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「スライムヒーローズ」の製作記録、365日

おはようございます。

ゲームマーケットフェイズ0に絶賛出展中のボードゲームです。

Twitterフォロワー数「0」、Youtubeチャンネル登録数「0」、完成までにかかった日数「365日」、プロトタイプ製作費「50万円

ガクガク・ブルブルですが、まずはその一歩をnoteで踏み出します。

この記事では、ボードゲームの作り始めから完成までを書きました。是非、最後まで読んでいただけると嬉しいです...(ガクガク・ブルブル)

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デザイナーならボードゲームを作れる

それは、1つのnote記事から始まりました。

どうやら、日本にはボードゲームのマーケットがあるらしい。それも人気らしい。頑張ればマーケットで400個近く売れるらしい。それでも製作費を考えるとトントン。

惹かれたのは、デザイナーならボードゲームをたった1人で作れるというところでした。ルール・説明書・ボード・カード・チップ、そしてパッケージデザイン。

大学を卒業してWEBデザインを10年、デジタル一筋。プロダクト製作やルール作りを思い浮かべると、この壮大なプロジェクトに挑戦してみるべきだと思い至りました。

スプラトゥーン2をヒントにボードゲーム製作開始

Nintendo Switchのゲームソフト「スプラトゥーン2」

スプラトゥーンは、会社仲間とフェスに参加したりとハマっていました。ランチではスプラトゥーンの話題でもちきりです。

ボードゲームの内容は、スプラトゥーン2のように白熱する!オセロみたいな塗りゲーすぐに製作にとりかかりました。

第3章 キャラクターはスライムで決まりやで

スプラトゥーン2をボードゲーム化するなら、イカのキャラクターに、武器は銃で、インクで塗って潜ってダッシュして・・・アイデアが溢れます。キャラクターまでパクってしまうと後々尾を引いてしまいます。目をつけたのがスライムでした。

スライムといえば、ドラクエ。スプラトゥーン2のゲーム性にドラクエのキャラクター性をミックスすれば、新しい世界観になる。タイトルは、スライムヒーローズ。様々なスライムたちが、ボード上で増殖しながら戦う。ゲームのモチーフが決まりました。そしてキャラクターラフ案。

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キャラクターのブラッシュアップを重ねます。イラストは学生以来のチャレンジでした。合計8体のイメージが完成しました。

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左上から「クロス」「ウォール」「エックス」「ブラスト」「ウイング」「スナイプ」「ニンジャ」「ボマー」。中二病がほとばしります。ドラクエのバトル鉛筆を自分で作るあの感覚。

キャラクターデザインは、カードのスペシャル能力をベースに具現化させました。スプラトゥーン2のスペシャル「スーパーチャクチ」を使うキャラクターは、スーパーチャクチの形というようなイメージです。

メジャー感・王道感の演出も外せません。どうせ売るならヒットした時にとことん伸びるように。ポケモンのような、少年の心にズシリと刺さるプロダクトを作りたい。ビジュアルもどんどん固めていきます。

当初のビジュアル案。

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そして「ゲームマーケット2020春」の出展を決めました。

プロトタイプ製作

さっそくプロトタイプを作って、ルールを詰めていきます。シャドウバースをプレイしていた影響もあり「TCG x ボードゲーム」でいくことに決めました。

ルールを作る上で特に重要視したのが、運の要素。

シャドウバースにもスプラトゥーンにも言えるのが、最後まで勝敗がわからないハラハラ感。運のバランスがとてもよくできています。

シャドウバースはカードの引き運、スプラトゥーンはその時々のマッチ運に加えデスペナルティの影響、接戦による押し引きのリズムが絶妙です。

目指すのは、eスポーツさながら、BoardGameスポーツ。このハラハラドキドキ感、観戦者も楽しめるを目指していきます。

ルールの方針がどんどん決まります。あとは、カード枚数やカード効果、塗り広げ方、スペシャルの導入など、とにかくテストプレイです。

最初に完成したプロトタイプ。

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このあと、もう一回やろうや感に持っていくまでに、ルールは1年近く精査をしていくことになります。2019年 暑い夏が始まりました。

デッキは完全構築型

ここでルールを説明させてください。

毎ターン、カードを1枚引く。移動&カードを繰り返す。カードを使い切ったら終わり。キルされても復帰できる。多くの色を塗ったほうが勝ち。スプラトゥーンで2いうところの、ナワバリバトルの2人対戦版です。

シャドウバースの魅力は、カードを集めてデッキを構築するところ。スプラトゥーン2の魅力は武器を選んでギアをカスタムするところ。

TCGは量産不可避のためコスト面ではリスクとなります。また、このゲームはボード攻略のアクションに集中します。スプラトゥーン2ぐらいの能力感を考えると、、、デッキは完全構築型がベターだと判断しました。

カードデザインも進めていきます、下記ラフ案。

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デッキは構築型とはいえ、すぐに覚えられるレベルまでカード枚数を減らしたいと思いました。理想は、ゲームに飽きて辞めても思い立ったら誰とでもすぐにプレイできる、UNOのようなゲーム。

ブラッシュアップしたカードデザインです、1デッキ6種類、16枚。一回プレイすれば全カード覚えられることを意識しました。

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キャラ選ぶやろ。で、キャラごとに必殺技が決まってるねん。相手とのカード差はこの必殺技だけや。あとは丸々同じカードで構成されるっちゅうわけや。これで飽きずにホンマにプレイできるんか?

テストプレイ開始

プロトタイプではボードにマスを書いて、色紙を貼り合わせたカラータイルで作りました。コマにはミシン糸が大活躍。

ルールが詰まってきたら、テストプレイも進めていきます。

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4人対戦である、2v2でのチーム対戦も視野に検証していきます。

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ボードも変えて、ステージとしての楽しさも追求。

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ある日のテストプレイを終えての同僚の一言が心臓をえぐります。

タイルひっくり返すの面倒じゃない?これデジタルで作ったら?

なるほど、、、でも、、、ボードゲームって1つ1つの工程は面倒でもそれがゲーム全体を形作っているわけで、、、、、

すでに半年が経過していました。プロダクトデザインにも真剣に向き合わなないといけない頃合い。タイルをひっくり返す行為をストレスではなく、楽しみや心地よさに変えられるか、ここにチャンスがありました。

どうやって、タイルひっくり返すか

どうやって、ひっくり返すのか?最初に思いついたのは、タイルの紙を厚くしての解決方法でした。一定以上厚くすれば、ひっくり返せるはず。

さっそく、ボードゲームマーケットに行き、新作コーナーでゲームをあさります。衝撃の事実が発覚!?

厚いタイルは、厚紙をカットする時に、その刃があたる面はちょっと凹む。つまり、表と裏でひっくり返しやすい面と、ひっくり返しにくい面ができる。

ちょっとしたチップとして使うなら、このくらいの差は問題ないかもしれません。でも、このゲームの性質上、頻繁にひっくり返しを行います。しかも、爪が長くても短くてもひっくり返せないといけない。

ずっと順調だったゲーム作りに、暗雲がたちこめます。

手当たり次第相談

紆余曲折の上あたりをつけたのが、ボードに点を打つことでした。1マスに9点、全56マスに504点のふくらみを打つ。これができれば、タイルが薄くてもひっくり返せる。はず。

結論からいうと、UVインクで厚盛り加工にすればこの状態を作れることが分かりました。計算では0.3mm以上の厚盛りが必要です。

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全国の厚盛り加工ができる印刷会社に連絡していきます。

目をつけたのが、点字印刷でした。点字には0.3mm以上の高さを出さないといけないという業界のルールすらあります。さらに、点字にはUV厚盛り印刷という技法も使われています。萬印堂さんに相談です。

点を小さくしたらいける、それでも厚盛りは0.2mmが限界。湿度の影響もあるから、前後するリスクもあるで。テスト印刷は10万ほどかかる。

これで、ついにひっくり返しの実現がみえてきました。

ひっくり返しのタイルも作るで

次は、ひっくり返しに使うカラータイルでした。テストでは薄くてツルツルはダメというは分かってました。

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紙という紙を切り刻んでいきます。

薄い、下を点字で盛り上げても、タイルが指の腹にひっかからない。ツルツルだと、タイルが滑りすぎて、他のタイルにぶつかってしまう。

これは、ヴァンヌーボVスノーホワイト275kgでタイルを作れば、うまくいくことが分かりました。厚くてざらざらな紙。これ一択でした。

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カラクリは、テコの原理です、指でタイルをいかに持ち上げられるか。この高さで勝敗が決まります。

フィギュア製作

無機質なコマだと、ゲームの世界に没入できない。厚紙を組み合わせてキャラを作るか、アクリルコマでいくべきか、、、スプラトゥーンのキャラクターでプレイしてきただけに、コレジャナイ感をどうしても拭えません。

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目指すは、任天堂さんのamiibo(アミーボ)クオリティ。

コストとの戦いでした。特殊加工ボードに、特殊形状タイル、すでにコストは跳ね上がっています。これに加え、フィギュア2体。。。

調べたところ、レジン素材で量産すれば、多少コストを下げられることがわかりました。ダメ元でフィギュア制作会社に発注しました。

フィギュア完成

設計図です。

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制作会社は、設計図をベースに粘土で立体化してくれます。

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着色して完成。まだプロトタイプですが、 ほぼスライムキャラクターを再現できています。これでゲームの没入感が増しました。

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化粧箱完成

耐キズ用マットPP加工で製作。マット加工なのに引っ掻き傷がつきません。

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これはオフセット印刷です。任天堂感、スイッチ感、スプラ感、王道ゲーム感、キッズのハートを鷲掴みする感、それに加えプロダクトの高品質感と、目指したい雰囲気にもっていきました。

ボード&タイル

A2サイズを4分割で。ボードもタイルも特色刷りで発色コントロールをしています。ボードにはUV厚盛り加工をほどこし、タイルのひっくり返しを実現させました。この小さく見える点がUV厚盛り加工です。

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ボードもタイルもフィギュアも特色インクのため、この写真同等の発色を実現できています。インクの発色の良さは、スプラトゥーン2の再現を狙う上でも、外せないポイントでした。

最後にカード

17枚を2セット。実際には16枚のカードを使ってゲームを戦っていきます。初回キャラクターは「クロス」と「ウォール」です。

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カードはオンデマンド印刷のため発色とは大きくズレています。あらためてデザイン調整し、オフセット印刷で仕上げます。

コロナ襲来

東京ゲームマーケット2020、イベントぎりぎりまでにプロダクトを間に合わせ、反応をみてクラウドファンディングに進む予定でした。

結果、コロナ収束までボードゲーム製作を寝かせることとなったのです。

ゲームマーケット フェイズ0

6月上旬に、ゲームマーケット初のオンラインイベント「ゲームマーケットフェイズ0」の開催連絡がゲームマーケット事務局からきました。

秋の出展を目指しボチボチ準備を始める予定でしたが、この突然の連絡に強引にも参加することを決めました。

6月27日/28日のオンラインイベントでは、プロモーション動画やプレイ動画をオンラインブースで流します。ライブ動画も、間に合えばあるかもしれません。1分だけでも見にきてもらえたら嬉しいです。

最後まで駄文にお付き合いいただきありがとうございました!!!それではオンラインイベントで会いましょう!


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