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【”原状回復工事”は『”原状”の共有が大切ですよね』という話】

最近、割とよくお話しを頂くのは、クライアントさんのオフィスや店舗の移転などで現在の建物施設からの退去に伴う”原状回復工事”についてのご相談。

ほとんどのご相談が「(ビルオーナー側の依頼した)施工会社からの見積が来ているんだけど、金額の妥当性を見て欲しい。」というもの。
そして、その大半が「こんなに掛かるとは思っていなかった。ビルオーナー側と揉めている。」と。

更に「そもそも、”原状回復に該当する見積になっているのか(要は、”余計な項目も付加されていないか?)?”の確認もして欲しい。」と。

ここで少し不思議なのが『金額の妥当性はともかく、内容についての確認と合意はビルオーナー(賃貸側)とクライアントさん(賃借側)で、事前にやらないのかな?』ということ。

よくある話の流れとして、テナント(賃借側)から退去を申し入れて、ビルオーナー(賃貸側)が了承。
ビルオーナーから施工会社を通じて、原状回復工事についての見積が提示される。
この時点で、テナントの金額想定を超えて、驚いてしまう、という感じかと。

ここで『問題だな~』と思うのは、テナントは退去を申し入れた時点で、原状回復工事費が掛かるという認識は持つと思うんですが、それが”金額の大小”の意識しか無いということ。
しかも、恐らくそれほど根拠のない「これぐらいだろう」、「これくらいなら出せるな」といった希望的観測的な金額感をイメージしてると。

このように、『金額だけに意識がフォーカスされているのが、問題なんじゃないかな?』と思います。

前述のように、”内容についての確認と合意”ができていれば、例えビルオーナー側で依頼した施工会社の見積でも、少なくとも内容についてのブレは抑えられるはずです。
余計な項目を計上していれば、すぐにわかってしまうので。
そうであれば、その見積に対して金額の妥当性を検証し、金額に疑いがればネゴすることも非常に効果的で意味のあることになります。

ただ、そうは言っても、原状回復工事の内容の妥当性を確認というのは、実は意外と難しいんですね。
極論すると、建築技術者でも難しいことがある。

何故かと言えば、根本には「”原状回復”とはどのようなものなのか?」「契約書(賃貸借契約書)にはどのように謳われているのか?」という法律に関することがあるからです。

『契約に基づいた原状回復工事の内容』

これが、原理原則になる訳です。

しかし、前述の通り、これをテナント(賃借側)だけで対応するのは、正直難しい面があるかな、と思います。

ですので、テナントの退去を決定したクライアントさんには、法律の専門家と建築の専門家と一緒にチームを作って、このような原状回復工事プロジェクトを進めていくことをお勧めします。

契約に基づく原状の共有がなされていない状態で、建築技術者に見積金額の妥当性の検証を依頼されても、結局、”契約に基づいた原状の確認”に立ち返ることになると思うので。

原状回復は賃貸借契約という約束事のひとつなので、改めて「自分たちがどんな約束をしたのか?」を専門家の力を借りながら、確認して方向性を決めた方が良いと思います。

”原状回復工事”は『”原状”の共有が大切ですよね』というお話しでした。

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