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人間関係を築く上で、僕は努力を惜しまない。

年々、いろんな感覚が鈍くなってくる。生活のつらさ、苦しさ、心も体も蝕んでいくが、行くところまで行かなければ、気付くこともできない。どれほどに苦しくても、悲しくても、それが「日常」となってしまうのだから。もしかすれば「日常」って、「何かに鈍くなる」ということでできているのかもしれない。

大人になるたびに「また」という別れの挨拶が、社交辞令の色に染まる。特に何も考えず、「またね」と交わすだけの何も感傷もないまま会わなくなっていく、そんな知り合いも多くなった。

送別会で「またね」と別れをあっさりと済ませたあと、終電前の中央線に乗って、宇多田ヒカル「First Love」を聴きながら帰る。流れてくる音楽に全身をあずけた。

「明日の今頃にはあなたはどこにいるんだろう」はもう会うことのない人を想った叙情性が、オトナになった僕の心の内に深く刺さる。

『百人一首』の77番に以下のような歌がある。

瀬を早み岩にせかるる滝川の
われても末に逢はむとぞ思ふ

『百人一首 全訳注』講談社学術文庫 1983年 320ページ

川の流れが岩にぶつかり二手に分かれても、またひとつにまとまるように、僕と君はまたいつか必ず会うことになる。といった歌である。

backnumber「高嶺の花子さん」のサビでは

会いたいんだ 今すぐその角から
飛び出してきてくれないか

backnumber「高嶺の花子さん」

極端に時代は離れているが、現代にみる恋の歌はすぐに人に会いたがる。なぜなんだ。


社会人として、それこそ、冒頭にあるように、刺激がなく感覚が鈍っている日常を過ごしていると、とても友人や恋人に会いたくなってしまう。

1年に1回のペースで会う人は立派な友だちだし、数ヶ月に1度会う人は親友だし、仕事終わりにふらっと会う人はまじでそんな人いる???というレベルだ。

出会いなどいくらでもありそうな大学生が「出会いがない」というのは「いや、ウソやろ」とツッコミが飛び交いそうだが、能動的に動かないと最初にかたまりに固まった交友関係から抜け出せないのかもしれない。これが社会人になったらもっと出会いがなくなる。

しかし、結論、社会人になってからの出会いや交友関係を広げるのは難しい。人には誰にも言えない秘密がある。交友関係を築いていく中で、いつかカミングアウトしなければならないときがくると思うと非常に億劫だ。結局、友だちの紹介が、出会いにとっては一番精度の高いやり方である。

僕が人と関わるうえで目標とするのは、「また会いたい」と思われる人になりたい。どんな人だったら「また会いたい」と思うのか。実はこの手の質問したときによく出る回答として

「会話の波長が合うかどうか」

である。(枕詞をつけるなら「なんとなく」である。)すごくわかる。しかし、僕はなんとなくで人付き合いはしない。

1回きりの出会いにしろ、今後交友関係を築いていくにしろ、やはり「またこの人と会いたい」と思われたい。2週間前の記事でも同じような事を書いたが、人間関係は「またいつか」でできており、その「いつか」があるかぎり人間関係を築いていく上で糧となるからである。補足して言えば、交友関係を続けていく上で僕はどんな努力を惜しまないタイプである。


以下、少なからず僕の経験からわかったことについて


・夜の居酒屋より昼のカフェやランチで築いた交友関係は長続きする。

→夜の居酒屋は、お酒が入ることによる失言や本性が出がちであるからである。

・年下や後輩には金銭的な負担をかけないようにする。

→端的にいえば、奢る。その際いつも「今後、年下や後輩にも同じようにしてあげてね」という。お金のトラブルを避けるため「いや、私も出しますよ!」というのも凄くわかるので、その際はお気持ちだけもらうのと、「じゃあ、今度○○さんのオススメのお店一緒に行きましょう!」などと、次回の予定を立てておいたりする。

・年齢に関わらず、敬意を忘れずに

→言わずもがなではあるが、年齢差のみによる敬意の排除はよろしくない。人間として優れている人はどんな人に対しても敬意をもって接するべきである。

・聞き手に徹する

→どんな人であれ、相手に興味をもって会話に参加するべきと思っている。自分のことばかり話す人や「へぇ、そうなんですねぇ」という返答が続くと「私に興味無いのかな…」と疑心を抱くからである。

僕の人生を振り返ると人付き合いの失敗を繰り返してきた。なぜ離れてしまったかを問われると、つまるところなんとなく合わなかったになる。それによって離れた人も多い。せっかくのご縁を大事にできなかった後悔が多い。それによる教訓だが、僕は交友関係を深めるためならどんな努力をも惜しまないようにしている。

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