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クリエイター魂を型にはめるな

なかなか興味深いニュースが出たので、読み込んだ記録として残します。

1人のクリエイターとしてはこうありたいと願います。

2024.5.10 18:52 追加状況更新

iPad Proのプロモ映像での混乱

iPad Proのプロモ映像についてAppleが謝罪しました。全文を引用します。

Apple、新iPad Proの動画「Crush!」について「的外れだった」と謝罪

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米Appleが新iPad Proの高機能を紹介する目的で公開した動画が広範な批判を招いたことを受け、Appleは米広告業界メディアAd Ageに謝罪声明を送った。

新iPad Proの特徴の1つはその薄さだ(画像:Apple)

Ad Ageの5月9日付の記事で、Appleのマーケティングコミュニケーション担当副社長のトール・ミューレン氏は「Creativity is in our DNA at Apple, and it’s incredibly important to us to design products that empower creatives all over the world. Our goal is to always celebrate the myriad of ways users express themselves and bring their ideas to life through iPad. We missed the mark with this video, and we’re sorry.(創造性はAppleのDNAに組み込まれており、われわれにとって、世界中のクリエイターに力を与える製品を設計することは非常に重要です。Appleの目標は、ユーザーがiPadを介してアイデアを実現する無数の方法で自己表現するのを称賛することです。だが、この動画は的を外していました。申し訳ありません)」と謝罪した。

この動画は、iPadには音楽やゲーム、写真などのための多数の機能が非常に薄い筐体(厚さはApple史上最薄の5.1mm)に搭載されていることを表現したもののようだったが、巨大なプレス機で楽器やゲームキャラクター、立体化した絵文字などを潰していく様子が破壊的だと批判が高まった。

この動画はティム・クックCEOのXポストとYouTubeのApple公式チャンネルで視聴できる。クック氏のポストには本稿執筆現在、約1万5000件の返信が付いており、その多くは批判的なものだ。なお、YouTubeのコメント欄はオフになっている(Appleは公式チャンネルの動画のコメント欄をすべてオフにしている)。

Ad Ageによると、Appleはこの動画をテレビCMとして流す予定はないという。
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Apple、新iPad Proの動画「Crush!」について「的外れだった」と謝罪

元動画は👇こちら。

新型iPadのPVは、なぜここまで不快なのか 日本の著名クリエイターらが「嫌悪感」続々考察「多様性を破壊」「『必然性』が欠落」

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米アップルが新製品発表に際して、タブレット端末「iPad Pro」新作のプロモーションビデオを2024年5月7日(現地時間)に公開し、その内容が日本のXユーザーの間で波紋を広げた。著名クリエイターらからも様々な声があがっている。

【画像】ティム・クック氏の投稿

■「これまでにない薄さ」を動画で表現?ティム・クック氏もXでアピール

 問題の動画はアメリカのポップス・デュオ「ソニー&シェール」の楽曲「All I Ever Need Is You」が流れるなか、巨大なプレス機が稼働する様子が映し出されている。様々な楽器、スピーカー、ゲーム機、テレビ、カメラ、本、画材などが高く積み上げられているものの、あっけなく圧縮。広い台座にiPadだけが出現するといった内容で、多機能なiPadの薄さが強調された。

 アップル最高経営責任者(CEO)のティム・クック氏も8日、Xで動画を紹介し、「これまでにない薄さ、これまでにない先進的なディスプレイ、そしてM4チップの驚異的なパワー。このiPad Proを使って、どんなものが生み出されるのか、想像してみてください」と投稿している。

 この動画はTikTokの流行に着想を得たのではないかという見方がでているほか、特に日本のユーザーから、「iPadのpvほんとグロい、ユーザーに物作る人多いだろうに彼らが傷つくことを平気でやっている」「自社以外の技術にリスペクトがない」「どこかの誰かが勝手に作った悪趣味映像だと思ったら、ティム・クックさんがアップしてた。正気かアップル。。。」などと批判が相次いでいる。著名クリエイターらの間でも話題だ。

 人気ゲーム「どこでもいっしょ」開発元・ビサイド(東京都立川市)の南治一徳代表は、「Appleにしては随分と下品なPVを作ったものだな...、誰も止めなかったのか。このシーンだけで、新しいiPad Proの魅力大幅減だよ」と投稿した。

 リクルートグループのコーポレート、サービスのブランディングを担うクリエイティブディレクター・萩原幸也氏は、「今さらiPadに『こんなに機能が凝縮された』といったメッセージが必要だったのだろうか。後で、ほとんどCGでしたって出てきそうだが、そこは本質的では無い」と述べている。


「何故iPadのCMはこんなにも嫌な気持ちになるのか」
 動画に不快感を覚える理由については、このような考察も。

 独自動車メーカー「アウディ」を手がけたことでも知られるプロダクトデザイナー・和田智氏は、アップルファンでもあり、残念に思うとしながら、「過去のモノたちに対する敬意、それをつくってきた人たちに対する敬意が全く感じられない。木や石、モノには気が宿ると信じることが多い日本人には特に耐えられないのではないか。アップルよ、どうしたんだ」と苦言。

 実業家で動画クリエイターの明石ガクト氏は、「映画でモノがぶっ壊れても平気なのに、何故iPadのCMはこんなにも嫌な気持ちになるのか」と投稿。「それはそこに『必然性』が欠落しているから。映画でスポーツカーがペシャンコになるのはストーリー的必然性があるからokだが、これは広告という嫌われ者が単なる演出で潰しちゃってるから」との見方を示した。

 2025年大阪・関西万博に活用されるデザインシステムのクリエイティブディレクター/アートディレクターに就任したデザイナー・引地耕太氏は、「この広告のまずさは『多様性を破壊』し、ただ『ひとつの答え』に集約させた傲慢さを感じさせてしまったからだろう。Appleの『Think Different』という言葉にあるような他との『違い』、つまり他と違うクリエイティビティを尊重しリスペクトする事が彼らの哲学だったはず」などと疑問を呈した。
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新型iPadのPVは、なぜここまで不快なのか 日本の著名クリエイターらが「嫌悪感」続々考察...「多様性を破壊」「『必然性』が欠落」

読み取れる事実

・トール・ミューレン氏の謝罪声明はクリエイティビティに言及したアメリカらしい典型例
・今回の炎上は謝罪への認識が異なる様相を浮き彫りにしている
・謝罪声明の日本語訳の最後「だが、この動画は的を外していました。申し訳ありません」の「だが」は、英文には含まれていない
・「だが」は訳者が日本人向けに入れた逆接の接続詩
・この動画についてクリエイターから批判的なコメントが多数出ている

こうありたい姿

今回の炎上の背景として、外国人と日本人ではモノへの愛着の湧き方が違う、と感じました。それはそれで国民の性質なので仕方がないと思います。ですから今回のような炎上は必然です。

日本人の視点から見ると、iPadの薄さのインパクトを伝えるために他より薄くないモノを押し潰すという発想はすごい。日本人ならまず思いつかないでしょう。そこは発想の起点として認めるべきです。映像は気持ちのよいものではないですが、私は、Appleよくやった、と最初に言いたい。

そして謝罪声明の日本語訳の最後の「だが」の句。訳者がアメリカ的な謝罪形式をできるだけ日本よりに向けたいという意図が見えます。言語間、文化間の差をなるべくフラットに保とうとする職業的な使命を感じました。これも素直にすごいなと思います。

ただ、誰かが批判を始めると一声に世界的に批判の声があがっていくのは、うがった見方としても、この炎上を捕まえたのでそれに乗っかりたいみたいな妄想が見え隠れしていて、なんか気持ち悪い。

そもそも批判をしている人たちは、メディアからマイクを向けられたクリエイターの方々でしょう。それらの偉大な方々が、クリエイトする視点で「ただ壊すだけ」の動画を批判しまくっている、しかもその理由が冒涜だのクリエイターへの敬意がないだの、すべて自分の視点からのみ。

私は日本人なので、モノに対する敬愛・尊敬もわかるし、職人的な気持ちもよくわかります。

でも批判する方々は、創造(クリエイト)と破壊が1セットであることをお忘れではないですかね。破壊すること=クリエイターへの冒涜は、単なる言い過ぎのような気がします。また、壊すということにモノを作る側のクリエイターが批判的であることも理解し難い。

今回の動画は気分がよいことはないですが、まずは動画の意図はなんだろう?と最初に考えて、そこから作り手の意図を汲む、これが次なるモノをクリエイトする立場の人がすることじゃないでしょうか。

日本の職人さんのモノへの敬意・愛着心・向き合い方はすばらしいものですし、自分もその点はいつも気にかけているつもりです。でもモノを敬愛することと、モノへの敬愛を持つことは違う。モノを敬愛していたらそのモノが壊されることに自分が壊される感を感じますが、モノへの敬愛を持つこと自体をリスペクトしていたらモノはあくまで道具として見ることができ、一歩引いた創造的な見方(破壊も創造の一部であると認識すること)ができるはずです。

少しでもモノづくりに関わるクリエイターのみなさま。

表現手法が冒涜だからって、クリエイター魂をしょうもない型にはめるな!表現手法は本来なんでもありなはずだろう!!!

と声を大にして、言いたいことを書いてみました。

あとマスコミもやっぱり、クリエイターが何を考えているのか掘り切れていないですね。クリエイトする立場からの記事がでないかなぁとひそかに期待しながら、この事象をしばらく注視することします。

みなさまはどうお考えでしょうか。

モノをつくる(クリエイトする)とはどういういことか。こういう機会にでも一度考えられると、自分の今後に活かされる何かが得られるのではないかなと思います。


追加状況


#創造 #クリエイト #破壊 #モノづくり #毎日note #ニュース #Apple #iPad


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