見出し画像

222.言葉の世界って、そのままの「パクリ」でなければ、安易に盗作とは決めつけ難いものだ。

1.2008年「銀河鉄道999」訴訟


2008年(平成20年)12月26日。漫画家松本零士さんの漫画「銀河鉄道999」のセリフの一部を歌詞に無断で利用したと非難され、名誉を傷つけられたとして、歌手の槙原敬之さんが約2200万円の賠償を求めていた訴訟の判決が下りた。

「松本零士」日本の漫画家 / ウィキペディア フリーな 百科事典より

松本さんが槙原さんを名指しで盗作だと非難したことは、名誉毀損に当たると判断し、220万円の支払いを命じた。

問題となったのは、槙原さんが作詞、作曲し、人気デュオのケミストリーに提供した「約束の場所」という楽曲。

その歌詞の部分「夢は時間を裏切らない、時間も夢を決して裏切らない」は、漫画「銀河鉄道999」のセリフの「時間は夢を裏切らない。夢も時間を裏切ってはならない」という部分の盗作だと松本さんに非難されていた。

判決は、「セリフと同様の内容は、松本さんのインタビュー記事などで公表されているが、槙原さんがそれらに接した証拠はない。

槙原さんが松本さんの表現に依拠して歌詞を書いたとは認められない」と指摘した。

また、松本さんがテレビ番組に出演し、その番組の中で「槙原さんは盗作した」という発言に対して、判決では、「発言は真実と認められず、名誉毀損に当たる」と判断した。

いまの時代、これだけ氾濫する言葉の世界。確かに似ているといえば似ている。しかし、世の中には似ている言葉は無限に近いものだ。偶然、似てしまう場合もあれば、何かを見て、ある時ふっと記憶に甦る場合だってあるはずだ。問題は槙原さんの歌詞の全体を見て比較すればいい。

一部分だけを取り上げて盗作だと発言することに問題が残される。

以前、モーニング娘の本が盗作だったと、音楽事務所がマスコミに記者会見して詫びていた。確かに、その詩は他の作品には似ていたが、盗作だと過敏に騒ぐ内容ではなかったとわたしは思っている。

言葉の世界は、学んでいるときから模倣の世界でもあり、そのままの「パクリ」でなければ、安易に盗作とは決めつけ難いものだ。  


2.映画・放送のDVD複製可能、手話・字幕 許諾不要となる


 2009年(平成21年)2月28日。文化庁が著作権者の許諾を受けなくても、耳の不自由な人向けに映画や放送番組に字幕や手話の映像を付けDVDを複製することを認めるなど、障害者が作品を鑑賞しやすくなるように著作権法を改正する方針を固めたという。

今国会に改正案を提出し、2010年1月の実施を目指している。改正内容は「障害者が文化的な作品を享受する機会を確保する」よう求めた障害者権利条約が前年5月に発行したことを受けた措置。

現在の著作権法は、許諾なしで放送番組の音声を字幕にし、リアルタイムで聴覚障害者にインターネット送信することを認めているが、映画は対象外だった。

また、こうした放送番組や許諾を受けない字幕付き映画をDVDなどに保存することも禁止されていた。
さらに、字幕の作り手は、聴覚障害者に情報提供する公益法人に限られていた。

しかし、改正では放送番組だけでなく、発表済みの全ての映画に字幕や手話を付けられるようにし、DVDなどの複製も認めることとなる。
作り手に関しても、今までの公益法人に限定せず、作成主体がNPO法人などにも拡大されるという。

これによって、地域の福祉団体やNPO法人が映画の手話・字幕付きDVDを作り、障害者に貸し出せるような活動が可能になる。

また、点字図書館に限られている視覚障害者向けの録音図書館の作り手もNPO法人や公立の図書館に広がるという。

障害者の著作物利用に関して、現行の著作権法では、図書や映像作品などの著作物を無許諾で加工することは禁止されており、それがたとえ福祉目的であったとしても誰もが自由に行えるのは図書の点字化だけだった。

しかし、インターネットの普及よって健常者と障害者が得られる情報量に格差が広がり、政府の障害者施策推進本部は、著作権制度の見直しによる情報の格差縮小を目指すこととなった。



©NPО japan copyright Association


参考文献※注 この著作権noteは1999年からの事件を取り上げ、2000年、2001年と取り上げ続け、現在は2002年に突入。今後はさらに2003年から2020年~2022年に向けて膨大な作業を続けています。その理由は、すべての事件やトラブルは過去の事実、過去の判例を元に裁判が行われているからです。そのため、過去の事件と現在を同時進行しながら比較していただければ幸いでございます。時代はどんどんとネットの普及と同時に様変わりしていますが、著作権や肖像権、プライバシー権、個人情報なども基本的なことは変わらないまでも判例を元に少しずつ変化していることがわかります。
これらがnoteのクリエイターさんたちの何かしらの参考資料になればと願いつつまとめ続けているものです。また、同時に全国の都道府県、市町村の広報機関、各種関係団体、ボランティア、NPО団体等にお役に立つことも著作権協会の使命としてまとめ続けているものです。ぜひ、ご理解と応援をよろしくお願い申し上げます。
                           特非)著作権協会


 
「クリエイター著作権全般」特定非営利活動法人著作権協会(NCA)

↓著作権noteマガジン

Production / copyright©NPО japan copyright Association
Character design©NPО japan copyright association Hikaru

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?