美容室で初めて髪を切らなかった日

ヘアドネをした友人

昨日、久しぶりに会う友人とcatch upした。オンラインなのだけど。
画面に映る彼女の変化に驚いた。
ロングだった髪が、ボブになっていたのだ。

髪!!切ったんだね!!と興奮気味に聞くと、
ヘアドネーションしたの😄!と教えてくれた。
首の後ろがスッキリして、とても身軽になったと話す姿がなんとも清々しく、彼女らしかった。

ヘアドネーション。知っていたけど、周りの友人でやった人は初めてかも。
コロナでしばらく会わない間、彼女の髪がかなり長くなったとは聞いていたけど、なるほどそういうことか。ドネーションしたのか。

英語ではHair Donationと綴るが、文字通り毛髪を寄付することだ。
寄付された髪は、病気などにより毛髪の生えない方々のためのウィッグになる。

「ドネーションをするには、とても長くないといけないらしいよ」このようなことを聞いたことがあった。
調べたところ、寄付を受け付けている団体により長さは異なるそうだが、NPO法人HEROのページには31cmが必要と書いてあった。

このフルウィッグを作るために必要な髪の毛の長さが31cm以上なのです!
〔中略〕
15cm以下ですと髪の毛が立ってしまい、ヘアスタイルの維持ができません。そのため、フルウィッグを作る時には、31cm未満の髪の毛は使うことができないのです。
また31cmの髪だけでは、女の子用のウィッグは作ることができません。
31cmの髪の毛だけでは、長さが15cm程度のフルウィッグとなり、多くが男の子用になってしまいます。
〔中略〕
私たちとは異なる団体が15cmから募集しているので、混同されている方が多いのだと思いますが、31cm未満で出来るウィッグは、頭頂部に植毛をしないウィッグで、常に帽子をかぶって使用するインナーウィッグと呼ばれるものです。

NPO法人HERO「どうして31cm以上なの?」
https://hairdonation.hero.or.jp/why/
閲覧2022.3.19

若干、男の子・女の子という表現に違和感を感じるが。
それでも多くの男の子は短い髪がいいのだろうし、多くの女の子は長い髪がいいんだろう。(毎回このように、男女の趣味趣向の表現に違和感を感じては、そうは言ってもと自らを諭している。)

脱毛症状などによりウィッグを必要とするお子さまの多くが希望しているのは、セミロング、ロングヘアのフルウィッグです。
〔中略〕
ドネーションヘアの長さとウィッグ仕上がりの目安は
・31センチはショートウィッグに
・40センチはボブウィッグに
・50センチはロングウィッグに
・60センチはスーパーロングウィッグに

JHD&C よくあるご質問「なぜ、髪の毛の長さは「31cmから」なのですか?」
https://www.jhdac.org/qa.html#DONOR_10
閲覧2022.3.19

ウィッグ地肌となる生地に植え付けるため、31cmの長さの髪でさえ半分の長さとなり、ショートヘアになってしまうのだそう。
それは髪が長ければそれだけヘアアレンジも楽しめる。ロングヘアの需要は高いだろう。

これまでに人生において、頭を触れば髪があるのは当たり前だった。しかし、ロングヘアの需要があるということを知って、必ずしも当たり前でないことを実感した。
髪が生えていることを、ありがたく思った。

髪、伸ばそうかな

私は、いつからか、なぜ男性たちは髪を短く切っている人が多いのか疑問に思うようになった。
「メンズは短髪」。これまで生きてきた中で、そんなことは当たり前すぎて、疑問にすら思わなかった。けど、いつだろう。きっかけはヘアカタログを見ている時だろうか。

(※今回は、敢えてレディース/メンズという呼び方をさせていただくが、)「レディースのロング」といえば、いわゆる長い髪を指す。
セミロング、スーパーロングなど、ロングの中でもレンジがある。
しかし、「メンズのロング」といえばどうだろう。
「メンズ ロングヘア」で画像検索すると、レディースのボブくらいの長さから既に「ロング」なのがわかる。

これは、果たして"ロング"なのか。それとも、"ショート"なのか。
"メンズ"だから髪が短いのか。それとも、"髪が短い"からメンズなのか。

もう、なんかよく分からん。

なんでメンズだったら、髪短くないといけないん。
なんで髪短かったらメンズなん。ボーイッシュなん。

少し脱線するが、男性が"ロング"ヘアのカツラを被り、化粧をし、スカートやワンピースを着用するのが"女装"と呼ばれるのは、違和感がある。
女装、男装、そんなものそもそもないのでは。
(cross dressingについては、また別の機会にnoteに書きたいと思う。)

かくいう私も、小中高大、現在に至るまで、これまで"ショートヘア"で過ごしてきた。
いや、一度大学を卒業する直前に、いわゆる"ロン毛"をやってみたことがあるが。ロン毛と言っても、肩にかかるくらいの長さだ。(≒ レディースのボブ ≒ メンズのロング)
当時、やはり今と同じように髪の長さに対する考えに対抗して、伸ばしてみた。(のだったかな。)

しかし、大学卒業と就職を前にし、髪の毛を切った。

私は、4月からお世話になる就職先で「営業」として採用されていた。
「営業」のような部署では"ロン毛"が歓迎されないことくらい、わかっていた。
もちろん違和感は感じていたが、仕方ないと割り切った。割り切らざるを得なかった。
そして大人しく"ショート”にした。

"長い髪"の自分からの卒業。
それは、さながら学生から社会人になること、社会に出る大人になるという覚悟を持つことそのものを象徴しているような気がした。
ちょうど今くらいの時期だったかな。

以来3年の間、定期的に髪は短く切ったし、カラーもパーマもかけることはなかった。
仕事をする上で、スーツを着る上で、お客様と接する上で、この髪の方がいいから。
それはなぜなのか、特に疑問を持たず。
いや、少しは残念に思った気持ちも、モヤッとした気持ちもあっただろうか。

しかしこの度、社内公募でマーケティングの部署に行けるかもしれないという可能性が出てきた。
まだ正式な決定ではないし、面接を受けている段階なのだけど、「営業」という職種よりも、いくらか自由が効きそうなポジションである。
(本来ならば、職種が見かけを左右することなどあるべきではないのだが。)
もしかしたら、学生の時のように髪が伸ばせるかも。
髪色も自由に変えられるかも。
いや、この際あの時よりももっと伸ばしてみたいかも。
そう思った私は、毎月2ヶ月ごとに通っているサロンで、初めて「髪を伸ばしたいので、今回はあまり長さを切らないでほしい」という要望をスタイリストに伝えた。
スタイリストは少し驚いていたが、要望を聞き入れ、本当に長さを切らないでいてくれた。
(思えば、この日はほぼシャンプーとトリートメントで5,000円、、。一体、何をしにいったんだ、私は。)

SDGs目標5と髪の長さ

ジェンダーの平等は、SDGsとか社会改革とか、大きく捉えられがちだ。
しかし、私が思うにこれは、
"不可能ではない"のに、なぜか"不可能になっている"ことや、
選べるはずの選択肢を"選べない"、もしくは"選ぶのにとても勇気が要る"ことなど、
それぞれのindivisualsに選択肢を増やしていくこと、不自由さを解放し、身近だが一人ではなかなか難しいことに挑戦するのを応援し、背中を押してあげることなのではないかと思う。

ロングヘア。
私にとって、これまで遠く、縁のないものだと感じていたもの。

しかし、それは思い込みだったのかもしれない。
あるいは、そう思い込ませられていただけなのかもしれない。

誰もが、本当は自身の"長い髪"をなびかせて、
たくさんの可能性を両手に持って、
目の前に広がる多くの選択肢のなかから、忖度なしに選ぶ自由を与えられ、
解放され、
存分に自分を表現し、謳歌したいはずだ。はずなのだ。なのではなかろうか。

かなりヘアドネの話から飛躍したが、
私は髪を伸ばしてみようと思う。
そして、伸ばした髪を楽しんだ後は、
ぜひドネーションをしたいと思う。

自らに、髪があることに感謝をして。
自らに髪を伸ばせる力があることに気づいて。
自身を自由に解放して。

私の髪によって、他の誰かのchoicesが増えるのであれば、
これ以上嬉しいことはない。
まずは、31cmを目指そう。
ロングヘア、初めてだからわくわく。
たくさんのアレンジができることが、今から楽しみだ。





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