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【読書感想文】人事・評価制度について考えたかったのでアジャイル人事を読んでみた

こんにちは、おいとま(@not_barikyari)です。
ベンチャー企業でBtoBマーケティングの仕事をしており、生きづらい毎日を日々Twitterで披露しております。
最近noteはサボりがちでしたが、もともとセミナー企画とかホワイトペーパー企画とかコンテンツづくりが好きなので、noteを書くのも結構好きです。

今日は、2018年7月に発行されたハーバード・ビジネス・レビュー「アジャイル人事」の感想を書いていきたいと思います。

アジャイルとは?

そもそもアジャイルってなんだ?と思ったのでGoogle先生に聞いてみました。

アジャイルとは『すばやい』『俊敏な』という意味で、反復 (イテレーション) と呼ばれる短い開発期間単位を採用することで、リスクを最小化しようとする開発手法の一つです。

さて、わからんw
読んでいくことにします。

日本企業が「アジャイル」を実践する方法

ボストンコンサルティング グループ パートナー 桜井一正氏
ボストンコンサルティング グループ パートナー 高部陽平氏

日本の伝統的な企業で用いられることが多いウォーターフォール型の製品・サービス開発の課題として、ここでは以下の3点があげられていました。

・部門調整による遅延
・多大なドキュメンテーション工数
・土壇場での手戻り

うん。わかりますw

こうした課題を解消する手段として注目を浴びているのが「アジャイル」ということですね。
最小限の機能を有するアウトプットをいち早く市場に投入し、顧客の反応を見ながら改良を加えるというのはSaaSの開発では一般的なように気がします。

アジャイルの原則は

①プロセスやツールよりも個人との対話
②包括的なドキュメンテーションよりも動くシステムや成果
③契約や交渉よりも顧客との協調
④計画に従うことよりも変化への対応を重視した考え方

こうした原則を企業が体現するために、組織のあり方や人事・評価制度の変革も求められる、というのがアジャイル人事ということです。
確かにこれはベンチャーで働いていると結構日々当たり前になっていることなのですが、それを伝統的な日本企業で実現しようと思うと、確かに組織のあり方から変えなければいけないのかもしれません。

アジャイル化における従来型人事・評価制度の主な課題

①年次の目標管理制度
アジャイルとは1年後の目標など正しく設定できない、急速に変化する事業環境だからこその取り組み。環境変化が少ない状況を前提としている目標管理制度の足かせになることがある。

これは確かにーーー!というかベンチャーで働いていると朝令暮改も当たり前だったりするので、年次で目標設定はきついw

②全社共通の評価基準
アジャイルチームでは、顧客価値を高めるためにチームがゴールを決め、定量目標を設定し、その達成のためにチーム一丸となって力を尽くす。にも関わらず、顧客や事業環境が異なる他の組織、部門と同じ基準で個々のメンバーの報酬や昇進のもとになるパフォーマンス評価が下されてはメンバーの納得感が得られない。

ビジネスモデルやフェーズも違う別の事業や、目指すゴールが違う部門と同じ評価基準で運用するのって確かに結構キツいんですよね…。
採用要件がポジションごとにことなるように、評価基準がポジションごとに違ってもいいじゃんとは私も思います。

③相対評価によるランク付け
チーム全体のパフォーマンスが高いなら全員S評価でもかまわない、といった絶対基準での評価に移行しない限り、チームメンバー間に真の協働は生まれない。

これもそう。誰か一人しかSにならないとわかったら、無意識に足の引っ張り合いになってしまうのはちょっとわかるし、そうじゃなくても相手の言動にその意図を深読みしてしまうのは結構しんどい。

アジャイルチームにおける評価制度

①リアルタイムのフォードバック
②チームに応じたKPI設定
③個々人の成果やチームへの貢献度に応じた絶対評価

上記のような評価制度がもたらす成果として、

①外部環境変化への対応力が向上
→良くも悪くも、内を見て働くのではなく、顧客への価値提供にどれだけ貢献できたかで評価・育成されるようになるのは確かにいいですよね。

②各メンバーの成長スピードが向上
→これも、結構①に共通するのかも。あと、半期に1度フィードバックをもらうのではなく、2週間に1度のサイクルでフィードバックを受けられるのはいいいですね。

③自身の評価に対する納得性が向上
→リアルタイムかつ高頻度でフィードバックをもらえることに加えて、そもそもの報酬の原資がチーム全体のパフォーマンスで決まって、貢献度に応じて配分される、というわかりやすい構造になるから、とのことでした。

ただし、アジャイル化を成功させるうえで乗り越えるべき課題を理解せず、拙速に取り組んだ結果、中途半端なウォーターフォール型で終わってしまうこともと書いてあり、ベンチャーにもそういうところ結構多いんじゃないか、というのが個人的な所感です。

アジャイルが有効な条件

・トライアル・アンド・エラーが許容される
→製品・サービスをいち早く開発し、顧客からのフィードバックを得ることを前提としているがゆえに、それを許容してくれる顧客を確保していることが必要。

・短期間で成果を可視化できる
→トライアル・アンド・エラーが許容されても、取り組みは顧客から本当に評価されたかがわからないと正しいトライだったかが判断できない。
定量的かつ客観的なKPI設定をできない・成果の検証に数ヶ月を要する業務はアジャイルに適さない。

・最大20人の単位でチームが成り立つ
→むしろ出来る限り10人以下。それはわかる…!

チームを構成する人材の問題

・リーダーの力量に大きく依存
→でしょうね。むしろ、リーダーにその力量がないなかで、アジャイルを取り入れようとすると失敗する気がします。

・ジュニアメンバーの自律性が必須
→リーダーシップだけではなく、フォロワーシップも大事ということですね。ただ、これをどこまでメンバーに求めるのか…というのはありますね。
それができるメンバーは果たしてジュニアなのか?

日本企業のアジャイル導入に有効な3つのステップ

ステップ①「アジャイル特区」を設ける
ステップ②特区に適応する人事制度・評価制度を設計する
ステップ③汎用性のある制度を全社に移植する

いずれにしても、経営者のコミットメントが必要、とのことでまずは経営者の意識変革が欠かせないというのは間違いないな、と思いました。
というか、経営者が断固たる決意を持って①をやれるか、と②を徹底的に支援できるか(周りの口出しをどれだけ防げるか)に尽きるように思います。

採用、評価から育成まで アジャイル化する人事

ペンシルバニア大学 ウォートンスクール 教授 ピーター・カッペリ
ニューヨーク大学 准教授 アナ・テイビス

人事の分野では「簡易なアジャイル化」が進行していて特に以下の領域で変化が起きているそうです。

業績査定
年次の業績評価→手厚いフィードバックを大勢が頻繁に
コーチング
マネージャーのコーチング技能向上に注力
チーム
個人重視からチーム重視へ
報酬
年間の実績に基づいて昇級→従業員が望ましい行動をとったらすぐに報酬を与える・個別に給与を決めるために各人が何に貢献しているかどの分野で能力開発が必要かを分析・報酬の多様化(非金銭的報酬など)
人材の募集と採用
・職能横断的なチームがすべての採用案件に一体になって取り組む
・スクラムマスターが採用プロセスを監督し、案件を抱える採用責任者だけがチームに加わる
学習と能力開発
データ分析に基づいて具体的な職務や昇進に必要なスキルを特定し、当人の経験や興味関心を踏まえてどういった研修や職種が適しているかを各人に提示

ここは、大企業からベンチャーに転職してきて、実感している部分も多いです。

アジャイル化に向けて組織が取り組むべき3つのこと

①多角的なフィードバック
②現場での判断権限
③複雑なチーム力学

いろいろ書いてありましたが、②がすべてな気がします。
ティール組織、に近いのかな…ティール組織も読み返してみないとですが。

アジャイル化に向けた現状の課題

・一部の業務は従来通りルール重視で進めなくてはならず、そのような業務分野ではアジャイル人事が意味をなさない可能性がある。
・計画にもとづく「ウォーターフォール手法」と決別するには、多数の業務プロセスを変更しなくてはならない。
・人事部はITサポート分野の専門性を強化するほか、ハンズオン型管理やチームに関して知見を深める必要がある。

おわりに

このあと、IBMのCHROやマッキンゼー、カヤックのCEO、元ネットフリックスのCHROのインタビューが続きます。
各社がアジャイル人事を導入した経緯や実際の取り組みの内容が記載されています。今回は総論を知りたかった感じなので、個別のケースへの言及は行わずここで終わろうと思います。

アジャイル人事って何?と思って読み始めたのですが、SaaSのプロダクトの開発手法となぞらえると理解しやすく、日常のシーンに当てはめて考えることができました。

最後までお読みいただいた方、ありがとうございました!

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