ひとり

話しかけてこないから
猫が好きなのかも知れない
話を聴いてくれるから
犬が好きなのかも知れない
.
慰めたりしないから
鳩が好きなのかも知れない
近づき過ぎもしないから
蝶が好きなのかも知れない
.
淋しいことに変わりはなくて
けれども返事をする余裕はなくて
それでも妄想では心許なくて
.
誰かを捜しているつもりはないのに
頭の隅の方では何かが
ここぞとばかりに点滅して
そっと思い出させようとする
名前なのか面影なのか
判らないけれども
まだ確かに生温かい泪が
幾つか流れて落ちる
.
.
話しかけてこないから
秋が好きなのかも知れない
話を聴いてくれるから
冬が好きなのかも知れない
.
慰めたりしないから
春が好きなのかも知れない
近づき過ぎもしないから
夏が好きなのかも知れない
.
淋しいことに変わりはなくて
けれども返事をする余裕はなくて
それでも風景では心許なくて
.
何かを隠しているつもりはないのに
目線を動かすだけのことさえ
ここぞとばかりに動揺して
もっと怪しさが増してしまう
自由なのか不自由なのか
判らないけれども
ただどうにも眠れなくなる時間に
ひとりが恐ろしくなる
.
.
そんな日々もあったから
人が好きなのかも知れない
ひとりで生きてゆけるからこそ
人が好きなのかも知れない
.
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そう言えば、二階のトイレが新しくなった。
僕の生まれる前からこの家にあったその便器とお別れするのは淋しいが、最後に、いつも以上に綺麗に拭いてあげることができてよかった。トイレの神様、ありがとうございます。

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