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【動物園歌会ふたたび】徳山動物園吟行(2022/9/24(土)実施) 

 2022年9月24日。新幹線で山口県は周南市までやってきました。
 ようやく辿り着くことができた、という思いでした。

 
 昨年11月オンラインで開催した「動物園歌会」を、今度は実際に動物園に足を運んで実践したいという思いから立ち上がったこの企画。
 ことし1月に開催を予定していたものの、オミクロン株の拡大により断念。
 日程を再調整した上で「短歌修行」を行い準備していた8月も、オミクロン株の再拡大により中止。
 何度も延期しながらも、三度目の正直でやっと実現できました。


 徳山動物園は、不思議な動物園です。旧徳山藩の屋敷の跡地に建てられ、街なかの、それも住宅街に囲まれる場所に動物たちが暮らしている。
 ずっとこの動物園が身近だった、というぽめさん(@zoo_no_otaku)に案内してもらいながら、一日を過ごしました。

挨拶詠 ぽめ→うーたん

シマウマの檻の前ではシマウマの歌を歌ってご機嫌な君   ぽめ
 
挨拶詠 うーたん→ぽめ
饒舌に君が話したまちなかの園の物語を歩く初秋   うーたん



 
スリランカゾウ
重さって伝えるために載せるもの 柵越しに絡まる象の鼻   うーたん
 
砂山がけずれて象を象った 不定形にいのちが流れてた   うーたん
 
破裂音じゃない挨拶象交わすアルミニウムがこすれるように   うーたん



コツメカワウソ
今日も水は循環しますカワウソがひるがえるため循環します   ぽめ

 マレーグマ
これはペンそれはiPhone XRあれは偏食家のマレーグマ   ぽめ


 
旧マレーグマ舎と今は使われていない順路番号
「5〜8」でしかなかったどうぶつの檻がすまいに変わりゆくこと   うーたん

コバタン
ふわふわの羽の集合体として鳥が座っている木のすきま   ぽめ 

ホンドギツネ
左右対称の遊具の右側にもたれかかって寝ているキツネ   ぽめ

 アカゲザル
猿山に同化している小屋(小屋?)の木目をずっと数えてる猿   うーたん


 
アムールトラ
呼吸するたびに波打つ虎の縞こんなにあからさまに生きてる   ぽめ
 
カバ
カバが顔上げるのを待つ人々の会話聞きつつ私も待つ   ぽめ


 
ホンドタヌキ
抱き合える狸よ誰の安全のための社会と言えるのだろう   ぽめ
 
アカアシドゥクラングール
赤脚の猿旅をして宿り居り生まれてはじめて見る日本家屋   うーたん
 
モウドクフキヤガエル
パレットが汚れないよう原色に一番近い蛙を探す   ぽめ
 
キュウカンチョウ
いつまでも鉄琴が鳴るぞうさんのメロディに沿い鳴く九官鳥   うーたん

プレーリードッグ
プレーリードッグを守る透明な檻に少女が押し当てる顔   ぽめ


 
カイウサギ
大切にしてね目の前のうさぎも絵本のピンク色のうさぎも   ぽめ
 
ふたたびスリランカゾウ
哲学者みたいに象の担当が耳澄ます 飽かず葉をむしる音   うーたん
 
さようならさよなら象に張りついた干草剥がれ落ちる白昼   ぽめ

 
宇宙まるく象もまるいと詩にうたうたびにまあるくこころは満ちて   うーたん


 
「動物たちの寿命」
にんべんをあてがわれても動くこと 細胞のはたらき 息 鼓動   うーたん


 題詠「ビアフェスティバル」

チケットが通貨の世界焼き鳥は二枚で買えるビアフェスティバル   ぽめ

 ジャケットを羽織るあいつは酔い方も折り目正しいビアフェスティバル   うーたん