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浦和レッズ 記事まとめ

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#フットボール

ボール保持時のSBの影響力

現代サッカーにおいてボール保持時のSBの振る舞いは多様化している。WG的にワイドの高い位置に張り出すSBもいれば、内側に入ってボランチような振る舞いをする『偽SB』などSBに求められる役割は重要性を増している。 第11節の川崎vs浦和の試合は両者共にここまで思うように勝点を伸ばすことができていない"苦しみ"の部分がよく現れた試合だったように感じられた。大きなポイントとして浦和のSBの振る舞いはもっと改善できる部分であり、この試合の中でも良い場面と改善が必要な場面があったので

マーク原則の綻び

守備において『マーク』は欠かせない要素の一つである。相手にゴールを決めさせない、パスを出させない、ターンさせないためにはマークが重要になってくる。攻撃側は相手のマークを上手くかわしながら攻める必要があり、マークを外したり、マーカーとのデュエルに勝つ必要がある。 今回は浦和vs福岡の試合から良い攻撃をするためのマーク原則の攻略法についてまとめていく。 緻密な設計の3-4-3プレスまず試合の流れの中で浦和の4-3-3のビルドアップに対して、福岡の3-4-3のプレスという構図が

Jリーグとの違い、世界との差

0-3 アジア王者として戦った浦和レッズはヨーロッパ王者のマンチェスターシティの前に、力の差を見せつけられる結果となった。 日本代表の飛躍が注目される中で、Jリーグのクラブが欧州のトップレベルを相手にどれだけやれるのか試される試合だったが、『世界との差』を痛感させられる内容だった。 どこに『世界との差』があったのかまとめていく。 シティの可変システムvs浦和のコンパクトな守備シティのボール保持では4-1-2-3のシステムから、RCBのストーンズが前に出てロドリの隣に並ぶ

浦和レッズがマンチェスターシティに勝てる100年に1度のチャンス

日本ではあまり報道されていないが、日本時間12月20日深夜3時(現地時間19日21時)に行われるクラブW杯準決勝 浦和レッズ対マンチェスターシティで、色んなことを考えてこの条件下での試合なら充分に勝てる理由があるなと思うので緊急でひさひざにnoteに殴り書きしてみた。あまり、試合まで時間がないけれど、ぜひ、目についた方に見ていただければと。 マンチェスターシティは本気ではない。 ヨーロッパのクラブはあくまでも自国リーグ、ヨーロッパチャンピオンズリーグが優先。クラブW杯はオマ

対5バックのSBの高さ調整と効果

1-0 世界一のクラブを決めるクラブW杯に今年は浦和レッズがアジア王者として参加して、北中米王者のクラブレオン(メキシコ)と対戦。堅守を保ちながら後半にシャルクの1発で勝利をもぎ取り、浦和がヨーロッパ王者マンチェスター・シティが待つ準決勝へと駒を進めた。 個人的には戦術のディテールで浦和がクラブレオンを上回り、それが結果に反映されたように感じられた。では、どのような差が両チームにあったのかまとめていく。 3つの5バック攻略法クラブレオンは攻撃時には3-2-5となり、守備時

モダンサッカーのセオリー

2-3 ルヴァンカップ決勝と同じカードとなった浦和レッズ対アビスパ福岡の一戦は福岡が逆転して勝ちきった。 この試合では両チームがシーズンを通じて積み上げたもの、そして積み上げられなかったものが顕著に現れた試合だった。 埋められないスペース基本的にサッカーのどのフォーメーションでも埋められないスペースというものが存在する。福岡は5-2-3の守備ブロックからトランジションで前に出ていく型を武器に今シーズンは飛躍の一年となっている。 そんな福岡の5-2-3のブロックに対して浦

『個』は組織を破壊する

0-0 真っ赤に染まったカシマスタジアムは試合開始前には両チームのサポーターによる大声援が鳴り響いていたが、試合終了直後は静寂に包まれた。 この試合は両チームの守備意識の高さが目立った一方で、攻撃面での物足りなさも垣間見えた。そんな両チームの攻防についてまとめていく。 リソースの割き方この試合で鹿島の攻撃を牽引したのは紛れもなく垣田だろう。垣田は鹿島の攻撃のコンセプトにおいて欠かせない存在となっている。 鹿島は4-4-2のシステムでFW垣田が最前線でターゲット役になった

4-4-2対人ブロック

0-2 浦和対浦項の一戦はKリーグ王者が力を見せつけ完封勝利。浦和は浦項の人を捕まえる4-4-2ブロックの攻略の糸口を見つけられず得点を奪うどころか、チャンスを作ることすら苦労した。 今回はそんな浦項の『人』を基準にした4-4-2の守備組織に注目していく。 『人』を基準とした4-4-2ディフェンス浦項は4-4-2の守備陣形から『人』を基準に守備を行っていた。例えば、下の図のように2トップは1stDFとして浦和の最終ラインからボランチへのパスをブロック。2列目から後ろは基本

ポジショナルプレーの引き出し

2-0 守備時には4-4-2を基調とする浦和対柏の対決は後半から柏の守備ブロックを攻略した浦和が勝利した。 両チームともに守備時には4-4-2のブロックを作り、コンパクトな守備陣形で守っていた。柏はなぜ前半上手く浦和の攻撃に対応することができていたのか。浦和は後半にどのような変化を加えて攻略したのかまとめていく。 1.5人分の働き浦和の狙い 浦和は柏の4-4-2の守備ブロックに対して3-1-5-1のような立ち位置を取って前進を試みた。基本的にボランチの岩尾が両CBの間に

ベースの異なるポゼッション

2-0(トータル2-1) ルヴァンカップ準決勝の横浜Fマリノス対浦和レッズの試合は1stレグを終えて横浜が1-0で先手を取った。浦和ホームで迎えた2ndレグでは後半のショルツのPK2発で浦和が逆転勝利でアビスパ福岡との決勝戦へと駒を進めた。 この試合で興味深かった点は両チームのボール保持での考え方だ。浦和は立ち位置によってプレスの逃げ道を作るのに対して、横浜はコンビネーションで前向きの選手を使う(ブライトンのような)作り方となっていた。そこで今回両チームのプレス回避について

『釣り出す』と『ピン留め』の使い分け

1-1 優勝争いに望みを繋ぐために勝点3が必要な浦和と残留に向けて勝点3が必要な横浜FCの対戦は互いに勝点を分け合う痛み分けとなった。 横浜FCの5-2-3で激しく人に付いて行きボールを刈り取る守備が前半は目立ち、後半は浦和がスペースを意図的に作ったことで主導権を握った。今回は横浜FCの5バックで『人』を捕まえる守備とそれに対する浦和の『釣り出す』と『ピン留め』を使った打開策に注目していく。 【5-2-3】の『人』を捕まえる守備横浜FCの守備は『人』を基準にマークをする。

プレスにおける解明度

0-1 最下位で勝点を何としてでも積み上げたい湘南と、優勝争いに喰らいつくために勝点3が欲しい浦和の対戦は、ホセカンテの芸術的なゴールで浦和がアウェイで貴重な3ポイントを得た。 この試合のチャンスシーンは両チーム合わせてもさほど多くはなかった。これは両チームが相手の良さを消したとも捉えることができると共に、良さを出せなかったと捉えることもできる。今回はなぜそういった試合になったのかまとめていく。 プレス時のタスクとトリガー湘南はプレス時には5-3-2からIHのプレスによっ

中盤の数的優位で前進する

3-0 ACL本大会への出場を決めるプレーオフが行われ、浦和vs理文(香港)が対戦した。前半早々に浦和が2点を取り、その後は練習試合のようなゆっくりとした展開となり、試合終盤に追加点を加えた浦和が完勝で本大会出場を決めた。 実力の差もかなり開きがあり、浦和の2点目が入ってからは緩い試合展開となってしまったので今回は簡潔に気になった点をまとめる。 中盤の数的優位理文はボール非保持では5-4-1を採用。しかし、LSHの91番、CFの7番、RSHの8番は外国籍選手だったのだが、

【4-4-2】ミラーゲームの争点

2-0 優勝争いに食い込んでいくために重要なゲームとなったセレッソ大阪対浦和レッズはホームのセレッソ大阪が前半の2発で完勝。 この試合、お互いに4-4-2(4-2-3-1)を採用したミラーゲームとなったが明暗を分けたのがライン間とSBの攻撃参加だった。 vs縦スライドの打開策4-4-2を基本の守備陣形としているチームに対して、最終ラインを3枚にして相手の2トップに対して+1を作ってビルドアップすることは定番となっている。 そして、最終ラインが3枚になった場合に守備側のチ