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群馬 土合駅・青春18きっぷ旅

皆さんは「日本一のモグラ駅」をご存知だろうか?


先日放送されていた、テレビ朝日のクイズ番組「Qさま」では「旅のプロが選ぶ!この夏行きたい!日本全国の駅ランキング ベスト20」という独自のランキングからクイズが出題されていた。
ベスト20にこれまで訪れたことがある駅がいくつかランクインされていたのだが、こんな暑い夏に私がオススメしたいのは7位で紹介された「土合(どあい)駅」

上りホームは地上、下りホームは地底にあるという珍しい駅で、そのことから「日本一のモグラ駅」なんて呼ばれている。地底にホームがあるためとても涼しく快適そうということからオススメしたい。
土合駅は以前から旅番組で訪れていたり、クイズの題材になっているのを目にしたことがあり、興味を持っていた。

そこで23年春、妻と共に青春18きっぷを利用して、この土合駅へ行くためだけに旅へ出た。


群馬県 高崎駅〜新潟県 宮内駅を結ぶJR上越線。
群馬と新潟の県境にあるのが、今回の目的である土合駅だ。新宿駅から出発して高崎駅で乗り換え、更に水上駅で乗り換えて合計3.5〜4時間ほどでようやくたどり着いた覚えがある。

土合駅 下りホーム
土合駅の構造イメージ
待合室には土合駅の思い出がいっぱい
こんなに貼られているとちょっとコワイ


コンクリートで覆われた、まるで防空壕のような圧迫感、薄暗く不気味に感じるホームへと出ると、まずその涼しさに驚く。4月に入り気温が高くなってきていたが、長袖でないと肌寒く感じるほどだった。
その涼しさを利用してホームでは地ビールが熟成されていたのも印象的だった(クイズでよく出るポイント!)

ホームで記念撮影をしてこれから改札へ向かおうとすると、目の前にそびえるのは長さ338m、462段の長い長い長ーい階段。この階段を登るためだけにここへ来たと言っても過言ではないだろう。

よし!改札を目指すぞ!
気合を入れて2人で登り始めた。

遠く向こうにぼんやりと光が見える
日本一のモグラ駅の案内


先が見えず不安になってくるほどの長い階段。一歩一歩と登っていくが、その度に息が上がっていくのを感じる。日頃の運動不足がたたっているのだ。
途中にはベンチがあり、そこで休んでいるおばあさんもいたが、まだ30代の私たちがこんなところで休んでいる場合ではない。

ホームから10分ほど歩いただろうか。夫婦で励まし合いながら登り続けると、やっと明るいところへ到着した!
振り返って下を覗くと、暗闇でポツポツとほのかな灯りに照らされる階段。その雰囲気はまるで秘密の地下アジトへ潜入しているかのよう。他にはない光景に思わず佇んで眺めてしまったが、実は改札はまだちょっと先。

振り返ってる場合じゃない!
我々は前進しなくてはいけないのだ!

上からのぞいた階段
なんだか吸い込まれそうで怖くなってくる
やっとたどり着いたと思ったら…
あと少し!


長い階段を登った先の連絡通路をしばらく歩き続けると、とうとう改札が見えた!
そして、地上へたどり着いた時には閉じ込められていた地底から無事に生還したような、そんな達成感に満ちあふれた。ばんざーい!ばんざーい!!

光の射す方へ導かれるように無人改札を出ると、まぶしい太陽が!周りは豊かな山々といつの頃からあるか分からない廃墟。私たちはこんな山奥まで来てしまったのか…。

外気はひんやりとしていたが、少し残る雪の隙間からふきのとうが少し顔を出していた。この地にもそろそろ春が訪れるようだ。

三角形の美しい駅舎は
山小屋の屋根をイメージしたもの
周辺にはドライブインや
サウナのあるキャンプ施設がある


「土合駅へ行く」ということが目的だった私たち。
達成したので帰ろうとしたが、さすがにここまで山奥に来ると電車の本数はあまり無く1時間に1本ほど。
帰りの電車までは時間があったので、駅舎内にある「駅茶mogura」でランチを取ることにした。

ここはかつて駅務室 きっぷ売り場だったところを改装したカフェで、コーヒーや軽食をいただける。長旅をしてきたこともあり、温かいコーヒーとホットサンドは格別な味だ。のんびりと癒されるひと時を過ごした。

喫茶モグラの店内
駅務室の名残りも感じられておもしろい
駅員の帽子が飾られているが
かぶって記念撮影もできる
ホットサンドとホットコーヒーで
ホッと一息…


帰りの高崎方面へ向かう上りホームは地上にある。
さっき息を切らして登ってきた長い階段が嘘のように、なんの苦労も無くスッとホームまで出ることができた。これにて土合駅とはお別れ、またいつの日か…。


今回、妻にとっては初めての青春18きっぷ旅。
体力も時間も浪費する、こんな無茶な旅にに付き合ってくれて大感謝!でも、もう付き合ってくれないかもなぁ… 笑

次こそ上越線で、いざ新潟県!


余談だが
「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」
の書き出しで有名な川端康成の作品「雪国」
その長いトンネルというのは、群馬県の土合駅と新潟県の土樽駅の間を結ぶトンネルがモデルだそう。
これまで新潟県へ足を踏み入れたことがない私はあと一駅行けば新潟だったのか…とちょっと悔いが残った。
新潟はまたいずれ…。

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