無意識下の選択

特定の層に話しかけられやすい人っていますよね。

その辺の人にランダム話しかけろって言われたらこの人はなんとなく優しそうだからこの人にしようみたいな、明確に思ってなくても無意識下の選択みたいなのあると思うんですよ。うちのワイフなんかはよく知らん人に道聞かれるって言うし。俺なんか全然聞かれないですからね。こんなに澄んだ優しい目をしているはずなのに。何故か敗北した気分。

それで考えると俺はどっちかというとちょっと狂った外国人の人に話しかけられやすいかもしれんなーと。普通の外国人じゃなくて頭おかしい外国人に限定されるんですよね。いつぞやの記事でオーストラリアで変なのに絡まれた投稿も書いたし。

今は無くなったけど、えびす通りにあった24時間営業してるマックに深夜に寄った時だったか。入り口の自動ドア空いた瞬間もう凄い声がしてびっくりしたんですよ。すげーテンション高い外国人の二人組が店の中で対角線上に立って大声で会話してたんですね。喋るなら近くに寄ればいいのにお互いに壁を背に喋ってんの。店内の窓とか割れるんじゃねぇかってくらいに大声かつ高音で。

んで片方がスマホよこせ!っつったらもう片方がオラァ!ってカーリングみたいな勢いで床に投げてスマホをシャーって滑らせて渡すのね。んで用が終わったらネイティブなthanks!ってお礼と共にまたシャーって投げて返す動作を繰り返してんの。俺が注文取る間ずっと後ろでクソデカい声とシャー!って音が飛び交ってんの。

どう考えても普通じゃない空気なんですよ。なんか変な葉っぱでも吸ったんか?ってテンションだしスマホはシャーってしすぎてボロッボロになっとるし何言ってんのかわかんねぇし店員は萎縮して何も言えてないし。とりあえずマックに来た本懐を遂げるためにヘーンバーガーを一つってな具合で困り顔の店員に紳士的に注文したんですよ。いい顔しながら。

そしたら後ろからガッと肩掴まれて「!?」って振り向いたらスマホシャーしてた外人の片割れが何故かめっちゃ泣きそうな顔で俺の後ろで立っとるんですわ。お前さっきまで爆笑しながらスマホ投げとったやないか。もうね、情緒が不安定過ぎて高低差が日本アルプス。

そしたらそいつ物凄い早口で喋り出して、しかも全編英語なんで何言ってんのかわからん。ゆっくり喋ってって言って断片的に解読したらマイケルジャクソンが死んで悲しいって話なんですよ。今にも泣きそうな顔で。何もかもがわからん。ここまでわからんと恐怖でしかない。

ピクルス抜いてもらったヘーンバーガー受け取りながら「おーん」みたいな返事したら今度はすげぇ勢いでヒートアップ。毎年死者が出る激しい祭みたいな勢いでヒートアップ。俺もおっそろしくなってきて泣きそう。ゆっくり話してって言って解読したら「でもマイケルは児童に性的な虐待してたっていうよね。あれ俺良くないと思う」みたいな話でした。知らんわ。反対側のカウンターの向こうの店員も泣きそうになってた。とんだスリラーナイトだったね。

恐らくですけど、あの外国人も俺を見てこいつなら俺のマイケルジャクソンを失った悲しみを分かってくれるみたいな事を無意識下で考えたんじゃないかなーと思うんですよ。知らんけど。

この手の話で一個忘れられん男がおるんですけど、高校の頃に何故か怖い人に絡まれるという噂を持つ奴がおったんですよ。Y君とするわ。

Y君自身は否定してたけど彼と遊びにいくと高確率で怖い人、それこそEXILEの歌上手い奴みたいなのとか、ケミストリーの右側みたいなのにおもむろに話しかけられて金銭の要求をされる、早い話カツアゲに会うという話が囁かれておりました。

ヤンキーもカツアゲする時やっぱ無意識下で選ぶ基準みたいなのあるんかなって。当のよs…Y君にその話の真偽を聞いたら「は?これでも俺、空手部よ?そんな奴に絡まれたらこうやって、こうやって、こうよ!?」みたいな事を喚きながら手羽先みたいな短い手足を振り回して己の強さを誇示してたんですけど。どっかの国の先住民族が地母神とか崇める踊りみてぇ。こいつなら俺でも勝てそうってのが正直な感想でした。

ある日ツレがそのY君と遊びに出る機会があったんですよ。カツアゲされる事で有名なY君と。言うても噂は噂やろ。そんな堂々とカツアゲする奴今おらんやろって笑ってたんですけど結果から言えば噂話の生き証人になってしまった。

経緯としては吉田…Y君とツレが改装される前の頃の広島駅の近く、きったねぇ路地裏みたいな細い道通ってたらしいんですけど。広島のスラムみたいな細い道。入り口の方にヴォン!ってバイクがまるで道を塞ぐように止まった。

バイクの持ち主が降りてフルフェイスのメットを外したら頭の中に脳味噌の代わりにおがくずが詰まってそうな馬鹿っぽいヤンキーが出てきたそうな。何故か既に憤怒の表情を浮かべてて発するオーラだけで小動物なら殺せそうな空気を纏ってたらしい。ウケるw

これはいかんわ。何故か入り口を塞いでまっすぐこっちに来るわと思って出口に向かって歩くと出口にもヴォン!ですよ。もう一人頭の中でカブトムシの幼虫とか飼ってそうなヤンキーが現れて、挟み撃ち。完全無欠の挟み撃ち。

挟み込んできた二人の距離が近づいてきて、ヤンキーが最初に発した一言は「いくら持っとるんや?」と。ものすごくシンプルに用件だけを伝えてきたらしい。え、この人初対面よね?って確認したくなるほどにカツアゲのガチ勢ってこんな話早いんか、と感動すら覚えたそうな。怖すぎて草。

まぁでもこっちにはカラーテの達人のYくn…吉田君がいるわけですから。やっちゃってくださいよってな具合で視線を逸らすと見えたのは既に腰を深く落として矢のようにステップインして一直線に距離を詰める吉田君の後ろ姿。誰もが気を抜いていた一瞬、既に目の前のヤンキーは迂闊にも入っていたわけですよ。吉田君の間合いに。そこから繰り出される渾身の右ストレート。しっかり腰が入って体重が乗った拳には小ぶりな財布が握られていた。

「勘弁してください!いやほんとマジで!」

コイツ、誰もが反応出来ない速度で財布を差し出しおった。慣れている。こいつはカツアゲされることに慣れている。そんな動きだった。俺は実際に見てないけど目撃者が語るに脅されてから財布を出すまでの動きがあまりにも滑らかだったと。何度か経験してないとあの所作の美しさには辿り着けないと。驚くほどのプライドの無さ。もうちょっとなんかこう、無いんか?と思ったらしい。よ、吉田ァ…(泣)

あまりの対応の速さに面食らったヤンキーはその財布の中身だけで許してくれたようで、吉田君の奮闘によりツレに実害は無かったのは不幸中の幸いか。ヤンキー二人が下品な改造バイクでブボボボボと脱糞した時みたいな汚い音を出しながら去っていく姿を見送りながら「またじゃ…!」と呟く、この世の全ての不幸を背負ったかのようなオーラを纏う後ろ姿を見て確信したそうな。噂は、いや、伝説は本当だったと。

余談ですがこの吉田君、俺がホラー映画が好きって話をしたらすげぇしたり顔で「めちゃくちゃ怖いの、あるよ」って教えてくれたんでね。喜び勇んでレンタルして見たんですけど、これがまた全然怖くなかったんですよ。よ、吉田ァ…(怒)

後日どうだった?と聞かれて「何が怖いのかさっぱりわからん。まだキラーコンドームのが怖いわ」って言ったら「レンタルした帰りにカツアゲに会ってから見たんで震えが止まらんかった」とかほざきおった。それ本人の精神状態による奴じゃん。とんでもないパラダイムシフト。その状態ならサザエさん見ても震えが止まらんわ。

最近、その吉田君が勧めてくれたその映画のワンシーンがTwitterとかで「その画像もらってくね。いらないと思うけど風船いる?」とセリフ付きフリー素材みたいに扱われてるのを見てなんとも懐かしい気持ちになるのでした。吉田、強く生きろ。風船いるか?














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