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228.森美術館の美術作品~日本初!写真撮影ОK~著作権ОK~


1.著作権法改正「手話・字幕許諾不要」


 
文化庁は2009年2月28日、著作権者の許諾を受けなくても、耳が不自由な人向けに映画や放送番組に字幕や手話の映像を付け、DVDで複製を認めるなど、障害者が作品を鑑賞しやすくするために著作権法を改正する方針を固めた。

この改正は2010年1月の実施を目指している。改正内容は「障害者が文化的な作品を享受する機会を確保する」よう求めた障害者権利条約が2008年5月に発行されたことを受けた措置だ。

いままでの著作権法では、許諾なしで放送番組の音声を字幕にしてリアルタイムで聴覚障害者にインターネット送信することは認められていたが、映像は対象外だった。

こうした放送番組や許諾を受けない字幕付きの映画をDVDなどに保存することも禁止されていた。

また、字幕作りは、聴覚障害者に情報提供する公益法人に限定していたが、今回の改正では、放送番組だけではなく、発表済みのすべての映画に字幕や手話を付けられるようにし、DVDなどの複製も認めたものとなった。

作成主体も公益法人だけでなく、特定非営利活動法人(NPO)なども参入が可能となる。これによって、2010年からは福祉団体が映画・手話付きDVD作ること、貸し出す活動が出来るようになる。
障害者の著作物利用は図書館や映像作品などの著作物を無許可で加工することは禁止されている。それが福祉目的であっても、誰もが自由に行えることは点字化だけだった。

最近では、インターネットの普及により、健常者と障害者が得られる情報量に格差が広がり、政府の障害者施策推進本部は、著作権制度の見直しをすることによって格差縮小を目指している。
 

 


2.森美術館 日本初 写真撮影0K


 
これは驚いた。

美術館での撮影はどこでも禁止されているのが当たり前となっているが、写真撮影OKの美術館が登場した。

2009年7月24日、25日、六本木・森美術館でのこと。
もちろん、日本を代表する有名な美術館だ。

中国の著名なアーティスト、アイ・ウェイウェイ氏の展覧会で、観客の写真撮影を許可する取り組みを試験的に始めると発表した。

国内の美術館ではとても珍しいことで、著作権問題の議論に一石を投じるかもしれない。

森美術館によると、撮った画像は加工せず、非営利目的で使うことが条件でなら誰でも撮影できるという。

これは、著作権に柔軟なクリエイティブ・コモンズのしくみを取り入れたもの。国内では、所蔵作品展の撮影を認める美術館が一部あるが、外部から借用する企画展の撮影は著作権の問題があり、ほとんどが認められていない。

ただ、これでどうなのだろう? 

当然、作品には著作権があることはわかるが、その作品を撮影した者には写真の著作権が発生する…。

営利目的では一切使用等ができないのだから、何も問題はないのだろうか…。おそらく、ブログやホームページ上でウェイウェイ氏の作品が登場する可能性があるだろう。そうなれば簡単に複製できてしまう、ここには問題が残る。

撮影した本人、ネット上に掲載した本人の問題ではなく、そこから勝手に利用する者も出てくるのではないだろうか。

さて、試験的とはいうが一体どうなるのだろう…。


写真撮影もOK! 上野の森美術館で開催中「デトロイト美術館展」でゴッホやピカソなどの名作を楽しむ


3.知らないうちに有名人になってしまった男性の話


 
写真撮影がとても身近な世界となった。

昔は写真撮影する人はプロのカメラマンかアマチュアカメラマン。一般の人には今ほど普及されてはいなかった。

なぜなら、プリントフィルムが中心で、ネガやポジが主流だったから。
また、写真を撮影したら、ほとんどの人は写真屋さんにフィルムを出してプリントしてもらっていた時代でもあった。

しかし、今ではデジカメやケータイカメラの普及で、ほとんどの人がカメラを持参して日々過ごしている。

さらに、写真屋さんにプリントを出さなくとも、パソコンがあれば誰でも自由に見ることができ、プリンターを使用すれば自分でプリントすることができるようになった。

そして、同時に誰もが撮影した写真を自由に編集、加工もでき、ケータイやパソコンを使い、どこへでも簡単に写真を送ることさえできる。

写真の中でも記念写真やスナップ写真などは、写真を撮るときに「撮りますよ!」「ニッコリ笑って!」「こっちを向いて!」といえば、誰もが撮影していることがわかる。

しかし、わたしたち自身が知らないところで写真を撮られていたり、利用されていたりということに気づかない人が多くいることも確かなこと。

たとえば、ショッピングセンターで買い物をしていても監視カメラで撮影される。コンビニや本屋、銀行のATMでも、すべての監視カメラに写っている。

このように、否応なしに無断で撮影されている状況といえるでしょう。
だからといって、無断で撮影した写真を勝手に利用することは、たとえ監視カメラであってもすべて違法、肖像権侵害になる。

ある日、突然、身に覚えのない広告や他人のホームページに自分の顔写真が使われているのを見つけたら、どうするのか…。

最近こんな事件があった。東京・新宿区の写真素材販売会社が訴えられていた。この会社は、一般市民の顔写真100枚を載せた「百人の顔」という広告用の写真素材集を制作して販売。素材集を購入した人が、その中の肖像写真を広告に使用し、肖像者とトラブルが起きていた。

「百人の顔」の中に収録されていた50歳の男性は、20回以上もさまざまな広告に自分の顔が掲載され、知らぬ間に有名人になってしまっていた。

その広告の内容は、投資、風俗まがい、ギャンブルの世界など。男性は会社から副業の疑いをかけられ、解雇されそうになった。

この男性は、会社の表彰で写真が必要になり、写真スタジオで証明写真を撮ったとき、そのスタジオから「写真を利用させてほしい」といわれ、モデルになったという。

ただ、いつ、どこで、何に使用されるかは一切聞かされていなかった。もちろんお金など一銭も受け取っていない。

しかし、彼の顔写真は次々と使用され、ある中古車販売のチラシでは「畑山」という名前で登場し、「セルシオ(トヨタ)を売って300万円儲けました」とセリフ付で掲載されていた。

さらに、証券会社、パチンコ店、新聞販売店、保険のパンフレットなどにも使われ、他人からは「モデルでもしているんですか?」などといわれる始末。

さらに、スポーツ紙の広告にも載り、「お色気浪漫!」「こよいは私の出番です!!」の文字が入り、ネクタイ姿の写真が浴衣姿に修正されていた…。(2009年1月4日毎日新聞、大阪朝刊より参照)

こんなことは笑い話で済まされない。

これからの時代、撮る方も、撮られる方も、よくよく注意しなければならない。




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 ※注 この著作権noteは1999年からの事件を取り上げ、2000年、2001年と取り上げ続け、現在は2002年に突入。今後はさらに2003年から2020年~2022年に向けて膨大な作業を続けています。その理由は、すべての事件やトラブルは過去の事実、過去の判例を元に裁判が行われているからです。そのため、過去の事件と現在を同時進行しながら比較していただければ幸いでございます。時代はどんどんとネットの普及と同時に様変わりしていますが、著作権や肖像権、プライバシー権、個人情報なども基本的なことは変わらないまでも判例を元に少しずつ変化していることがわかります。
これらがnoteのクリエイターさんたちの何かしらの参考資料になればと願いつつまとめ続けているものです。また、同時に全国の都道府県、市町村の広報機関、各種関係団体、ボランティア、NPО団体等にお役に立つことも著作権協会の使命としてまとめ続けているものです。ぜひ、ご理解と応援をよろしくお願い申し上げます。
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