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東大野球部のデータアナリストがプロ野球界入りを果たすまでの、note発信戦略と、覚悟。

東大野球部のデータアナリスト・齋藤周さん。

ビジネスのフレームワークを野球部に取り込むなど、「赤門軍団」を分析担当として支え、今年5月には64連敗中のチームを4年ぶりの勝利へ導いた。

そんな齋藤さんは来年1月から、福岡ソフトバンクホークスのゼネラルマネージャー(GM)付データ分析担当に就任が決定。

きっかけになったのは、noteやTwitterでの発信だった。

齋藤さんのnoteでは、野球のデータ分析に関する知識や学びが分かりやすくまとめられている。その内容がプロ野球関係者の目に留まり、今回の就任につながった。

幼い頃から夢だったというプロ野球界入りを、「発信」を通じて叶えた齋藤さん。その経緯をインタビューした。



――noteをはじめたきっかけを教えてください。

野球部の中心として活躍されていた先輩が引退された時に、「自分が思っていることを、もっと積極的に発信してほしい」と言葉をいただいたんです。

その一言がきっかけで、「何も言わなければチームを変えられないな」と強く思うようになりました。だから、発信をはじめたのは純粋に「チームを強くしたい」という気持ちからだったんです。

自分の考えをどこで発信するのが適切なのか考えた結果、読みたい人が誰でも読めるようにnoteで発信することにしました。

――最初は自分のためにはじめたnoteということですが、どこからか”外”の目線を意識しはじめたのでしょうか?

初めはチームの中で興味をもった人が読んでくれればいいな、くらいで全く「外」の目線は意識していませんでした。

しかし、今年の5月に東大野球部が7季ぶりの勝利をおさめたことをきっかけに、自分の中でプロ野球界を目指しはじめたんです。そこからは、noteでの発信は就職活動だと捉え直し、「外」も意識するようになりました。


"問題解決系の本を読んでいたときに、ロジックツリーで考えると複雑な物事がわかりやすくなっていいなーと思ったので、これを野球に転用してみました。"

齋藤さんのnoteでは、東大野球部が勝利をおさめるにいたった戦略が事細かに公開されています。


――齋藤さんのnoteは野球初心者の私でも楽しく読むことができました。誰もが読みやすい記事をつくるにあたって、意識されていることはありますか?

ぼくの記事づくりの基本的なスタンスは、「マニアの方でも満足できる内容を、初心者の方にも伝わる書き方で」というものです。

あとは、他の人が手に入れられないような一次情報を取ってくることも意識しています。

自分は素敵な文章を書いたり面白いことを言ったりできるわけではないので、とにかく読者目線に立って考えて、せめて役に立つ情報を届けられたら、と「独自性」を意識してnoteを書いています。


――発信を続けるなかで、どんな方から反響がありましたか?

とくに学生野球の関係者の方からご連絡をいただくことが多かったです。

その中でも特に嬉しかったのは、国立大学の野球部の方と横のつながりができたことですね。強豪私立に挑む、という立場が同じなので、つながって共同戦線を張れたような気持ちがしたんです。

あとはもちろん、今回プロ野球チームに採用して頂いたのも、noteの記事やtwitterでの発信内容がきっかけでした。人生を変えてくれたnoteには感謝しています!


――ソフトバンクホークスでのデータ分析担当就任、おめでとうございます!プレイヤーとしての経験を経て、今アナリストとしてプロ野球と関わられることについて、どう感じていらっしゃいますか?

ぼくは多くの野球少年と同じように幼い頃にプロ野球に憧れを抱き、歳を重ねるとともに現実に直面して一旦は夢を諦めました。しかし20歳を越えてから、選手という形ではなくともプロ野球界をもう一度本気で目指し、そして夢を現実にできたことを素直に嬉しく思います。


斎藤さん自身が今回のホークス採用までのストーリーを振り返って書かれた記事。"大切なことはなるべく自分自身の言葉でお伝えしたい"との思いで綴られています。


――当時内定が決まっていた会社を辞退して、今回のアナリスト就任を決めたときに、迷いはありませんでしたか?

迷いは全くありませんでした。野球の試合でもそうですが、数少ないチャンスをものにできるかどうかが大切だと思っています。


――球界に入られた後も、情報発信は続けていかれるのでしょうか?

はい、媒体がnoteになるかはわかりませんが、何かしらの形で発信活動を継続させていただく方向で球団の方とも相談しています。国内トップレベルの環境で得た知見を、なるべく野球界に広く届けていけたらと思っています!



東京大学野球部アナリスト
齋藤周さん

都桜修館中高を経て東大へ進学。東大野球部には選手として入部するも、2年秋にケガがきっかけでスタッフへ転向。そこからデータ分析に興味を持ち、最終学年ではアナリストとして本格的に活動を行う。10月に部活を引退し、1月からは福岡ソフトバンクホークスでGM付データ分析担当として活動予定。
note:https://note.com/amapen/
Twitter:https://twitter.com/Amapenpen


【お知らせ】 齋藤周さん出演のイベント『データがわかると野球は10倍楽しくなる』を開催します!

12月22日(水)20時から、トークイベント「データがわかると野球は10倍楽しくなる」を開催します!

イベントでは、一般公開されている野球のデータをどのように見れば何がわかるのか、スポーツアナリティクスに詳しいゲストをお呼びして解説していただきます。

イベントは以下の記事からお申し込みいただけます。

文:並木 一史


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