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新印象派 ポール•シニャック

印象派の中でも後期の画家ポールシニャックについてまとめてみようと思います。今回は駆け足で作品の特徴や絵に込められた思いなど、シニャック作品の魅力に迫りたいと思います。

シニャックは印象派というグループに分類されている画家ですが、印象派についての記述は以前のブログで少し触れていますので、興味のある方はぜひそちらの記事を見てみてください。

新印象派 ポールシニャックと絵の特徴

ポールシニャックはフランスの後期印象派に分類される画家です。シニャックはスーラという仲間の画家と一緒に点描画の体系を築いていきます。
彼の絵の最大の特徴は油絵で描かれる点描と色鮮やかなタッチの画風。色合いが優しく、シニャックの見た風景に吸い込まれていくような気さえしてきます。色と色が混ざっていないためそれ自体の純度が高く、他の印象派の作品とは違う少しぱきっとした印象を受けます。また、彼は特に海が好きだったようで、数多くの海岸風景画を残しています。
美術館や画廊だけでなく、部屋に飾っても素敵なインテリアとしての役割も担ってくれそうなそんな素敵な作品が多い印象です。

出典:’’Wikipedia「ポール・シニャック」’’. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%8B%E3%83%A3%E3%83%83%E3%82%AF 2022年8月12日
 作品名:『Capo di Noli』1898

ジョルジュ・スーラの存在

シニャックが点描画を描き始めたきっかけになった人物がいます。それがジョルジュ・スーラです。皆さんも一度は下の作品を美術の教科書で見たことがあるのではないでしょうか。作品名は『グランド・ジャット島の日曜日の午後』。よく見ると点描画の作品であることがわかります。彼は点描画による作品を世に出した最初の人物で、彼の作品に感銘を受けたシニャック自身もその後点描の技法を自分のものにしていき、次々と新しい作品を生み出していきます。

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出典:”【美術解説】ジョルジュ•スーラ 「点描絵画の創始者」”  . https://www.artpedia.asia/georges-seurat/ 2022年8月7日

イデオロギーを映し出した作品

下の作品はシニャックの作品ですが、皆さんはこの作品を見てどう感じますか?私は明るくてみんな自由で幸せそうな絵だ、と思っていました。もちろん平和で幸せな日常の風景を映し出した絵であることに間違いはないのですが、この絵はシニャックによるプロパガンダ作品だったのです。

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出典:”【美術解説】ポール・シニャック「スーラとともに点描法を発展させた新印象派」” . https://www.artpedia.asia/paul-signac/ 2022年8月7日

アナーキストとは
シニャックはアナーキスト(無政府主義者)で、彼は権力が存在するということで本当の平和はないと信じていました。つまり権力者(政府など)の存在を否定する考絵の持ち主だったのです。
当時のフランスは一部の過激なアナーキストたちにより大統領が暗殺されたりするほどの不安な情勢が続いていました。そんな中、フランス政府によりアナーキズムが否定されます。もちろんアナーキズムとみなされる出版物などは検閲の対象となりました。自由の象徴とも言える国フランスでそういったことが起きるということは当時のフランスではアナーキストははよっぽど過激な集団とみなされていたのではないでしょうか。

ではこの作品が無政府主義的であるといことを象徴する理由についてふれていきたいと思います。
上の絵の人物に注目して見てください。人々は自由にそれぞれが思い思いのことをしているように思えるかと思います。例えば、絵左側には木の実に手を伸ばしてる男性が見えますよね。場所は見るからに公園か広場で、木は公共のもののはずですが彼はそれに手を伸ばしています。男性が権力やルールに縛られていないことを象徴しているのです。そのほかの人物についても同じで自由を奪う権力に対して静かに反抗しているのです。つまり、この作品は何者からの圧力も受けていない状況が描かれた作品なのです。シニャックは権威そのものを批判するためにこの作品を作ったのです。

この作品はシニャックが権威を批判するために描いた作品ですが、プロパガンダであることが政府にばれてしまうと世間の目にふれられることなく終わってしまします。そこで彼は当初予定していた作品名である、『アナーキーな時間』から『ハーモニー』という題名に変更しました。本当に皮肉なことですが、権威そのものを批判する作品を残す為に、権威に屈せざる負えなかったのです。

さいごに

いかがでしたでしょうか。シニャックが絵に込めた思いを知ると新しい世界を垣間見れた感じがしますよね。少しずつではありますが、今後も気になった作品や画家についてご紹介してきたいと思っています。



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