【気になる生態】 #5 干潟に集まる黒い影 「カワウ」
黒い体に黄色い口角、そして緑の瞳。異様な雰囲気を持つあの鳥。
今回はカワウについて書きたいと思います。
カワウは魚を食べる大型の水鳥です。
都市ではあまり見かけにくい鳥ですが、川や海に近いところに多くみられます。
名古屋には藤前干潟というラムサール条約に登録された干潟があります。
ここには自然豊かな生態系が広がっており、沢山の渡り鳥が姿を現します。
そして、その干潟を見渡せる場所には野鳥観察館があり、鳥を観察できるとともに干潟にどれだけの数の鳥が来ているか日々計測されています。
私自身も何度か訪れたことがあるのですが、毎回チェックするものがあります。
ではこの写真を見てください。
ある日の藤前干潟の鳥の観察記録です。
その中に圧倒的な数を記録する鳥がいます。
カワウ…3930!!!!!なんだこの数は!?
以前蟹江のICにいるサギのコロニーには4000羽生息しているという驚きがありましたがこちらも圧倒される数字です。
どういうことかと思い、望遠鏡で藤前干潟の堤防を眺めてみると黒い影がびっしりと並んでいます。干潮時は特にすごい数です。
写真はイメージ画像ですが、このような光景がずーっと横に広がっています。他の鳥たちもいるのですが、圧倒的にカワウが占領しています。
人が踏み入れない場所だからこそこれだけの数が集まれるんでしょうね。
2021年にはカワウの大群がNEWSに取り上げられていました。
おそらくこの記事に出ているカワウは藤前干潟に集まるのと"同一人物"です。
いつかこの光景が見られないかなと川沿いを歩く時には期待をしています。
こんなにカワウが群れるのはもちろん敵に襲われないようにという理由がありますが、カワウは餌となる魚を捕まえる際に集団で追い込み漁を行います。
水中の餌をつかまえる他の水鳥と違い体に油が少ないため、水の抵抗を抑えることで泳ぎやすくなっています。カワウがよく翼を広げているのは、その濡れた体を乾かしているのです。
おそらく藤前干潟のカワウが集まっているのは、餌を食べた後の日光浴をするために留まっているというのもあるんでしょうね。
また、カワウが1日に必要としている餌の量は500gで自分の体重の4分の1の量の魚を食べるそうです。しかも丸呑みです。
重すぎると飛べなくなるので、それを消化するための休憩時間にもなっているのかもしれません。
カワウの大群の1羽1羽がそれだけの量を食べていると考えると、いつか名古屋港の魚がいなくなってしまいそうで怖くなります。おそらくそんなことはないのでしょうが…。
ただ、実際に川などでは鮎などの魚の水産被害が出ているところもあるようです。
またカワウは糞尿被害もひどく、酸性の糞は木を枯れさせてしまいます。
弥富野鳥園にあるカワウのコロニーを見にいったことがあるのですが、遠くからでもわかるくらいに木が白く枯れていました。
未だ解決方法が見つかっていないということで、過去には肥料としても使われていたこともあるのだそうですが、労力がかかるのと化学肥料の発展により衰退してしまったそうです。
いずれは何か解決方法が見つかってほしいですね。
ちなみに滋賀県の琵琶湖にあるコロニーは全国でも最大規模であり、かつては40000羽生息していたそうです。現在は数を減らしてしまったものの、一度訪れてみたいなと思っています。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!
今度はウミウについての記事も上げたいと思います。
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