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今日のまーし #52 帰郷

どうも。
えらく時間が空いてしまいました。
特に理由らしい理由はありません。
心の余白で書いていますので、書くネタとか書きたいことがない場合は書きません。



9月に入り、ボクが住んでいるカリと、首都であるボゴタ間のバスが復旧した。
およそ半年の期間開かなかった。

一緒に住んでいたサリータという、ちょうど高校を卒業した女の子も、ボゴタへ帰っていった。
この女の子も2月に来て、4月ぐらいには自宅に帰る予定だったのだが、コロナウイルスが阻んだのだ。

初めて親から離れみた経験はどうだっただろうか。
彼女の経験は、ボク達が「大学に行くから親から離れて下宿する」のとは少し訳が違う。
ここでは日本よりも家族を大事にする文化だ。
10代では離れることはまほぼないだろう。

母親も子どもにべったりだということもある。
よくもまあ親も自分から子どもを離したなあと感心する。

そして、その離した先が外国人ばかりなのだからなおさらだ。
おしゃべりなコロンビア人でも、言葉が通じなければ楽しいはずがない。



言うまでもないけど、途中、彼女は見るからに帰りたそうにしていた。
目が真っ赤だったことも、目がまぶたがパンパンに膨らんでいたこともある。

当然だ。
2か月ほどの予定が、「バスが通るまで」の無期限になったのだから。
帰りたい気持ち押し寄せて爆発してもしかたない。

でも、彼女は強がってボク達には何も言ってこなかった。

彼女はまた時間もしっかりと守った。
「時間を守る」コロンビア人は本当にめずらしい。

時間を見つけては日本語の復習なんかもきっちりこなしていた。
プライドは高い。でも、その分努力はしてくるのだ。



ちなみにボクはあまり彼女と話すことはなかった。
ボクは学校の教室の中にいる「陰キャラ」だ。
で、彼女はまあまあ気の強いクラスでもグイグイ引っ張るキャラだ。

ボクは「怒らせたら恐いな」と心のどこかでビビっていた。
10歳年下の子どもに距離を置いているのだ。

自分でも感じていたけど、ちょっとかっこ悪い。
でも、恐いのだからしかたない。


彼女は帰るときにみんなの前で少し話した。
もちろんスペイン語だ。
ペラペラと言葉が早い。
あまり人前を好まず、恥ずかしがり屋で、緊張していたのもあるだろう。

「ここで暮らした半年は、かけがえのない自分の財産になった」
「ここで作ることのできた思い出は私は一生忘れることはない。」
「帰りたかったときもあったけど、今は帰りたくない」
「私は皆のことを愛している」

などと、涙をぽろぽろと流しながらペラペラと言っていた。



コロンビアの人は感受性が豊かだ。
その理由は推測できる。

そういう表現がスペイン語という言葉には備わっているからだ。


日本語の先生みたいなことを言うけど、言葉数の量というのは、日本語の言葉数は圧倒的に他の言葉に比べて多いし、今も劇的に増えている。
調べてはないけど。でも、絶対それは間違いない。

これは日本語という言語がひらがな、カタカナ、漢字が合わさってからだと言われている。
そして、今でも若者言葉として、膨大な言葉が生まれ続けている。

「本音と建て前」とか、「上下関係」も理解しなくちゃいけない。

こんな言語を使いこなしている日本人はなかなかすごいと思う。
同時にこんな訳のわからない言語を勉強しはじめる人達の気が知れない。



冗談はさておき、
何が言いたかったのかというと、とにかく言葉の数は日本語の方が多いハズなのに、気持ちを伝える表現はスペイン語の方が多いのは明らかなのだ。


思えばいつかここに書いたかもしれないけど、ここでは恋人のことを平気で
「私のチョコレート」「私の空」「私の愛」とか、聞いていて恥ずかしくなってくる様な呼称を使う。
日本語に訳すと変に聞こえてしまうけど、スペイン語で聞いていると、良い感じに聞こえる。

友達は仲良くなれば平気で「兄弟」になれるし、年が離れていれば「子ども」になる。

スペイン語は「ロマンス諸語」というカテゴリーに含まれている。
ロマンス諸語とは「ラテン語」から派生してきた言葉のことで、他にも例えばイタリア語、フランス語、ポルトガル語、ルーマニア語なんかがある。

なんで「ロマンス」なのかっていうと、それぞれの言葉に「男性名詞」と「女性名詞」があって、それが主語になることによって後に続く言葉が若干変わってしまうのだ。
詳しく説明すればめんどくさいので、しない(笑)

でもまあとにかくそういうルールがあって、活用が複雑なのだ。
これはボク達のスペイン語学習を悩ませる大きな要因の一つだ。


こんな愛の言葉を友達に平気で言おうものなら、クサいと言われたり、引かれるだろう。
たとえ女の子が求めていたとしても、男の子はなかなか口に出来たものではない。

でも、スペイン語なら、心地が良い。
彼らの言葉を聞いていると、ややこしい文法がどうこうじゃなくて、話している言葉の内容が「ロマンス」なんだろうね。


ちなみに日本語は「膠着語(こうちゃくご)」っていう部類に属している。
たしかに粘り強く、人前ではよく固まっているね。

今日も読んで下さってありがとうございました。
ボクの帰国もおぼろげに見えてきました。

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