新潮文庫nex(新潮社)が語る「いま読みたい作品」──創作大賞RADIOレポート⑨ #創作大賞2023
7月17日(月)まで募集中の投稿コンテスト「創作大賞」。第2回となる今回は15の編集部とテレビ局1社に協賛いただき、優秀作品は書籍化や映像化など、クリエイターの活躍を後押ししていきます。
「参加しているのはどんな編集部?」「どんな作品を応募すればいいの?」というみなさんの疑問や悩みにお答えするため、協賛編集部をお招きしたTwitterスペースを配信してきました。新潮文庫nex(新潮社)編集部の大島有美子さん、小川寛太さん、佐々木悠さんにご出演いただいた6月22日回のレポートをお届けします。
新潮文庫nexは、創作大賞で「ミステリー小説部門」「恋愛小説部門」「お仕事小説部門」「ファンタジー小説部門」の4部門にて応募作の審査にご参加いただきます。
▼ 配信のアーカイブは下記よりお聴きいただけます。
新潮文庫nexの特徴は?
母体である新潮文庫の創刊100年にできたラインナップ
——新潮文庫nexについて説明をお願いします。
大島 新潮文庫nex(以下、nex)は、新潮文庫本体の創刊100年を記念して、2014年に創刊されたラインナップです。
老舗文芸出版社ならではの「キャラクターの魅力」と「物語のおもしろさ」を活かし、新潮文庫本体では少なかったキャラクター文芸をどんどん書き下ろしで出版していこう、という目論見で立ち上がりました。
私は2021年から編集長として関わっていますが、副編集長の小川は営業部として立ち上げに参加。小川は2017年に営業から編集者になりましたが、立ち上げ当初から9年に渡ってnexを見てきたひとです。
——創刊時のエピソードはありますか?
小川 創刊編集長の高橋裕介さんはかなり馬力がある方でして、前例のないことをいろいろとやっていましたね。たとえば、創刊ラインナップに河野裕さんの 『いなくなれ、群青』といった作品がありますが、高橋さんは「初版10万部でいく」と最初から決めていました。
2014年当時、河野さんはライトノベルで大活躍していましたが、一般文芸ではまだあまり認知度が高くありませんでした。でも新しいレーベルをはじめることになり、初版10万部に決定。私は販売担当だったので「10万部なんて、在庫が残ったらどうするんだ」と心配しましたが、無事に売れて現在は累計40万部です。
『いなくなれ、群青』は、物語のおもしろさとキャラクターの魅力が見事に融合した作品で、レーベルとしてnexの立ち位置を表すことができたと思います。
——現在の組織体制について教えてください。
大島 私たちが在籍する新潮文庫nex編集室は、新潮文庫編集部の組織下にあります。ただnexは、文庫編集部員であれば、nex在籍でなくても関われる環境です。ですので、コアなメンバーは小川、佐々木、私の3名ですが、常時、企画会議には6名ほど出席。「nexでやりたい企画があるひとは大歓迎」という体制ですね。
新潮文庫でミステリーの書き下ろしを何本も担当したベテランから異動したての者まで、本当に幅広いひとが集まっています。
小川 年齢層も30〜60代と幅広いですよね。
大島 はい。nexが「文庫の書き下ろし」に挑戦できる場なので、編集者が集まってくるのかと。本来は、なかなかこういう場はないんです。
——ちなみに「文庫の書き下ろし」がどれほど貴重なものなのか、教えていただけますか?
大島 新潮社のシステムでは、まず雑誌や「小説新潮」の連載などから1次原稿を取って単行本にし、その2年半〜3年後に文庫本を出版するのが主流です。そのため、文庫をつくるには数年かかりますし、文庫書き下ろしの企画も滅多にありませんでした。しかしnexの立ち上げでそれらが可能になり、編集者もあらゆる企画にチャレンジしやすくなりました。
一般的に文庫化の仕事は、単行本のセールス状況がある程度把握できているので、どのように読者にアピールするかというパッケージづくりに注力します。一方でnexの場合は、企画段階から考え、作家と一緒に取材を行い、原稿の細かいやりとりをします。文庫編集部員にとっては、このような作業はとても新鮮なんですよ。
新潮文庫nexはオールジャンルな作品を展開
——nexの特徴について教えていただけますか。
大島 創刊当初は編集長のカラーが色濃く出ていて、それがnexの特徴や売りになっていましたね。先ほども挙げた河野さんの『いなくなれ、群青』、知念実希人さんの『天久鷹央』シリーズは創刊編集長が担当した作品で、特徴でいうと河野さんは純文学のような異世界、青春もの。知念さんはキャラクターの魅力で物語を引っ張っていく力がある作品です。
現在は幅広い経歴の編集者が関わり、「nexっぽさ」はなくなってきています。最近の話題作でいうと、五条紀夫さんの『クローズドサスペンスへブン』は特殊設定ミステリーだったり、杉井光さんの『世界でいちばん透きとおった物語』はギミックの効いた作品だったり。一方で加藤千恵さんの『マッチング!』のようなマッチングアプリを巡る恋愛小説もあり、nexっぽさという縛りはあまりありません。
——新潮文庫nexはいわゆる一般文芸的な懐の広さを狙っていると感じていました。体制を見てもそう感じるのですが、いかがでしょうか?
小川 狙っていたのではないでしょうか。母体となる新潮文庫自体が、自分らを「幕の内弁当」と表現していました。つまり新潮文庫は「何でも入るレーベル」だと。小説に限らず、詩集も出したこともありますし、本当にオールジャンルな作品を出しているのが特徴だと思いますね。
——あえて言うと、ミステリーやファンタジーなどの各ジャンルでの代表作はどんな作品がありますか?
小川 本格ミステリーだと、早坂吝さんの 『探偵AIのリアル・ディープラーニング』シリーズです。いま話題の人工知能を取り入れた作品で、人気を博しています。
佐々木 ファンタジーだと、三川みりさんの『龍ノ国幻想』シリーズです。大河ファンタジーのような作品で代表作となっています。
——小川さんはミステリー、佐々木さんはファンタジー作品をご紹介いただきましたが、編集者個々の担当ジャンルはあるんですか?
小川 特に担当ジャンルはないですが、編集者個々の得意分野はあるかと思います。
大島 一応ざっくり分けると、女性向けは佐々木、ミステリーは小川がつくっていますが、完全に専門分野でくくることはないですね。
好きな作家に声をかけて担当できるので、ふだんはミステリーを書く作家だけど、「今度は青春ものが書きたいんだよ」と言われたら、その作品を一緒に進めていくこともあります。
——書籍のカバー(表紙)の決定は、最終的に編集長の大島さんが担うのでしょうか?非常に統一感があるように見えるのですが。
大島 いえ。私がいいと思っても、会議でボツになることは日常茶飯事です。
nexにはプロモーション部、営業部、装幀部も入った会議が毎月あり、書籍のカバーや帯のデザイン、タイトル、コピーなど、意見を言いあっています。そこで出た意見を参考にしながら、最終的には編集担当者が決定する体制です。
小川 創刊時からnexは、外部デザイナーとチームを組んでカバーの開発を進めてきました。ですので、もしnexのカバーに「nexらしさ」や統一感があったのならば、外部デザイナーと一緒にチームで取り組んできた結果なのかもしれません。
——業界でも、新潮文庫の装幀部は名うてのプロフェッショナルが揃っていると、有名ですよね。
大島 ありがとうございます。ただnexは外部デザイナーに装幀をお願いしているので、新潮文庫のカバーと全然違うんですよ。可能でしたら、並べて比較してもらえると分かりやすいかもしれません。
nexは帯が狭かったり、蛍光色をつかったり。nexのカバーはグロスPP加工(※)をしていますが、通常の新潮文庫はもう少しマットな質感の紙でつくっています。
※グロスPP加工……PP加工とは、ポリプロピレンフィルムを貼り、表面をコーティングすること。グロスPPは加工面に光沢が出る
料理でたとえるなら「どんな特別な親子丼なのか」
——nexは創作大賞はもちろん、noteの取り組みにご参加いただくのははじめてですよね。なぜ今回創作大賞に参加いただいたのか、理由を教えてください。
大島 もともと、nexでは自前の新人賞を開催しておらず、少し物足りなく感じていました。ただ新人賞って、下読みなど大変なことが多いんですよね。先ほど申し上げたように、nexは専任の編集部はなく、マンパワーも潤沢ではない。そんなときに、noteからこのお話をいただきました。
まずはnoteで審査をしていただいて、その後私たちのような協賛編集部が最終審査を行えるのは非常にありがたいことでして。
ふだん新しい作家と出会うときは、他社の作品を読んで、おもしろいと感じた作家に声をかけたり、ネットで見つけた方に声をかけたりしていますが、うまく作品につながるかでいうと難しいです。創作大賞はnexで本を出版したい方や、nexに限らず本を出したい方が集まってくださるので、渡りに船だと思って参加を決めました。
——協賛編集部からのメッセージで「ジャンル小説の枠内にありながら、そこにもう一つ、読者を惹きつける強みがかけ合わさっている作品」が読みたいと書かれていましたが、具体的に教えてもらえますか?
小川 ミステリーや恋愛、お仕事、ファンタジーといった「ジャンル小説」は、ある意味それだけで強みだと思うんです。料理でたとえると、親子丼だったら「親子丼」というジャンルで紹介できるということ。
ただミステリーなら、ミステリーだけでいいかというと、それだけではヒキが弱くて買ってもらえない。読者を惹きつける強みがかけ合わさることで、「ただの親子丼」ではなくて「スペシャルな親子丼」「これまでに見たことのない親子丼」になるので、そういった小説が読みたいなと思いますね。
佐々木 『龍ノ国幻想』は、宮廷ファンタジーにジェンダーの問題を絡めてきている点が、かなりあたらしいです。やはり意外な切り口を持ってくる作家は、いいなと思います。
——求める作家像はありますか?
大島 持続力のある方ですね。デビューされても、2作目が出ない方も結構いらっしゃいます。とにかく書き続けることが大事というのは、いろんな作家が口を揃えて言っていますね。
小川 大島が言う持続力という意味でも、編集者は作家にとって、最初の読者なので、編集者のフィードバックはしっかりと受け止める。そのうえで、自分の狙いからそれた部分は改稿していく。並行して、どんどん新しい作品も書いていく。そういう方は、長く活躍できるのではないでしょうか。
また読者をどうたのしませるかを考えながら書くひとも、活躍できる可能性が高いと思います。
一般的な文学賞を目指している方は、応募を重ねるごとに編集者や選考委員に向けて作品を書きがちになるのですが、創作大賞は作品を投稿した瞬間から読者の目に触れるので、最初から読者を意識して書ける。それはnoteというオープンな場ならではで、いいですよね。
佐々木 いまは自分でも本を出せる時代で、たとえば「小説家になろう」でも作品を公表できますよね。そんな時代のなかで、あえて商業作品として本を出したい方が応募してくれるといいですね。
ただ商業作家として活動するには、自身の作品から一回距離を置けるかどうかは重要な素質です。伝えたいものが強くなるほど、作品を客観視できなくなるので。本を売るために、割り切る覚悟がある作家さんとは、ぜひ一緒に仕事したいですね。
物語のつくり方
いかにキャラクターの背景を深く考えるか
——キャラクターを魅力的に描くコツはありますか?
大島 一緒に仕事をした作家からの受け売りですが、キャラクターをつくるにしても、設定を2、3行で書くだけではなく、キャラの過去や好きな食べ物など、とにかく背景をつくり込むことが大切です。それができると、説明しなくてもキャラに深みが出て、実在している気がするんですよ。
小川 先日noteのイベントで新川帆立さんがキャラクターのつくり方を解説されていましたが、非常にロジカルでわかりやすかったです。ぜひみなさんにも、観てもらいたいです。
私が参考にしている本をご紹介します。偉大なる大沢在昌先生の『小説講座 売れる作家の全技術 デビューだけで満足してはいけない』は、ぜひ読んでいただきたい。
この本はまるまる1章をつかって「強いキャラクターの作り方」が語られていて、本当にためになりました。作家がキャラを個性的にできないと悩んでいたら、この本を渡して読んでもらっているほどです。
もう1冊、週刊少年ジャンプ編集部が『描きたい!!を信じる 少年ジャンプがどうしても伝えたいマンガの描き方』というすばらしい本を出しています。漫画家を目指すひとに向けてのノウハウ本ですが、キャラクターが活躍する小説や、シリーズものを書く方に非常におすすめです。
レジェンド漫画家の尾田栄一郎さんや、芥見下々さんがアンケート形式で、魅力あるキャラクターをつくるときに気をつけていることを教えてくれています。小説にも応用できることが多いので、ぜひ読んでみてください。
佐々木 私が『わたし、定時で帰ります。』という作品を担当したときに、作家の朱野帰子さんからお聞きしたことがあります。実在の人物を物語に登場させるときは、ありのままではなく3倍ほど過激に書くと「こういうひといるよね」と共感してもらいやすいそうです。おそらくキャラの深掘りができているからこそ、派手に書けるのだと思いますが。
キャラクターを描くコツではないですが、ほかにもおすすめの本を挙げますと、ディーン・R・クーンツアさんの『ベストセラー小説の書き方』ですね。タイトルのブレスト法や、賞などで作品が通過しない方が陥りがちなことが書かれています。叱られたような気持ちにはなりますが、不思議なことに読後は余計なよどみが落ちきった感覚になりますよ。
物語は冒頭のつかみや切り口が重要
——物語のおもしろさを読者に伝えるコツはありますか?
大島 プロット段階で設定や物語の流れがおもしろそうだと思っても、原稿になるといまひとつなことがありますよね。理由を突き詰めると、なかなか事件が起きなくて、冒頭から説明が長いことが多い。それだと読者も飽きてしまうので、1章やプロローグで読者が「この後どうなるの?」と思うようなフックを与えることが大事です。
たとえば『自転しながら公転する』などを書かれた山本文緒さんは、大きな紙に年表のようなものを書く形で、物語の流れをすべて設計していました。
この場面でこういう出来事が起きる。そこで読者はこう感じるはず。といった感情の流れを波のように書いていくんです。物語の構造をつくるときに、書く側の視点だけでなく、読む側の視点も設計していると知ったときは、目からウロコでしたね。
小川 私も冒頭のつかみ、あるいは斬新な切り口をその物語が持っているかどうかは大事だと思います。とくにnoteやWeb小説は、読者が最後まで読むとは限らないですよね。購入してくれたひとすら最後まで読むかわからないし、そもそもお金を払ってくれるかもわからない。
これらのハードルをすべてクリアして、やっと読後の感想が出てくるんですよね。
最近の作品でいうと、おかげさまで重版もかかっている『クローズドサスペンスへブン』は、物語がはじまった時点で、登場人物が全員死んでるという切り口を持っています。
それを聞いただけで気になりますよね。「全員死んでるってどういうこと?」と。だから手に取って、本を読みたくなる。この時点で1つ勝っているんですよね。
佐々木 いまはエンタメにしろ、一般文芸にしろ、仕掛けがない本は読者に最後まで読んでもらいにくいです。
ただ優れた小説を読むと、小技や叙述トリックがおもしろくて真似したくなりますが、これは新人作家が陥りやすい罠だと思います。もちろん挑戦する気持ちはすばらしいですが、優れた作家の小技だけを真似して、一番書きたいことが書けていないと危険です。
それよりも魅力的なキャラクターを主人公やそのパートナーに配置するなど、読者が物語を読み進めていきたくなるようなキャラを書く意識を持ったほうがいいと思います。
——創作大賞での審査のポイントを教えてください。
佐々木 私は物語の中で登場人物がしっかりと成長しているかを重要視しています。主人公の成長は一番の共感ポイントですし、そのような王道をきちんと書くことは大切。それができるか、魅力的に書いているかを見ています。
小川 私は、スイスイ読みやすいということは美徳だと思っています。どんなにプロットや仕掛けがおもしろくても、読んで疲れる作品はどうしてもマイナス評価になってしまう。読みやすさのポイントはいくつかあると思いますが、私は頭に絵が浮かんだり、登場人物の行動がイメージできる小説はスイスイ読めるんです。また、読み終えたあとに作品の内容をパッと思い出せる作品もいい小説だと思います。
大島 私は本にしたときに、帯が書きやすい小説がいいですね。たとえば紺野天龍さんの『幽世の薬剤師』は、「医療×異世界」というキャッチコピーが書けます。そういう作品が好きなひとはきっと読んでくれますよね。『世界でいちばん透きとおった物語』だと「ネタバレ厳禁」とか。そういう帯に書けそうな「売り」を意識しながら小説を書いてくれると、編集者は喜ぶと思います。
——最後に創作大賞の応募者にメッセージをお願いします。
小川 私が編集者をしていて最高だと思う瞬間は、すばらしい才能に出会ったときなんですよね。そういう瞬間は、本当に震えるほど感動します。ぜひ締切の1秒前まで、かじりついて物語を書いてください!
佐々木 作家が渾身の思いを込めて書いたものをどう売るかが編集者の仕事なので、熱い思いをぶつけてくれたら、私も熱い気持ちで返します。作家が受賞して輝く瞬間は、私も舞台袖で泣いていると思います。ぜひ一緒にお仕事をしましょう!
大島 みなさんの作品をたのしみにしています!
質疑応答
Q1.SF色の強い作品についてどうお考えですか?
小川 SFは大好物なので、大歓迎です。SFガチガチな作品をぜひ読みたいですね。
Q2.おもしろい切り口だなと思う作品はありますか?またそれらの作品に共通する要素はなんでしょうか?
小川 切り口がおもしろいのは、先ほどの『クローズドサスペンスヘブン』ですね。「全員もう死んでる」という謳い文句は、大変わかりやすいですよね。
名作と呼ばれる小説って、すべて一言で謳い文句が言えると思うんですよ。そこが共通要素かなと思います。
Q3.題材の組み合わせが秀逸な作品はありますか?またそれらの共通点はありますか?
大島 『幽世の薬剤師』は、異世界に行った薬剤師が漢方の知識をつかって、事件を解決する作品です。異世界と漢方を結び付けるところは、意外で気になりますよね。
小川 『幽世の薬剤師』の著者である紺野さんは、現役の薬剤師ですよね。医療小説の『天久鷹央の推理カルテ』を書いている知念さんも医師です。
スーパーの仕入れ担当の方やファミレスの店員さんなど、仕事をしながら執筆する作家は多いと思います。仕事というものは、その職業ならではの経験がたくさんあるはずです。その経験と異世界やミステリーといったものを組み合わせると、おもしろい作品が生まれやすいと思います。
佐々木 いまや異世界ブームですよね。やはりブームに加えて、自分らしい切り口があるかどうかが、売れた作品に共通する要素ではないでしょうか。
Q4.短編小説の平均的な文字数はどのくらいでしょうか?
小川 文字数の平均はわからないですが、創作大賞で私たちが参加する部門の応募規定は総文字数2〜14万字です。やはり2万字は、1つの物語を構成できる最低量でしょうか。2万字を下ると、ショートショートなどの別の読み物になると思うので、物語という意味ではミニマム2万字は必要かと思います。
Q5. あくまで尊敬の対象として、実在の人物や学校名などを作品に書いてもいいのでしょうか?それとも加工して書くべきでしょうか?
小川 実在の人物を記載してもよいと思いますが、商業出版するときは相談や調整が必要になるケースもあります。最近でいうと『世界でいちばん透きとおった物語』は実在する作家が登場しますが、登場の仕方には一定の注意を払って、著者と改稿した部分もあります。
Q6. デビュー済みの作家も応募可能ですか?
大島 もちろん大歓迎です。
Q7. デビュー後に10万字単位の作品を5〜6タイトル、コンスタントにお渡しした場合、すべての作品に対して、感想をいただくことは可能でしょうか?
小川 いくつか絞って出してもらえると助かります。5、6品もメインディッシュが出されて「全部食べてください」というのは厳しいので、やはりまずはお品書き(プロット・企画書)の段階で見せてほしいですね。
※敬称略
登壇者プロフィール
大島有美子
株式会社新潮社に2004年入社。2021年から新潮文庫nex編集長。新潮文庫本体で宮部みゆき氏、恩田陸氏、梨木香歩氏らの文庫を担当するほか、新潮文庫nexでは武田綾乃氏の「君と漕ぐ」シリーズなどを手がける。
小川寛太
株式会社新潮社に2010年入社。営業部員として2014年の新潮文庫nex創刊にかかわり、その後文庫編集部に配属。早坂吝氏『探偵AIのリアル・ディープラーニング』シリーズ、五条紀夫氏『クローズドサスペンスヘブン』などミステリー作品を多く手がける。
佐々木悠
株式会社新潮社に2011年入社。「芸術新潮」「yomyom」編集部を経て文庫編集部に。朱野帰子氏『わたし、定時で帰ります』、町田そのこ氏『コンビニ兄弟』といった人気お仕事小説シリーズを立ち上げる。三川みり氏の『龍ノ国幻想』などファンタジー作品も手がける。
創作大賞のスケジュール
応募期間 :4月25日(火)〜7月17日(月) 23:59
読者応援期間:4月25日(火)〜7月24日(月)23:59
中間結果発表:9月中旬(予定)
最終結果発表:10月下旬(予定)
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詳しくは、創作大賞 特設サイトをご覧ください。
text by 須賀原優希