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【気になる生態】 #22 骨の髄まで骨髄好き 「ヒゲワシ」

猛禽類をはじめ鳥類の多くは、食事をする上で胃に入ってしまった骨や毛をペリットとして吐き出す習性がありますが、その骨をも溶かしてしまうワシがいます。

その鳥の名はヒゲワシです。

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猛禽類の中でもかっこいいタイプではなく、どちらかというとやばいタイプを連想させますが、こんな顔して意外と臆病というから驚きです。

嘴から顎にかけて生える黒い毛の部分がヒゲワシと呼ばれる由縁です。どちらかといば目の周りが赤いということの方が印象的なのですが。

そんなヒゲワシの特徴はなんと言ってもその食べ物。以前コンドルは死肉を餌にするスカベンジャーということを紹介しましたがヒゲワシはその先を行きます。

ヒゲワシは肉を食べずにスカベンジャーが貪って残った骨を食べます。

固い骨を体に吸収できる理由のはコンドル以上の強力な胃酸を持っているからです。骨から栄養吸収できるのかよと思いますが、栄養価の高い骨髄を食べているようです。

ラーメンのスープを作るためによく仕込みの段階で骨を金槌で叩いて骨髄の旨味を出すようにしていますが、ヒゲワシは金槌いらずというわけです。

しかしさすがに大きな骨となると食べるのが大変みたいですが、ここでヒゲワシは骨を食べやすくするために大変頭のいい行動に出ます。

骨を上空から岩に叩きつけて食べやすい大きさにするのです!

山岳地帯で凸凹な岩肌をうまく利用した、ヒゲワシだけがなせる技です。

小動物を捕食することもあるのですが、亀も叩きつける対象になるそうです。

亀って割れるんだ。。。

この技は子供の頃から習得されているものではなく、覚えるまでに7年ほどかかるそうです。上から落とすだけだろと簡単に思ってしまいがちですが、高さや角度など難易度が高く習得するまでに時間のかかる熟練の技だということです。

高さ50mから狙ったところに落とすと考えると人間でも難しいですね。何事も練習が必要だということを教えてくれるかのようです。

この技が代々受け継がれてきたからヒゲワシは他の鳥と餌を争うことなく生き残ってこれたのです。

そうなると子供の頃は何を食べているんだということがとても気になり、日本で唯一ヒゲワシを飼育している静岡市立日本平動物園に連絡してみました。

担当者の方が言うには、親が食べた骨の消化物を与えていると言うことです。それによってヒナも骨髄の味を覚えるそう。なんとヒナに遺伝的に強い胃酸を持っているようです。

肉食の猛禽類だとあまりイメージのない餌の与え方なのですが、骨を食べるヒゲワシならではかもしれません。

骨を見つけてもヒナに与えるまでにまずは割って、それを食べて、ヒナに与えてと子育てに対してもまさに骨身をけずっていますね。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!



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