東日本大震災 被災自治体職員がオススメしたい「自分の命と健康を守る!震災で役立つもの10選」
いつ来るか分からない自然災害…
僕は2011年東日本大震災当時、大津波が襲来した被災自治体の職員でした。
そんな自分が、当時の出来事や避難所職員としての仕事を思い出してオススメする「震災で役立つもの」を取り上げてみました。
震災から13年近くも経過し、各自治体が備蓄を進めている物資の種類にも、さまざまな予想のもと進化はあると思います。
自然災害の種類や季節によって、あるいはそれぞれの年代・性別・置かれた状況によって、備えるべきものは変わります。
ほんの少しでも気づきやご参考になれば嬉しいです。
なお、「命を守る」「生き抜く」視点で記載しています。
まずは命と健康に直結するものが重要ポイントと思い、スマホの予備バッテリーのように、大切な「道具」を守るような二次的なものは除外しています。
1.マスク(ネックゲーター)
「感染対策」「防塵対策」「乾燥対策」となります。
帽子・ヘッドバンド・ネックウォーマー・マスクも兼ねるゲーターもおすすめです。
2.歯ブラシ
意外にも、無いと困るのはこれです。
歯ブラシだけでOK。安いもの、あるいはビジネスホテルなどでもらえるものでOKです。
1本だけでもあれば、身動き出来ない発災後数日は、歯の衛生を守ることができます。
3.ウール製品(特にソックス)(肌着上下あれば、なお可)
ウール製品には、天然の抗菌防臭効果があります。
冬は暖かくて、夏は涼しく感じる。
汗をかいても、汗冷えを感じません。
断水で入浴洗濯ができず、1ヶ月近くウールの肌着やソックスを着用しっぱなしでも、汚れや臭いがさほど気になりませんでした。
日々の手入れについても、ソックスなら毛玉防止のため裏返して、エマールなど中性洗剤を使いネットに入れて洗えばOKです。
特にソックスは本当にオススメです。冬場の暖かさはもちろんのこと、夏はサラサラ感を感じます。
自分はソックスだけは、贅沢にも全てウール。
ひつじよ、ありがとう。自称「ウーラー🐏」です(笑)
4.登山用レインウェア上下(ハードシェル)
100均のカッパでも凌げますが、「耐久性」「透湿性(汗の蒸れを外に逃す)」に加え、レジャーやスポーツなど普段から使いまわせる「利便性」から、値は張るけど登山用品メーカーのレインウェアをオススメします。
綿付きの防寒性に優れるものも良いですが、夏にはサッと羽織ることができて、冬場は気温に合わせて薄手のフリースやシャツ・スウェットを中に重ね着して充分に対応できるので、頑丈な一枚地の「ハードシェル」をオススメします。
登山用品店に行くと沢山の種類がありますので、店員さんとご相談いただきながら選んでいただくと良いと思います。
自分は震災の日の朝、たまたま雪山登山用のハードシェルで出勤していました。
震災後しばらく着用していて、何日かして気づいたら泥だらけでした。
復旧作業中、多少物にぶつかったり引っかかったり濡れたりしても、それでも「鎧」のように身を守ってくれました。
普通の衣類と同じように、汗などかいて汚れたら洗濯して、時々防水スプレー+アイロン(またはコインランドリーの乾燥機)すれば、防水性能を保ったまま、かなり長い年数にわたり使うことができます。
5.どうしても必要な薬品・持病の薬・身の回りのもの(最小限)
1回目の大津波が引いたあと、自宅に持病の薬を取りに行き、直後の2回目の津波で犠牲になれらた方もおられました。
あまりにも残念な話です。
例えば、僕なら軽度の喘息持ちなので、ステロイドの吸入薬1本は必ず身に付けておきたいと思います。
ベビーフードや生理用品などは備蓄も進んでいるとは思いますし、2011年当時は数日以内に支援物資として届きましたが、かさばらない範囲で緊急用に備えがあるとよいでしょう。
6.軍手
手の保護や衛生管理のため、一双は準備しておきましょう。
7.ウェットティッシュ(赤ちゃんのおしり拭き)
トイレは断水し、しばらく入浴は出来ないケースがあります。
「赤ちゃんのおしり拭き」なら、肌に優しく安心して使えます。
蛇足ですが、平常時からランチのお手拭きとして愛用している職員(50代後半男性)も、隣にいました(笑)
8.日持ちするかさばらないお菓子・食品
震災の発災直後最初の配布食料は、カンパン5枚入り。
見知らぬ方どうしであっても、お隣同士2人で分けてもらいました。
翌朝、自衛隊さんの炊き出しおにぎりを頂きました。
2-3日後に、全国から菓子パンなどのご支援が届き始めました。
自分は3日間は緊張で空腹は感じませんでしたが、日持ちする最低限のお菓子(カロリーメイトや飴)など備えがあるとお守りになります。
9.ペットちゃん対策(犬・猫など)
発災当初、ペット用の避難部屋は想定していませんでした。
発災直後、避難所となった役場庁舎では「ペットだって大切な家族よ!」という声と、「動物と一緒なんて嫌!」という住民の声が同時に上がり始め、急きょ小さな会議室一室を「ペット同伴用」とした経過があります。
大震災のような大災害に見舞われた場合、ペットに対する支援は、後手に回る可能性もあります。
飼い主さんは、ペットちゃんの種類に応じた食べる物、排泄などの対策が必要です。
10.小さい絵本、図鑑、お気に入りの文庫本やゲームなど(絶対必要ではないが)
トランプやUNOなど、小さくて嵩張らないゲームのイメージです。
あとは、お子様のお気に入りの小さな絵本・図鑑、その他文庫本・小さな写真集など。
緊張と閉塞感。苦しみと悲しみ。周囲の雑音。
残念だけど、ときに住民同士の言い争いの声など聞こえてくることもあります。
いつもはそれぞれ別々の屋根に暮らす大勢の人々が、一カ所に大挙して避難所に押し寄せるため、仕方のない側面もあるのかもしれません。
それだけに、避難所での生活は、意識したメンタルケアや気分転換、リラックスが非常に大切となります。
スマホの音楽など電源の必要なものは、バッテリーの残量が気になり余り使えないかもしれないので、アナログなもので心を癒すことが良いかと思います。
11.その他心構え
こんな非常時に、体調が悪い…
そばにいる乳幼児のことが心配でたまらない…
そんなときは、市町村職員である「保健師」がスタンバイしているはずなので、不安なことがあったら、遠慮せず躊躇せず、すぐに避難所職員に申し出てください。
庁舎や避難所では、警察官が常駐あるいは巡回してくださいました。
大地震発生後数時間で自衛隊さんが来てくれて、ガラスの散乱している小さな会議室を拠点にしながら、復旧活動をしてくださいました。
全国からのあたたかいご支援も、たくさんいただきました。
それでも、周囲からいろんな声が聞こえてくるかもしれません。
それらに惑わされうことなく、自治体からの正式な広報や呼びかけに従い、落ち着いて行動することを何よりも心がけてください。
心配なことがあれば、避難所職員に申し出てください。
どんな対応になるかは、そのときにならないとわからないけれど、状況に応じて適切な策が講じられるはずです。
12.あとひとつ、大事なこと。
身体を出来るだけ鍛えておく。
これに尽きます。
僕は元々運動苦手なところからノルディックウォーキングを始めて数年経過し、登山やトレイルランニングを楽しめるようになっていた頃でした。
本当にたまたまだったけれど、ノルディックウォーキングを親しんでいる体力に、かなり助けられました。
震災のときに風邪を引いたり体調を崩したりしていると、行動にもブレーキかかり、震災を乗り越えるのもかなり大変だったと思います。
出来る範囲で、普段から身体を動かすことを楽しみ、鍛えておくことも大切かなと感じます。
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いかがでしたでしょうか?
何かご参考になる点があれば、とても嬉しいです。
自然災害は、季節や種類、あるいはそれぞれの人の年齢や家族構成や健康状態によって、どんな状況をもたらすか分かりません。
それぞれで色々と想像を巡らせながら、まずは「命と健康を自分で守る」ことを念頭に、落ち着いて行動していただければと思います。
僕が言うまでもなく、東日本大震災では、たくさんの尊い命が奪われてしまいました。
無情にも自然災害に奪われてしまった魂にいつも想いを馳せながら、今日を精一杯生きていきたいと思います。
ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。
今日のあなたの一日が、穏やかで温もりと笑顔に満たされますように☘️
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