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リリース間近のソフトウェアUIを初公開!0→1サービス開発の裏側

ついに第一弾となる「NOT A HOTEL AOSHIMA」が竣工を迎え、サービス提供開始間近となりました。これまでどのような体験を目指し、どのようなソフトウェアを開発してきたのかをご紹介します。

このnoteは2022年9月12日に開催された「《リリース間近のソフトウェア初公開》メンバーが語るサービス開発の裏側|NOT A HOTEL TALK #01」のレポート記事です。

NOT A HOTEL AOSHIMA

NOT A HOTELが目指す体験価値とは?

NOT A HOTELでは、TECHNOLOGY / ARCHITECTURE / FINTECHの要素を織り交ぜ、別荘にも自宅にもホテルにもなる空間をつくり、世界中に家がある「あたらしい暮らし」を実現しようとしています。そのために、建物からソフトウェアまですべて開発しています。

今回は、主にソフトウェアとして開発している3つのシステム、オーナーアプリ、スマートホームコントローラー、ホテル運営ツールを実際の画面とともに紹介していきながら「あらたしい暮らし」とはどのような体験なのかを説明していきます。

1. オーナーアプリ

建物のオーナーが使うアプリです。NOT A HOTELには“シェア購入”という仕組みがあり、年間30日単位から建物を保有することができます。言い換えると一つの建物に対してオーナーが最大12名いることになります。

各オーナーは、このアプリから自分で使う日程をスムーズに予約することができます。予約が完了すると当日にはスマホ自体が鍵となるので、簡単な無人チェックインで自宅のように部屋に入ることができます。

自分で使う際にも食事や清掃といったホテルサービスを受けることができ、その窓口になるのもオーナーアプリです。部屋にはホテルスタッフに問い合わせをするための電話はありません。ほとんどのやりとりはオーナーアプリ内のチャットで自己完結することができます。

他にもオーナーが自分で使わない日程を簡単にホテル運営に切り替えたり、ギフトとして他の人に宿泊をプレゼントしたりすることもできます。

2. ホームコントローラー

実はNOT A HOTELの部屋には電気などのスイッチが一切ありません。代わりにあるのはiPadと音声デバイスのみです。そこからホームコントローラーにアクセスすることができ、照明、テレビ、空調、カーテン、ブラインド、床暖房、加湿器、サウナや水風呂など全ての設備を操作できるようになっています。

このホームコントローラーが重要となる理由のひとつに“相互利用”という仕組みがあります。建物を1つ所有すると、全てのNOT A HOTELの建物を使用することができるというシステムです。
詳細はこちら:https://notahotel.com/about-mutual-use

これから全国各地、そして世界にNOT A HOTELをつくっていこうとしています。相互利用によってNOT A HOTELのオーナーが、全国そして世界各地に自宅を持つことができる世界観を目指しています。

このとき、はじめての拠点に滞在する度に電気のスイッチやエアコンのリモコンを探さなければいけないとすれば、自宅のような体験とは言いにくいです。そのためどのNOT A HOTELに滞在してもストレスなく快適に過ごすために、部屋の使い方に統一感をもたせています。それを実現するのがこのホームコントローラーであり、すべての部屋で一貫したUI/UX、直感的に理解できる操作方法によりすべての設備をコントロールできるようにしているのです。

3. ホテル運営ツール

ホテル運営ツールは、ホテルとして運営する際のオペレーションを効率化し、高水準のサービスを安定的に提供するためのシステムです。NOT A HOTELが目指すのは、極論、オペレーションのスタッフ人数をゼロにしたとしてもその体験が感動的であるというものです。

もちろん本当にゼロにするということではなく、自動化できることは自動化し、美味しいお食事の提供など人の手でしかできないことに選択と集中をするというのが目指している理想像です。

例えばホテルに宿泊している際、ホテルスタッフにルームサービスで何か持ってきてほしいといった要望を内線で伝えるような場面があります。NOT A HOTELでは室内に小さな無人コンビニを設置し、アメニティ・ワイン・軽食など必要となりそうなものは最初からすべてそこに用意します。利用者がほしいときにその場でレンタル/購入ができるようにしておけば、ストレスなく過ごしていただけます。

無人コンビニテスト時の様子

また人が介在すべき点の中でも、オフラインでその場にいる必要がないものもたくさんあります。そういったものは先に話したチャットを通じて、離れたところにいるカスタマーサクセスが対応することができます。

このような仕組みを整えることで、各NOT A HOTELにおいて、現地スタッフの人数を最適化することができますし、対面でのおもてなしなど、真に介在価値を発揮すべき領域に集中することができます。

ソフトウェア開発に関する質疑応答

ここからはイベント中にいただいた質問とその回答をご紹介していきます。登壇メンバーのプロフィール詳細はPetixイベントページに記載しています。

開発体制

オーナーアプリ
布川(PdM): iOSチームとWebチームに分かれて開発を進めています。iOSチームは正社員1名+5名ほどのパートナー(稼働時間は40~80hなどバラバラ)が在籍しています。Webチームは フロントエンドがパートナー4名、バックエンドがパートナー5名で開発しています。 

ホームコントローラー
黒岩(Engineer): PdMが1名に、バックエンドは正社員1名+パートナー2名、iOSエンジニアは正社員1人+パートナー1名、全体を統括しているエンジニアが1名です。PdMが目に見えるデザインから仕様に落とし込んでいき、機能レベルの仕様はエンジニアがメインとなってディスカッションを通じて決めていきます。

ホテル運営ツール
八代(PdM): PdMが1名に、バックエンドに正社員が1名、加えて業務委託のメンバーがフロントとバックエンドにそれぞれ1名ずついます。

プロダクトの体験設計でこだわっている点

井上(CXO): アウトプットから創っていく点です。基本的には文字や文章よりも、目に見えるデザインから完成イメージをつくっていくことが多く、そこから機能や仕様に落とし込んでいきます。しかしソフトウェアだけの開発と違って、建築物という物理的なものをともなうプロダクトなので変数が多く、開発過程でさまざまに改善が加わり完成する頃には当初の想定と全然違うものができあがることもあります。(笑) 変化の多さとスピード感は大変な部分ではありますが、それこそがNOT A HOTELのおもしろさだとも思っています。

プロダクト横断的にデザインや体験を統一するための工夫

井上(CXO): プロダクト開発に関わるメンバー全員で同期点を多くするために、話す機会を意識的に設けています。週毎回30分程度の朝会を行ったり、ホテルサービスのチームや、建築チームとの定例などもあります。話す機会が多くなると時間の使い方として非効率になる部分もありますが、さまざまな要素が絡み合うNOT A HOTELでは、違う専門性をもったメンバー同士がいかにフルリモート環境でも「認識を合わせられるか」ということが重要です。そのため現段階では、横の連携を取るための時間を多く取るようにしています。

これまでで一番大変だったこと

八代(PdM): 建築があり、ソフトウェアもあり、建築とソフトウェアを繋ぐスマートホームという新しい試みをしています。これまでにない体験を創っていくのは、超えていくべきものが多くチャレンジングです。それと同時に、これまでにない新しい暮らしをを自分たちが生み出しているという楽しさやワクワク感もあり、表裏一体だとも思ってます。

例えばホテル運営ツールを考えるときは、実際にホテルスタッフやシェフの方と多く話します。その際、彼らがサービスを提供する視点での考え方と、私たちがソフトウェアを開発する際の視点には違う部分がたくさんでてきます。どちらも「お客さまに喜んでいただく」というゴールは同じなので、そのために共通言語をつくることから始める必要があるのですが、これが初めての経験なので大変だと感じます。前提条件を整えたり、何を決めていくのかを事前に明確にしたりすることは、今でも常々意識するようにしています。

技術/開発面で自慢したいところ

志内(Engineer): iOS開発については、SwiftUIという新しい技術を使っているのは楽しいと感じます。もちろん世の中にはSwiftUIを使ったアプリはいくつか出ていますが、iOS14以前の古いバージョンを使っていると開発コストが非常に高くなってしまいます。NOT A HOTELではiOS15以上を使っているので、新しいAPIを惜しむことなく使うことができます。

他にも、アーキテクチャにTCAを採用していたり、SPMを使ってマルチモジュール化していたりと、技術的に新しい挑戦ができています。詳しくは下記のnoteをご参照ください。

参考: なぜ設立2年のNOT A HOTELはiOSアプリ開発でSwiftUI×TCAを採用したのか?|Yusuke KUROIWA / きんちゃん。|note

黒岩(Engineer): バックエンドは、すべてGoでアプリケーションを実装しています。
また、インフラ基盤にはGCPを使っています。API のホスティングに関しては、Cloud Runを利用し、本番環境では20個のサービスがあり、アプリやサービスごとに使い分けています。

スマートホーム領域では、物理的なインフラと、クラウドのインフラのつなぎ目であれこれやるのもNOT A HOTELならではの技術的におもしろいところです。Cloud Run をすべてパブリックに置くのではなく、Ingress Internalで必要最低限なセキュリティを担保しつつ、Cloud VPN や Serverless VPC Connector などを使い、現地のスマートホームを実現するためのブリッジングサーバーと VPN で接続しています。

他には、例えばチャットアプリでは、Dialogflow CXを使っていて、AIによるチャットシステムのオートメーション化を進めています。これはまだ世の中的には事例が少ないように思います。

大久保(CTO): わりとモダンなことや新しい技術に挑戦しつつも、技術に振り回されず「どんな体験をいつまでにお客さまに届けるか」を関わるエンジニア一人ひとりがフォーカスして考えてると思います。僕としてはそこが本当にすごいなと思いながら、みんなと開発を進めています。

今のNOT A HOTELで働く楽しさ

八代(PdM): 1つ目は大変だったことと被りますが、建築や営業やカスタマーサクセスのメンバーなどいろんな分野のプロフェッショナルと密に連携しながら、これまでにない暮らしの体験を生み出せる点です。ソフトウェアで完結するサービスと比較して、建築やホテルサービスに結びつく体験づくりにまで関わる機会はこれまでになかったので新しい発見や学びがすごく多いです。

2点目は、スケールの大きさです。建物からその販売するシステムやホテルの運営システムまですべて自社で開発しているところは、なかなかないと思います。

この会社のこのフェーズでしか体験できないことがたくさんあって、その分難しいですし、自分の足りないスキルを日々実感するのですが、それに気づける環境もありがたいです。まだ想像しきれないことも多いですが、想像できないからこそ日々ワクワクします。そこに楽しさを感じてもらえる人にはNOT A HOTELはいい環境です。

井上(CXO): 新しいことだらけで、本当に分からないことだらけだといつも感じます。最初の頃はみんなホテルや旅館業のこと何も知らない、どんなことしてるんだろう?というところからスタートでした。そんな状態から自分たちでめちゃくちゃ調べて、前例がないことを一つ一つ形にしていく、そういうことが楽しいと思える人には合うと思います。

黒岩(Engineer): いろんな分野の専門家がチームにどんどん増えていくことにワクワクします。最初は建築の分野は全然分からなかったのですが、建築家のメンバーが入社してから直接いろいろ教えてもらって。逆にソフトウェアの専門分野のことはこちらから伝えて、お互い教えあったり。最近は宮崎出張の合間で、ワインソムリエからワインの注ぎ方を習ったりとかもありました。そうやってお互いの専門分野を学び合いながら前に進んでいくのはNOT A HOTELらしいところです。

さらにお話を聞きたい方はWantedly / Meetyへ

Wantedly / MeetyからNOT A HOTELのメンバーと気軽にコミュニケーションをとることができます。気になるトピックがある方は、ぜひカジュアル面談のお申し込みをお待ちしております。(多数ご連絡いただいた場合は、すべてにお返事を差し上げることが難しい場合もございます。ご了承ください。)

NOT A HOTEL TALKについて

NOT A HOTEL TALKはHR主催のトークイベント。建築、テクノロジー、クリエイティブ、NFT、FinTechなど、毎回異なるテーマでNOT A HOTELをブレイクダウンします。代表 濱渦伸次、チームメンバー、そしてテーマに応じたゲストをお迎えします。参加者のみなさんにもチャットやQAを通してトークにご参加ください。NOT A HOTELの裏側、カルチャー、採用に興味がある方も、ぜひご参加ください。

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