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運動遊び2 自然遊び

就学前施設での運動遊びは、保育者の意図を反映した遊びの中で体を動かしているうちに自然に運動に繋がっていると、前回お話ししました。

今回は、遊んでいるうちに自然にとはどういうことなのかをお伝えしたいと思います。


1. 就学前施設の外遊び=運動遊び

外遊びではドッチボールや、鬼ごっこなどいかにも体を動かしている遊びでなくても多かれ少なかれ必ず体を動かして遊んでいるはずです。

私は遊んでいる子どもの姿を『運動遊び』の視点から丁寧に見取り、この遊びでどんな動作が獲得され、どんな動作が不足しているかを見つけ、不足している動作が獲得できるよう遊びの中身を再構築したり、別の保育活動でその動作獲得できるようにしています。

2. 通常の遊びでは獲得しにくい動作がある

幼児期には36種の基本動作があり、それをバランスよく獲得できる保育内容が理想だと私は考えています。

表中の網掛けの部分が獲得しにくい動作です。

3. 自然遊びは多様な動作を獲得しやすい?

私は子どもが喜んで遊んでいるうちに多種多様な動作を獲得するのに最適なあそびは自然遊びではないかと考えています。
大きな木を運ぶ、形状や重さが揃っている既製品ではない自然物を使って遊んでいるうちに様々な動作を経験します。

大きな木の枝を運ぶ、という活動の中にバランス・移動・操作の中の
多様な動作があります。

4. 運動遊びは、子どもが喜んで遊んでいることが最も大切

保育者が「動作獲得をねらいたい」と強く考えすぎてしまうと、遊びが『訓練』や『トレーニング』色が強くなりすぎ、子どもが喜んで遊ぶというよりは保育者の指示に従っているだけ、という遊びに陥ってしまう危険性があります。
運動遊び(動作獲得)は子どもが喜んで遊ぶことができる遊びの環境構成、であることが最重要事項だと思います。

5. 私の経験では・・。

私は若い頃、動作獲得の視点ばかりが強くなってしまい、施設の裏山を登る遊びを保育に取り入れ、登ることが目的となり、遊ぶというよりは訓練色が強くなってしまったことがあります。

遊びの後の振り返りの時間で子どもたちが「楽しかった」という言葉に、私自身が「子どもは楽しんでいる」と思い込もうとし、胡坐をかいていたのです。
今振り返ると、自衛隊の訓練のようにも思えます・・。(^-^; 反省です(-_-;)

余談ですが、山登りに持っていくロープは金剛打ちという種類でほどけにくく、綿素材のものが最適だと個人的には思っています。子どもが手に取って遊ぶ素材には拘りたいものですが、これを探し当てるまでにかなりの時間が掛かったことがあるので参考までに・・・。

話を戻しましょう。
ある年、山登りの時間に涙が出ている子どもがいました。少し配慮のいる子どもでこの山登りの時間は苦痛なのだろう感じ、別の遊びで山登りと同じような経験ができたらいいなと考え、遊びを検討しました。

そこで、山登りの代わりに、山のかくれんぼ(オリエンテーリング)をすることにしました。
山の中に隠れた色々な虫や動物(のカード)をさがす、という遊びです。
保育者が事前に高い木の枝や、岩の影、草むらの中、などにカードを隠し「あらぁ、こんなところにアリさんがいるよ」と声をかけると、子ども達は「もっと隠れているかも!」「さがそう!」と探し始めます。
保育者が意図をもって斜面の高い木の枝や、岩を登った先などにカードを隠しておくことで子どもたちは喜んで遊んでいるうちに様々な動きをします。

草むらに隠れているだんごむし
木の上で寝ている鳥

カードは10種くらいの生き物や植物を選び、大きさを意図的に様々に変え、ラミネートして紐で固定しました。

山登りの時間になると涙が出ていた子どもが斜面をドンドン登り、高い木の枝の上の鳥のカードを見つけ、嬉しそうに「あったよ」と持ってきた時には私も嬉しい気持ちになり「すごい!そんな上の方に居たのに見つけることができたの?どうやって捕まえたの?」と聞くと、「登って行ってきたの!」と満面の笑みで答えてくれました。

自然の中で遊ぶと、喜んで遊んでいるうちに運動遊びに繋がっている

6. まとめ

自然あそびは、運動遊びにつながるだけでなく幼児同士のかかわりや人間関係の育ちにもつながる保育活動でもあり、保育者がどれだけ多くの視点をもって保育展開をしていくかで1つの活動でコスパ良く、多くの経験を積むことができると私は考えています。自然保育は何も山や森に行かなくても身近な自然でも経験できると思います。私が何度も読み返している本をご紹介したいと思います。


限られた時間で多くの経験が積めるよう保育者は常にコスパを考え、保育内容を検討していきたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございます。
明日も楽しい保育でありますように♡

※ Amazonのアソシエイトとして適格販売収入を得ており、コラム内の商品については個人的感想であり、何ら保証するものではありません。


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