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アジールとしての動物園

Asyl(独)/asylum(英) ――不可侵の場所。聖域。自由領域。無縁の縁を結ぶ場所。


 2017年の夏。恩賜上野動物園の公式Twitterに、涼し気なアメリカバクの写真とともに、一件の記事が投稿されました。


 夏休みが終わろうとしている日、逃げ場所のない子どもたちに向けられた、日本一歴史の長い動物園のメッセージは、多くの反響を呼びました。


 2019年には、愛知県豊橋市が運営する「のんほいパーク」(豊橋総合動植物公園)が、市の健康増進課と連携し、自殺対策強化月間の啓発ポスターにライオンの「ハヤテ」と「オト」を起用しています。



 「だめになりそうなときは/きっと/ここにおいでよ」。シンプルで力強く、「生」を伝えるメッセージです。



 動物園が存在している意義については、レジャーの多様化や自然環境の保護といった観点からすでに久しく問われるようになっています。日本動物園水族館協会のホームページには、

①種の保存
② 教育・環境教育
③ 調査・研究
④ レクリエーション 

以上が動物園の果たす社会的な「4つの役割」として掲げられています。



 しかし、……本当にそれ「だけ」が、「動物園にできること」なのでしょうか。冒頭に提示した2つの園の呼びかけを受けた私には、動物園という場所が、家庭でも、職場や学校でもない「第3の居場所」――サードプレイスとしての役割も果たしうるように感ぜられました。他の「サードプレイス」たりうる場と動物園との差異や、現代の「動物園」が持つコミュニティとしての可能性について、今後より一層深く考察していけたら、と思います。



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《多摩動物公園にて。「多様性」も、動物園が社会に発信する重要なメッセージのひとつです》









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