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私じゃなくていい
一生懸命、目の前の事に全集中して、やり切った後、頭も身体も疲れ果て、睡眠を欲しているのに、さて休まなければと思うほど、脳がズキズキと痛み、一向に深い眠りに入る事が出来ない。
休息を取りたいのに、神経の昂ぶりが止まらない。
どうしたものかと、少し食事をとり、水分を補給し、用を足し、横になる。
しばらく、そんな風に時を過ごしていても、一向に眠りにつけない。。
疲れているのに眠れない。
身体が悲鳴をあげているのに眠れない。
堪らなく、自分の身体の矛盾に嫌気がさす。。
…そんな時、唐突に、ある思いが浮かぶ。
「私じゃなくていい。」
「私じゃなくていい。」
「…私じゃなくていい。私じゃなくて…。」
呪文の様に、頭の中で、その言葉を繰り返し呟いて、
自分に言い聞かせていた。
私じゃなくていい。
『…それをするのは、私じゃなくていい。』
安堵とともに、ふと少し心が軽くなった。
身体の不快感も、ほんの少し和らいだ。
さらに、安らぎを求め、私はまた何度かその言葉を繰り返し呟いていた。
…そうだ、あれをやりこれをやり、そして、これはどうするあれはどうすると、いつの間にか、色々なタスクのイメージを頭の中に置いてしまっていた。
自分の設定した幾つものやる事リストが、
常に頭の中で、強く自分自身にアピールしてきていた。身体は休みたいのに、頭では休めない指示を常に出してしまっていた。
だから、
「行うのは私じゃなくていい。私はそれをしなくていい。」と『自らを解放』した事により、やっと、
「あぁ、やらなくていいのね。じゃぁ、身体が疲れているからね、休もう。」と、頭と身体の意見が一致し漸く休める事になった。
その日の晩御飯は、相方が用意してくれた。有難い。
まだ食欲はなかったが、身体のためパワーの源だと、
ゆっくりと無心に、口に運んでいく。
その、一口一口が、すぐさまエネルギーに変わっていくのを覚えた。有難い、尊い。
身体にエネルギーが補充されつつも、まだ心は容易に動かせずにいた。無心のまま、シャワーを浴び、身体を洗い温めた。
暖かくなった自分の身体にほっとし、やっと安心し寝床へ向かえた。
大丈夫。私は、休める。
きっと、目覚めたときはこれまでよりほんの少しだけ心地よいだろう。
そんな展望とともに。
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ご覧頂き有難うございます。
表紙のイラストは、みんなのギャラリーより
『hoho』さんの画像を使用させて頂きました。
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