多様性って...?

「多様性」って言葉を最近よく聞くけど。どういう意味だろう。
今まで「何となく」理解した気でいただけで、
本当の意味を理解していなかったんじゃないか、と思わせてくれた
本を紹介する。
「理解できる」「理解できない」とか
「認める」「認めない」とかではなく、「受け入れる」こと。
そう思い込んでいたけれど、簡単に説明できることではないんだな、と。


正欲/朝井リョウ



朝井リョウ作家生活10周年記念作品。
朝井リョウの小説やエッセイが好きで、今まで刊行された作品は
ほぼ全部読んできたけれど、これは今までのとテイストが違い、
かなりの衝撃を受けた。朝井リョウ作品を読むといつも「なんでこんなにも女性の気持ちを描写するのがうまいんだろう」と思っていた。でも今回はそう思わなかった。というか、それ以上の衝撃が走った。読了後、こんなにも心にズシーン。と響いたのは初めての経験で、脳の疲労感が激しくてすぐに次の本を読みたいという気持ちにならなかった。ちょっと休ませて…と。

自分が「マジョリティ」の人間だと思い込んでいる人だって明日には「マイノリティ」になるかもしれない。自分は知らぬ間に「受け入れる」側の人間だと思いこんでいるのでは?そしてその立場であることに安住しているのでは?

読了後、タイトル「正欲」の言葉が持つ意味を考えてみた。
「正しい欲」って?「正しい」って?
そして…「多様性」って?便利な言葉だけど、暴力的だ。

うまくあらすじが書けないので、とにかく読んでほしい(投げやり)。
「読む前の自分には戻れない」読書体験をぜひ。


ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー/ブレイディみかこ


「Yahoo !ニュース本屋大賞2019 ノンフィクション大賞」など、様々な賞を受賞した、ロングセラー。
アイルランド人と結婚し、息子とイギリスで暮らす日々のことがエッセイのような形で語られている。様々な人種の子どもたちが通う学校はまさに”世界の縮図”。
偏見、いじめ、格差、多様性など社会問題を扱っていながらも、とても読みやすい。遠い国で起きていることではあっても、それは軽視できない”現実”。
自分の無知さを痛感したと同時に、もっと視野を広げていきたいと思った。
大人びた考えを持つ息子に”一人の人間”として向き合う著者もすごいし、息子が将来どんな大人になるか、とても楽しみだ。

誰かの靴を履いてみること

他人の立場に立ってみるという意味。
この本で初めて知った表現だけど、英語らしい、わかりやすい言葉だなと思った。


続編がこちら。

前作より、イギリスの社会情勢について多く語られている気がした。
相変わらず息子の考えや発言が大人びていて、一歩引いた目線で物事を見ているなあと感じるシーンが多かった。色々なことが吸収できる中学時代に、多様性に溢れた友達や先生に出逢うと、視野が広がって確固とした自分の軸が出来上がるんだろうなと。

どっちが正しかったのかはわからないよ。
僕の身に起きることは毎日変わるし、僕の気持ちも毎日変わる。
でも、ライフって、そんなものでしょ。後悔する日もあったり、後悔しない日々もあったり、その繰り返しが続いていくことじゃないの?


今、この本に出会えてよかった。
今回は電子書籍で読んだけれど、紙の本を買って手元に置いてこれから何度も読み返したい。

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