見出し画像

飲茶『史上最強の哲学入門』

【この世界には命を賭けるに値する信念がある。】

てっぺん目指す、どんなもやし男子でも一度はその為にエネルギーを燃やしたことがあるだろう。バキは強さの、哲学者は思想の、てっぺん目指すという意味でリンクしている。そう、今までの哲学入門書に足りなかったのは「バキ」成分なのだ。

人を動かすのは何であろうか、私が思うにそれはキャラ立ちと熱量である。人間が一生の内に出来ることは限られている。だからこそ、より強く、より熱く自分を燃やさなければ誰かを巻き込むことなど出来ないのだ。

ジャックハンマーが1日30時間鍛錬し、骨延長手術を受けるのも郭海皇がいったん死んでまた生き返るのも自分の信念(勝利)のためだ。無知は恥ではない、一緒に勉強しようと訴え、一世を風靡したソクラテスが死ぬと分かっていながら毒を飲むのも自分の信念(真理)のためだ。

誰もが強さや思想に殉じたいと思ってもそこまで到達できるのはほんの一握りだけである。ならば、主役になれない圧倒的多数は無価値なのか、違う。彼らは熱量(おもい)をより強く感じたいと行動する。観客として試合に参加するし、論争しながら思想を伝播させて少しでも高みを目指す。少数の偉人が道を開き、歴史に名前を残さない大多数が媒介となって、時代を動かしたものが歴史となるのだ。

哲学というと何かと小難しい単語ばかりで脳がスリープしてしまうのですが、この本はキャラを立てつつ、砕け過ぎずうまく落とし込むことに成功している。古より続く熱量の祭典にぜひ参加して欲しい。



この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?