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"ワレタダタルヲシル"垂直的知足

言志録 佐藤一斎著 第四十二条

【原文】
分を知り、然る後に足るを知る。
【訳文】
自分に与えられた天分を自覚すれば、
現状で満足するを知る。

幕末の名著「言志四録」に学ぶ
東洋の生き方学 No.42

言志録 第四十二条『垂直的知足』

"足るを知る"

仏教思想で言うところの、
"吾唯知足"
老荘思想で言うところの、
"知足者富"

この条文(言志録 第四十二条)にて、
佐藤一斎先生もまた、

"分を知り、然る後に足るを知る"
(知分、然後知足)

身分を知って、その後に足るを知る
と、述べている。

この"足るを知る"とは何か?

これを"現状に満足せよ"と捉えてしまうと、
何か虚無的な考え方を生んでしまう。

"足るを知る"とは、
宿命を抱きしめる事だと、私は思っている。

宿命とは、自己を自己たらしめている
不動の存在である。

例えば、祖国、歴史、親、先祖など、
この垂直的な流れが宿命であり、
この自己の宿命を自覚するということを、
"足るを知る"というのではないか。

宿命の自覚があって、その先に運命が拓かれる。

現状に満足すれば、
あの明治維新は成されなかっただろう。
(言志四録は幕末の志士たちのバイブルとも呼べる存在だった)

宿命の自覚は、
過大評価も過小評価も生まない。

日本人に生まれたならば、
日本人としてどう生きたらいいか?
この親の子として生まれたならば、
この親の子としてどう生きたらいいか?

こういったことを考えたその先に、
能力や才能などそういった要素を加味して自覚していく。

そして、自覚したその先にどうするか?

足を知り、それでも猶、
跳躍を求める人間でありたい。

その跳躍が自己固有の運命を招き入れると信じている。

#読書 #哲学 #人生観 #人間学
#東洋思想 #生き方 #メンタル


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