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【読書】「言葉の贈り物」若松 英輔

著者の経験を、愛読する書物とともに見つめ深めたエッセイ集。

水や空気、食べ物がなければ生きていけないのと同じように、言葉もまた私たちが生きるのに不可欠なものである。

なぜなら、言葉は、文字通りの意味で心の糧になるからだ。

身体が食べたものでできているように、心はそれまでに接してきた言葉によって養われている。

たとえ食べない日があったとしても、言葉から離れることはない。にも関わらず、人はそのことを忘れがちだ。

言葉とともにありたいなら、その奥にある無形のコトバの存在を認めなければならない。

コトバとは、生き、うごめく意味のかたまり。ある時には言葉となり、またある時には文字になることを拒むことすらある。

「言葉を自分の道具にするのではなく、言葉と共に何かを世に顕わすこと、それが書き手に求められている人生の態度である」と著者はいう。

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