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データで見る気候変動 〜行動に結びつけるための理解〜

最近いくつか、気候変動のデータを可視化するツールや図を作成した。Twitterで思っていたより多くの反響を頂いたので、可視化することの影響力はとても大きいと実感している。

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このWebGISは、日本の最近40年の気候(気温や降水量)のデータをインタラクティブに可視化できるツールだ。観測値とシミュレーションデータを両方用意したのは、それぞれ以下のような特徴があって表現できる内容が異なるからだ。

観測:精度が高いが観測できないところはわからない。
シミュレーション:精度が落ちるが、空間的にデータを見られるので現象理解がしやすい。

気象庁などの機関も当然このような資料は出しているが、情報へのアクセスが面倒だったり、理解が難しいなどの課題を感じていたので、より多くの方に気候変動を身近に感じてほしいという思いから、このようなツールを作成した。例えば京都では、この40年で年平均気温が約2.4度上昇しているなど、日本各地の気候の変化の様子が画面をポチポチとするだけでわかるようになっている。(スマホには対応できていない。。。)

実際にこのようなツールを作るのは初めてで、JavaScriptは初めて半年、HTMLなんて5年以上触っていなかったので、開発にはそれなりに時間がかかったが、最近はJavaScriptの良いライブラリやきれいな地図アプリが出ていたりするので、Web初心者としては良い出来だと自画自賛している。

このTweetには、メディア記者やワイン製造に関わっている方、気候研究者など、幅広い方からコメントも頂いた。データとしては初歩的な内容だが、こうしてユーザーの方が自分で触って理解できるようなツールは、多くの方の理解と納得感を高め、行動に影響を与えるのではと思っている。

もう一つ作ったのはただの平面図だが、日本全体の年平均気温の偏差の40年間の変遷を図で示した。赤いほど、この40年間の中で暑いことを示している。先程のWebGISと比べると、日本全国の温暖化の様子をひと目で見られるようにと作成した。

日本国内_気温偏差

実際に可視化が行動に結びつくのかといえば、この情報だけでは不十分だと思う。これは過去の情報に過ぎないし、気温や降水量のデータだけ見てもその次のアクションには繋がりにくい。気候変動でこれからの気温や降水量が変化していることも様々な研究から示されており、洪水や猛暑などの災害の規模や頻度の変化も危惧されている。

研究のデータを使えば、どこでどのような災害が増加するか、如実に伝えてくれる。たとえ気候の専門家でなくても、手触り感のあるデータを見れば納得感が生まれる。その課題が重要な課題であると認識するためには、多くの人に理解してもらうことが必要だ。データの可視化は、気候変動のような難しい問題には欠かせないツールだと考えている。

ただでさえ自然災害の多い日本だが、この夏のように、過去に例のないような豪雨で災害が激甚化する可能性が高まっている。堤防やダムを建てたりするだけでなく、避難計画や事業継続計画(BCP)をしっかり作って、災害が起きた場合でも被害を最小限に抑える工夫が必要だ。データを用いれば、どんな準備をしておくべきかも定量的に把握できる。

気候変動により激甚化する災害が迫る中で、私たちがこれからどう行動するかが大きな課題だ。材料は揃っている。あとは、行動する意志と仲間を集めることが重要だ。そこにデータという武器が加われば、よりよく行動することができるようになると信じている。

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