重注意で除名も辞職勧告もしないらしい。これは区議会自民党の体質の問題だからおいておいて、発言が撤回されないのはこの区議会議員が78歳だからである。

78歳なら常識的に考えればすでに政界引退していてもおかしくない。国会議員ならいざ知らず、区議会議員で80歳近くまで粘る理由は多くない。なのでこの発言は「どうせ次の任期はない」から出てきた老人の与太話である。

議員はどんなものでも、当選後の活動を定期的に評価されて次の選挙に勝とうとする。これは活動を後天的にアカウンタビリティーするということで、1期限りでやめる議員というのは「モラルハザード」を起こすのでよくない。アカウンタビリティーを担保できないということだ(アカウンタビリティーはよく説明責任と翻訳させるが間違っている。正しくは「説明責任に耐えうる行動をする規範」だ)。理想としては前任者の信任投票と新しい議員候補者の選択投票は分割して、前任者の活動を信任できなければ議員年金などのインセンティブを剥奪するのが理想的だが、現実はそうではない。再選だけが議員のアカウンタビリティーを担保する方法なので、次の選挙には出ない議員は「無敵の議員」となってやりたい放題してしまう。モラルハザードの局地で、例えばこれで世論を二分するような決議案があって決議を行ったとしても次の選挙にでないので関係がない。こういう特攻隊みたいなことができる老人候補は「無敵の議員」になりやすいので選挙であらかじめはじくのが望ましい。

老人議員は経験がある、知識があるなどというが、引退直前の暴走は危険過ぎる。60歳後半あたりで引退させて「老いては子に従え」をさせるのがモラルハザードを止める鍵だ。しかしそれができない。それは日本の有権者の半分近くがすでに老人だからである。この国が滅ぶのはLGBTによってではなく「後世に責任感がない老人のクレームと暴走」によっての可能性の方が数百倍高い。若者はもう少し危機感を持ったほうがいい。老い先短い政治家は危険だ。

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