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映画『こわれゆく女』(1975年)のザックリとしたあらすじと見どころ

映画タイトル:こわれゆく女
原題:A Woman under The Infulence
製作年:1975年 アメリカ
監督:ジョン・カサヴェテス

映画『こわれゆく女』は、

心を病んでいく妻とその夫の愛ゆえの苦悩を描いたヒューマンドラマです。家族という閉じた世界の中でこわれくゆ妻と、夫の不器用な愛。

ジョン・カサヴェテス監督と妻ジーナ・ローランズの狂気の演技で描く家族の愛とはー。

キャスト

・ピーター・フォーク(ニック・ロンゲッティ)
工事夫 イタリア系

・ジーナ・ローランズ(メイベル・ロンゲッティ)
ニックの妻 3児の母

・キャサリン・カサヴェテス(マーガレット・ロンゲッティ)
ニックの母

・マシュー・ラボートー(アンジェロ・ロンゲッティ)
ニックとメイベルの息子

・マシュー・カッセル(トニー・ロンゲッティ)
ニックとメイベルの息子

・クリスティーナ・グリサンティ(マリア・ロンゲッティ)
ニックとメイベルの娘

映画『こわれゆく女』の見どころと感想

(C)1974 Faces International Films,Inc.

土木工事の現場監督を務めるニック。妻と2人だけで過ごそうと計画していた夜、職場でトラブルが発生し帰宅できなくなります。

淋しさのあまり街に出て行きずりの男を部屋に泊める妻メイベル。そして翌朝、大勢の仕事仲間を連れて帰宅したニックに嫌な顔をすることなく、大勢の朝食を作って陽気にもてなします。

が、ニックの同僚とダンスをし始めたメイベルにニックは腹を立て気まずいムードに。仲間が帰ったあとも2人の口論は続きます。

別のある日、子どもの友だちと一緒に「白鳥の湖」の音楽に合わせて大騒ぎするメイベル。その様子を見た友だちの父親は驚愕し、これがもとでメイベルは入院させられる事態に。

メイベルを入院させたものの、後ろめたさにさいなまれるニック。子どもたちを喜ばせようとビーチに連れ出しますが、子どもともぎくしゃく。

そして半年後、メイベルの退院の日、ニックはお祝いの思いで大勢を家に招きますがー。

評)カサヴェテス ✕ ローランズの狂気で描く家族愛

夫婦2人の時間を過ごすためにニックの母に子どもたちを預ける冒頭のシーンから、メイベルが情緒不安定であることがありありとわかります。

人がいると何かと過剰に振舞ってしまうメイベル。夫の同僚たちや預かった子どもたちに対し、楽しませようとする純粋な思いと、そうしなければいられない焦燥が痛々しい。そんなメイベルに対する夫の愛が不器用すぎて、もっと労わらんかいっ! と言いたくなります。

周囲はメイベルが心を病んでいることはわかっているのですが、そこは夫婦のことなので介入しづらい。 70年代のアメリカの田舎町。家族は今とは比べ物にならないほどの閉塞感があり、そこに押し込められてしまう妻。メイベルはこわれてしまっているわけですが、どの家庭、どの夫婦、どの妻、夫だって、こうならないとは言えません。

こわれゆく妻を演じたジーナ・ローランズの演技は、まさに狂気。派手な言動のシーンだけでなく、ただ立っているだけの姿や、子供たちに向ける微笑み、頷きの一つ一つからも、メイベルがどういう精神状態にあるのかがにじみ出ているよう。

不器用すぎる夫を演じるのは『刑事コロンボ』で有名なピーター・フォーク。監督はジーナの夫、ジョン・カサヴェテス。で、驚くことにニックの母を演じるのはカサヴェテスの母、つまりホントの義母です。さらにけっこう重要な役どころである子どもたち。末娘のマリアの「ああ、この夫婦に育てられたんだな」と思わせる違和感も印象的。

ジーナ・ローランズの狂気だけではない見どころたっぷりの映画『こわれゆく女』。いや、でもやっぱりこのジーナ・ローランズは凄い、と言うしかない傑作です。

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