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映画『フルメタル・ジャケット』(1987年)のザックリとしたあらすじと見どころ

映画タイトル:フルメタル・ジャケット
原題:Full Metal Jacket
製作年:1987年 アメリカ・イギリス
監督:スタンリー・キューブリック

映画『フルメタル・ジャケット』は、

ベトナム戦争時の海兵隊を新兵の訓練と戦場との2部構成で描いた作品です。

人間の正気を奪っていく戦争の怖さー、なんて生ぬるい感想じゃ許されないクソ凄映画です。心してみるべし。

キャスト

・マシュー・モディーン(ジェイムズ・T・デイヴィス/ジョーカー)
海兵隊新兵 軍の準機関紙の報道員としてベトナムへ

・ヴィンセント・ドノフリオ(レナード・ローレンス/ゴーマー・パイル:ほほえみデブ)
海兵隊訓練生 ジェイムズのペア

・R・リー・アーメイ(ハートマン軍曹)
海兵隊の訓練教官

・アーリス・ハワード(エヴァンス/カウボーイ)
海兵隊員 ジェイムズと訓練を受けベトナムへ派兵

映画『フルメタル・ジャケット』の見どころと感想

サウスカロライナの海軍新兵訓練キャンプに入隊したジェイムズ(ジョーカー)。レナード(ゴーマー・パイル)やエヴァンス(カウボーイ)らとともに8週間にわたる鬼教官ハートマンによる厳しい軍隊教育を受けます。

訓練では徹底した叱責や罵倒によって完全服従を植え付け、殺人兵器(Full Metal Jacket=完全被甲弾)になるようにしごかれます。

そんな厳しい訓練を耐え、迎えた卒業式の夜。落ちこぼれながら射撃の腕だけは評価されたゴーマー・パイルが狂気の末、ハートマン教官を射殺。自らも命を絶ちます。

その後、戦地ベトナムに派兵されたジョーカーは広報の報道隊員として緊張感のない生活を送っていました。

が、ある日、前線へ送られ同期のカウボーイと再会します。
その小隊に同行するジョーカーが見た戦地とはー。

評)戦争と戦争に送られる人間の狂気を描いた傑作

前半の鬼教官による訓練シーンと”あの歌”で「ファミコンウォーズ」を思い出してしまう世代ながら、実は見ていなかったこの映画。

思いのほか訓練シーンが長く(ほぼ半分あります)、しごきも酷い。延々と続く鬼教官の罵詈雑言(「俺は厳しいが公平だ。人種差別は許さん。黒豚も、ユダ豚も、イタ豚も俺は見下さん。すべて平等に価値がない」)

その前半のラストも強烈です。想像していた戦争映画のイメージとは違うな、と思ったところで後半のベトナムのシーンへ。で、その始まりは明るい。報道隊員としてゆるく暮らすジョーカーの様子に戦地のほうが訓練よりマシかも、と思わせるのです。

が、そんなはずはありません。この2部展開の緩急の仕込みの凄さをこの後思い知ることになるのです。前線に送られたジョーカーが同行した小隊は敵スナイパーによって窮地に追い込まれます。同僚のカウボーイまでー。

そしてそのスナイパーの正体も衝撃。(有名な映画ですが、まだ見ていない人もいると思いますのでネタバレは控えておきます)

奪われるのは命や四肢だけではない。人間の正気を奪う戦地での体験。その恐怖に向き合わないよう戦士たちはミッキーマウス行進を口ずさむのかー。

スタンリー・キューブリック監督は、あえてベトナムを強調しない市街地での戦いを描き、ベトナム戦争を特例とはみなさなかったといいます。どの戦争にも、もちろん今起きている戦争にも置き換えて見ることができるこの映画。

戦争と戦争に送られる人間の狂気を描いた傑作『フルメタルジャケット』絶対に見ておくべき1本です。

あ、書きそびれましたが主演は当時アイドル的人気のマシュー・モディーン。近年はすっかり渋くなってドラマ『ストレンジャー・シングス』の”パパ”ことマーティン・ブレナー博士役ほか、で活躍中。
殺人兵器になり切れないジョーカーを好演しています。

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