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241.どうしても著作者がわからない、どう調べたらいいの?

1.著作者がわからない場合


どうしても著作者がわからない、どう調べたらいいのでしょう?という質問が多くなりました。このような問題はどこにでもあります。著作権の切れているものは自由に利用することができますが、著作権は死後70年間存続しています。

しかし、50年前、70年前の不明な著作者を探すのは至難の業かもしれません。また、勝手に使用してしまえば著作権侵害になる恐れもあるためどうしても使用したい著作物がある場合には困ってしまいます。
そこで文化庁には「裁定制度」というものがあります。
 
では「裁定制度」とはどんなものでしょう。
裁定制度とは、著作者や著作権者の許諾を受けられない場合にも、著作物を適法に利用することができるようになる制度のことをいい、著作権法で規定されています。
以下で、概要と要件を解説します。
 
「2-1 裁定制度の概要」
 前述のように、著作物を利用する際には、前もって著作者・著作権者の許諾を受ける必要があります。
 ですが、著作者が不明な著作物については、誰に連絡をすれば良いのか不明なので、許諾を受けることができません。
 この場合には、一定の要件を満たしているときに限って、文化庁長官の裁定を代わりに受けることで、著作物を利用できるようになるのです。
 このように、要件さえ満たしていれば、文化庁長官による強制的な裁定を受けて著作物を利用できるようになるため、裁定制度は「強制許諾制度」とも呼ばれます。
 著作権法の条文では、
(著作権者不明等の場合における著作物の利用)
第67条 公表された著作物又は相当期間にわたり公衆に提供され、若しくは提示されている事実が明らかである著作物は、著作権者の不明その他の理由により相当な努力を払つてもその著作権者と連絡することができない場合として政令で定める場合は、文化庁長官の裁定を受け、かつ、通常の使用料の額に相当するものとして文化庁長官が定める額の補償金を著作権者のために供託して、その裁定に係る利用方法により利用することができる。
2(略)
 いくつか要件があるので、以下で細かく見ていきます。
 
「2-2 著作物についての要件」
前記のうち、「公表された著作物」とは、著作者等が適法に公表した著作物をいいます。一方、「相当期間にわたり公衆に提供され、若しくは提示されている事実が明らかである著作物」とは、公開されているが、誰が公開したのかが不明な著作物のことをいいます。
 
「2-3 著作権者と連絡することができない場合とは」
著作権者が誰であるか不明な場合や、誰が著作権者であるかは判明しているが、どこにいるか不明な場合には、連絡をしても許諾を受けることができません。どのようなことをすれば「連絡ができない場合」に該当するかについては、著作権法施行令に詳細が次のように定められています。

(著作権者と連絡することができない場合)
第7条の7 法第六十七条第一項の政令で定める場合は、著作権者の氏名又は名称及び住所又は居所その他著作権者と連絡するために必要な情報(以下この条において「権利者情報」という。)を取得するために次に掲げるすべての措置をとり、かつ、当該措置により取得した権利者情報その他その保有するすべての権利者情報に基づき著作権者と連絡するための措置をとつたにもかかわらず、著作権者と連絡することができなかった場合とする。

一 広く権利者情報を掲載していると認められるものとして文化庁長官が定める刊行物その他の資料を閲覧すること。
二 著作権等管理事業者(著作権等管理事業法(平成十二年法律第百三十一号)第二条第三項に規定する著作権等管理事業者をいう。)その他の広く権利者情報を保有していると認められる者として文化庁長官が定める者に対し照会すること。
三 時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙への掲載その他これに準ずるものとして文化庁長官が定める方法により、公衆に対し広く権利者情報の提供を求めること。
2 (略)
 


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※注 この著作権noteは1999年からの事件を取り上げ、2000年、2001年と取り上げ続け、現在は2002年に突入。今後はさらに2003年から2020年~2022年に向けて膨大な作業を続けています。その理由は、すべての事件やトラブルは過去の事実、過去の判例を元に裁判が行われているからです。そのため、過去の事件と現在を同時進行しながら比較していただければ幸いでございます。時代はどんどんとネットの普及と同時に様変わりしていますが、著作権や肖像権、プライバシー権、個人情報なども基本的なことは変わらないまでも判例を元に少しずつ変化していることがわかります。
これらがnoteのクリエイターさんたちの何かしらの参考資料になればと願いつつまとめ続けているものです。また、同時に全国の都道府県、市町村の広報機関、各種関係団体、ボランティア、NPО団体等にお役に立つことも著作権協会の使命としてまとめ続けているものです。ぜひ、ご理解と応援をよろしくお願い申し上げます。
                           特非)著作権協会

 
「クリエイター著作権全般」特定非営利活動法人著作権協会(NCA)

 
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