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スリル・ミー初見で松岡×山崎ペア配信を見た感想

20代社会人です。

5/29配信のミュージカル「スリル・ミー」松岡広大(私)×山崎大輝(彼)ペアを見てみての感想記事です。

スリル・ミーとは

監獄の仮釈放審議委員会。
収監者“私”の五回目の仮釈審議が進行中である。
34年前、“私”と“彼”が犯した犯罪。
物語は、34年前に静かに遡っていく——。
19歳の“私”と“彼”。
ある契約書を交わした2人。
彼らに一体何が起きたのか。
“私”と“彼”衝撃の真実が明かされていく——。

2003年にニューヨークにて初演。その後、2011年に日本初上陸。

きっかけ

きっかけは、松岡くんと山崎くんだったから。
キャストで気になったのがきっかけでした。元々、2.5次元や特撮が好きだったこともあり、松岡くんはテニミュ・NARUTOから、山崎くんはジュノン・キュウレンジャーから見ていました。

若くてフレッシュな活力あふれるイメージを持っていた2人が「何だか大人なしかも錚々たる顔ぶれの作品に挑戦するのか!見てみたいな。」という思いが強かったです。
また、お二人の直近のお芝居を見ていなかったこともあり、「今はどんな風にお芝居されるのかな」という興味もありました。

なので他のペアではなく松岡×山崎ペアを選び配信視聴に至ります。

配信の感想

いやー、消耗しました。体力気力ともに。終始緊張して見入っていました。

スリル・ミーは逮捕されてから34年経った私が「彼と事件を起こし、逮捕されるまで」を語っていくスタイル。1時間40分という時間の中でどうストーリーが展開されていくのかが楽しみでした。始まってみればあっという間。最後にはどんでん返しの結末。

持論として「開始3分(長くて5分)でこの世界のモブになれるか否か」で作品へののめり具合が決まると思っているのですが、スリル・ミーは早々にモブになれました。早かった。
なんせ冒頭の松岡くんにとにかく引き込まれたんです。というのも見た方は分かると思うのですが、壮年期の男性に見えるんです。その時点で私は傍聴席かもしくは委員会側にいました(と思っている)。

山崎くん演じる「彼」との友達以上恋人未満の曖昧な関係が事件に発展するきっかけのひとつだと思いますが、10代~20代にかけての「ひとりの相手に深入りする」感覚が何とも言えず切なかったです。結ばれる結ばれないではなく、今ここに二人でいるこの時間が何よりも尊い。けれど若さゆえの欲深さから、それだけでは物足りずそれ以上を求めてしまう。さらに二人とも他者の価値観でしか自分の価値を見出せない(私は彼に、彼は父親に)、今でいう他人軸ゆえの危うさが設定の年齢と近い二人だからこそ、より感じられました。でもそこがエモい。

彼→私に対しての当てつけのような愛、私→彼に対しての狂気じみた愛。一般的な形とは違えど、そのどちらも「愛あるがゆえに」ということには変わりはない。情があるからこそ互いを必要としてしまう。この歪んでいる関係性が深入りするひとつのポイントでした。むしろ二人の間で純粋なものってこの愛くらいなのでは?と思うほど事件に向かって雲行きが怪しくなっていきます。

私は「彼には自分しかいない」という純粋な想いが形を歪めた愛または様々な過程を経て形を変えていき、たどり着いた希望があの結末だったのかもしない。
彼は私の環境に対して妬みや羨む気持ちから、あえて相手に私を選び、主従関係のような愛の形で繋がっていたのかもしれない。
その関係性を築くまでどちらが先か、いつからその考えに及んだのかは分からないが、どちらであっても彼らの関係性は偶然に見せかけた必然だったのかもしれない。

彼にとっての最悪の結末は、私にとって最良の結末・・・。純粋な愛と狂気は紙一重なのかもしれません。良いものを見ました。

松岡広大くんの「私」

松岡くんの「私」、とても可愛かったです。
ちょっと内気だけれど、彼に振り向いてほしいし、彼が望むなら多少自分を犠牲にしてでも叶えてあげたいその健気さが可憐でした。

そんな松岡くんに驚いたのは、壮年期の男性と若さあふれる青年期の演じ分けです。話し方や声、姿勢や表情が萎れた壮年期の男性そのものでした。また、松岡くんの目が大きいので喜怒哀楽がハッキリ見えるところも良かったです。

後ろめたさからくる気持ちの陰りや彼に対する狂愛が見ていてわかりやすく「私」を一層、魅力的にしていたのではないでしょうか。
仮釈放が認められ、晴れて自由の身になった私がポツリポツリと言葉を発し、逮捕された当時の所持品のひとつ「彼との写真」を見たときの表情も素敵でした。晴れやかな表情に見えましたが、再び彼と会えた喜びなのか(たとえ写真の中であっても)、彼という存在から解放された安堵感的なものからなのか、単純に仮釈放が認められたからなのか。

色々な解釈ができるところもスリル・ミーのおもしろさですし、複数の解釈を持たせてくれる松岡くんの演技力に、彼がこの作品にキャスティングされた理由を感じじられました。

山崎大輝くんの「彼」

まずは顔が良い。この美貌を持つ「彼」に私がのめりこんでしまう気持ちもわかる気がします。知的な雰囲気も山崎くん自身に合っていて、違和感なく物語に没頭すっることができました。
また、山崎くんが歌っているところをあまり見たことがなかったので、こんなにも力強く魂を込めて歌う人なのか!とその外見とのギャップに魅せられました。

少年を誘拐するときの表情も優しくておもしろそうなカッコイイお兄さん。なんの疑いも湧かなかったので「まさかこの人が」を感じさせてくれて、好きな場面のひとつです。
また彼の知的でスマートな容姿やしぐさと相反する自己中心的な考え、傲慢さが良い塩梅で表現されていて、「彼」を一層、魅力的にみせていたと感じます。

私に対しての当てつけのような、支配するかのような愛は、彼の家庭環境からくる劣等感?が形を変えていたのだと思うと、彼がただ「嫌な男」であるとは思えなくなってしまいました。
しかも彼は、あれだけ自信あり気なのに実際はとても心が弱い。最終的に必死にもがくのは彼の方なんですよね。

外見の美しさと内面の脆さが際立っていて松岡くんと良いペアでした。

最後に

見終わった後の熱が冷め止まぬうちに書いているので、中々、語ってしまいました。
私は今回が初スリル・ミーだったのですが、演者2名とピアニスト1名でこんなにもボリューム・重厚感のある作品ができるのかと感動しました。
ほかの2組のペアもそれぞに魅力があると聞いているので、いつか見てみたいと思っています。そのときはぜひ劇場で観たい・・・!

見れば見るほど色々な解釈が生まれてくる作品だと感じました。スルメ作品決定ですね。
機会があればみなさんもぜひご覧ください。


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