桜の場合

桜が口を揃えて言う
「そんなに見つめないで」
恥ずかしがり屋のその花びらは
薄っすらと顔を赤らめながら
淡い風に背を向ける
.
無口であることが
唯一くらいの誇りだったのに
遅い春は来てしまった
.
朝も昼も夜も全て春
大きな声では言えないけれど
微笑みを止められない
幾つか季節を越えて
漸くあなたと逢えたのだ
裏腹な麗らかさの中に
今年も恋が咲き乱れている
.
.
終わりを待つことが
唯一くらいの望みだったのに
長い雨は来てしまった
.
夏も秋も冬も全て春
小さな声でも言えないけれど
シナリオは変えられない
いつしか季節は過ぎて
それでもあなたが好きでした
拭えない恥ずかしさの中に
今年も恋が舞い上がっている
.
朝も昼も夜も全て春
大きな声でも言いたいけれど
約束に間に合わない
このまま季節を止めて
今度はあなたと見つけたい
透明な暖かさの中に
今年も恋が降り積もっている
.
.
桜が思い思いに言う
「あなたも忘れないで」
.
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桜が咲ききる前の雨でよかった。
そんなことを思える人でよかった。
恵みの雨が優しい色を育ててくれますように。

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