私の命が薄まっている
ベットに横になると、私の中の命のようなものがゆらゆら揺らめくように感じる。
中身の半分くらい入ったペットボトルを横倒しにして、その中身が揺れているような、そんな感覚。
でもなんだろう、中身が年々薄くなっているような気がしている。
子どもの頃に飲んだ濃いカルピスのような、強く煮出した麦茶のような、真夏のアスファルトに濃く残る自分の影のような、そういった“強さ”みたいなものが私からごっそりと抜け落ちて行っている気がした。
私という体に溜まっていた強さは、気づけばすっかり薄まってしまった。
あまりにも自分を雑に扱うことに慣れすぎてしまって、自分の中の牙みたいな戦う力みたいなものが、ごっそりと抜け落ちてしまった。
歯が抜ける夢を見たことがある。
私の口から全ての歯がぽろぽろと落ちて、手のひらに転がった瞬間の、表現しがたいゾッとした感覚はいまだに忘れられない。
私たちは生きるために牙を抜くのか、それとも生かされるために牙を抜かれるのだろうか。
無力化して、無害化されて、そうやってようやく息をしている気がする。
そうやって私の中の濃度が下がっていく。
器を満たせ、そうプリンセスの本に書いてあるのに、私は相変わらず自分を薄めるような行為ばかりしている。
どうしたらいいのかと顔を覆っても、こぼれる涙すらない。
好きなことを探して、やりたいことを探して、自分の柱を何本も立てて。
そうやって自分を支えて、そうやって自分を濃くしていくしかない。
でも立ち上がることも、どこかに行くことも、日々の疲労に押しつぶされてしまったら、どうしたらいいんだろう。
私の中のペットボトルには、あとどれくらい中身があるんだろう。
どうか空っぽにならないことを祈るしかなかった。
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