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いち魚好き、漁業のサステナブル化に思いをはせる(「Tカードみんなのエシカルフードラボ」コラム)


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「Tカードみんなのエシカルフードラボ」の記録係、山本章子です。

私は、おいしい魚が大好きです。関あじ、関さば、皮をあぶった金目鯛のお刺身、銚子の岩牡蠣、富山のしろえび……。

以前、肌の色やハリ艶、首のシワ、むくみ、血管などからその人が不足している栄養素、改善すべき食習慣などをアドバイスしてくれるトレーナーに軽く診ていただく機会がありました。そのとき言われたのは「魚、とくに生魚をよく食べませんか? 体の冷えが強いですね」。見る人が見れば「外見にまであふれ出るほどの魚好き」ということでしょうか。


日本の海の現状を知る

でも、「Tカードみんなのエシカルフードラボ」の有識者のひとりであり、日本の海と水産物を守る活動をしている佐々木ひろこさんに話を伺うまでは、魚をとりまく現状についてまったく知りませんでした。例えば、以下の3点。

1 1984年のピークからおよそ30年で日本の漁獲量が1/3まで減少していること

減少の要因のひとつは、乱獲。とはいえ、漁師が法を犯して魚をとりすぎてきたわけではなく国策として漁業を拡大したことや、船の性能が上がって大量漁獲が可能になった現状に規制が追いついていなかったことなどが理由にあげられます。この状況をふまえ、2018年に約70年ぶりに漁業法が改正。「水産資源の持続可能な利用を確保」が明文化されたそう。海に囲まれている国だから、当たり前のように魚が食べられると思ったら大間違いなんですね。

2 太平洋クロマグロ(近海本マグロ)やニホンウナギが絶滅危惧種であること

漁獲量全体が減少しているなかでも、みんな大好きマグロとウナギはまさに危機的な状態。マグロは卵を産む前の幼魚や産卵期の魚を大量に捕獲することが減少につながっているといいます。また、食べられているニホンウナギのおよそ半分から7割程度が違法に漁獲、流通された稚魚から育てられているそう。

3 全国で未利用魚問題があること

未利用魚とは、網漁で水揚げされるにもかかわらず、サイズや数が揃わない、鮮度落ちが早い、マイナーな魚種などの理由から買い手がつかない魚のことをいいます。手間をかけて出荷しても利益が出ないため、自家用にするか廃棄処分になってしまいます。ある地域では出回っている魚種でも、別の地域では未利用魚になってしまうというケースも。また、人気の魚種でもサイズが小さすぎて未利用魚にされてしまうことがあるそう。この場合は「稚魚をどう使おうか?」と考えるのは本末転倒で、稚魚が水揚げされないよう網のサイズを細かくするなどの対処が必要だといいます。

こういった状況を受け、漁業者もサステナブルな漁業への取り組みを始めているといいます。富山県のしろえび漁師はチームを組んで科学的なデータにもとづいて漁獲量を決め、その日にとった量を分配する方法をスタート。これはさまざまな分野で注目されるオープンシェアともいえる画期的な事例で、水産物の価格や漁業従事者の収入が安定するだけでなく、資源が守られます。


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持続可能な漁業のために消費者ができること

では、持続可能な漁業のために、消費者側は何ができるのでしょうか?

ひとつには、サステナブル・シーフードの世界的な認証(MSC、ASC等)の認知を広めることがいえそうです。サステナブル・シーフードとは、水産資源と環境に配慮した持続可能な方法でとられた水産品。MSCは天然もの、ASCは養殖ものに付けられる認証です。日本の大手のスーパーでも、認証マークが付いた水産物が見られるようになりました。こういった商品を選んで購入することは、エシカルな消費につながります。

また、佐々木さんが理事を務める「シェフス フォー ザ ブルー」(日本のトップシェフと海の未来を考える団体)のメンバーの取り組みにも注目です。ミシュラン一つ星を獲得した『シンシア』の石井シェフは、サステナブル・シーフードをテーマにした姉妹店『シンシアブルー』をオープン。フランス料理店『ラペ』の松本シェフは、未利用魚を使った練り物を提供する『おでん屋 平ちゃん』を2021年6月に開店しました。

サステナブル・シーフードを取り扱う小売店や飲食店が増えていくためには、お店のオーナーやシェフだけでなく消費者のニーズが欠かせません。「このお店やレストランに行けば、おいしい魚を心から楽しむことができる」というお店選びの基準をもつことで、サステナブル・シーフードが価値になっていき、豊かな海を取り戻すことにもつながります。いや、なにより自分自身が魚を食べ続けるために必要なアクションです。

5年後も10年後も最後の晩餐も、おいしいお刺身が食べられますように。




シェフス フォー ザ ブルー
https://chefsfortheblue.jp/

シンシアブルー
https://www.facebook.com/sincereblue0911/

レストラン ラペ
https://lapaix-m.jp/



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“持続可能な食”につながるエシカルフードアクションについて考え、行動していく共創型のプラットフォームです。 https://ethicalfoodlab.tsite.jp