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狼煙ラボ#1レポート カスタマージャーニーマップ道場【入門編】

はじめに

7月末、狼煙ラボ第一回目のセミナーを開催しました。

ニューノーマルの世界で、自社のプロダクトやサービスが通用するのか?——方向性を再検討し、コンセプトやメッセージを作り直しているスタートアップや事業主のために、すぐに役立つテーマにしよう!ということで、 ”カスタマージャーニーマップ” を取り上げました。

PLEN Robotics株式会社の共同創業者/COOの富田敦彦氏をお招きして、同社の製品AIアシスタントPLEN Cubeを実例に「withコロナにおける新しいペルソナ」を設定し、狼煙ラボと一緒にカスタマージャーニーマップ作成に取り組んだ過程を公開しました。

カスタマージャーニーマップの入門編として好評を得たセミナーを、ざっくりレポートします!

カスタマージャーニーマップとは?

プロダクトやサービスを購入または利用する人物像(ペルソナ)を設定し、その行動、思考、感情を分析し、認知から検討、購入/利用へ至るまでのシナリオを時系列で可視化したものです。

ユーザーや顧客がどのような思考をともなって行動しているのか、そこにはどんな課題が転がっているのかを洗い出し、その全体像を可視化して俯瞰することで、すべてのフェーズで顧客目線の施策が打てるようになるツールです。

カスタマージャーニーマップをつくるメリット

▼ユーザー視点の理解ができ、ユーザーに寄り添って考えられるようになります。
自分たちの解釈でなんとなくやってみて、当たった場合はラッキーだけど、当たらなかった場合の原因は全くわかりません。カスタマージャーニーマップを作っておくと失敗の範囲や原因を確定させやすくなります。

チーム全体で共通認識を持ち、同じ方向に向かっていけるようになります。
スタートとゴール、そこに至るまでにどんな過程が必要かを、全員で共有できようになります。カスタマージャーニーマップを用意する最大のメリットは、チームの共通認識を作れることです

見落としてきた課題を抽出し、的外れではない、適切な施策が打てるようになります。
「どの段階の顧客の、どの課題を解決する」という、コンテンツが果たすべき目的や、ペルソナ像がより明確になります。

カスタマージャーニーマップの疑問

■逆にビジネスの可能性が狭まるのでは?

カスタマージャーニーマップは、トライアンドエラーをおこなうための最初のマニュアルです。一回作ったら終わりではなく、定期的に見直して、マニュアルを少しずつチューニングしていくことが重要です。実際に走ってみて、ちょっと違うな、というところがあれば、修正しながら進めていきます。

■すぐ成果がでるの?

カスタマージャーニーマップを作ったからすぐ成果に結びつく、というものではありません。チームで話をする土台(前提)となる共通認識を作るもの、課題を抽出し施策を考えるための何か、と捉えてください。

■カスタマージャーニーマップは妄想なの?

現実が反映されていれば、「精度の高い仮説」となります。

実際につくってみよう

■参加する人数は?

フラットな意見にするためにも、4、5人以上で作ることを推奨します。2人くらいだと、上下関係とか人間関係で押し切られてしまって、偏ったカスタマージャーニーマップになってしまうパターンがあります。

■誰がつくる?

営業、マーケ、広報、開発など各部署からメンバーを集めると、よりフラットでブレにくいカスタマージャーニーマップを作ることができます。

ユーザーが商品やサービスとどんな風に出会って、どんな感情を持つのか。彼らにとって、そのサービスが本当に役に立つのが、彼らのニーズに沿っているのか。そのタッチポイントはどこなのか。そういうものを全社で共有できると、営業も広報も経営陣も、みんなで同じ方向を目指していけるようになります。

また、身内だけで作ってしまうと、メンバー同士の力関係やプロダクトへの思い込みなどのバイアスがかかってしまうため、出来ればファシリテートしてくれるプロがいたほうがいいでしょう。

■今回のテーマ

今回のテーマとなるプロダクトは「PLEN cube 健康チェック版」です。

非接触で検温し、平熱との乖離を記録します。顔写真付き被験者リストの自動生成や自動問診、検温と問診のデータから健康状態をチェックすることができるプロダクトです。

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コロナ禍で生まれた新たなニーズを拾い上げ、新しい市場を開拓するために、カスタマージャーニーマップの作成に挑戦しました。

■ペルソナを設定する

ペルソナとは、ユーザー像を仮想の人物として定義したものです。

企画の基本である「誰に/何を/どうする」の「誰に」部分を考える際に役立ちます。マーケティング施策の設計、実行には顧客イメージが具体的かどうかがとても重要であり、その顧客イメージを具体的に掴むために役に立つのがペルソナの設定です。

「最も商品・サービスを購入・利用してほしいメインターゲットをイメージして設定します。いわば「理想的なユーザー」を抽出し、記号化していく作業です。

今回設定されたペルソナは、物流や工場の施設長の山田さん、社内で決算の凛義を通せる立場の人です。コロナ対策のために従業員や出入りする人の健康チェックをきちんとおこなって自社の安全性を世の中にアピールする必要があり、山田さんはそれに適した商品を探しています。

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■スタートとゴールを設定する

ペルソナのスタート地点とゴール時点での状態(認知状態・購入経験・好意度)を定義します。

「PLEN cube 健康版」の場合、ハードウェアは売り切りですが、顔認証して健康チェックのデータを蓄積するのは月額のサービスですので、導入して最低2年使ってもらうことが目標です。ペルソナの立場からすると「”安全を担保しなければいけない”という案件が持ち上がった」というのがスタートで、最終的に「2年使える製品を選んでもらう」のがビジネス側のゴールとなります。

■行動と感情を洗い出す  

設定したスタートとゴールまでのあいだに、顧客が取る行動を明確にします。

ペルソナの山田さんは、コロナ禍で安全を担保するために何か行動しなくてはいけない立場の人です。その人が、今の状況に対応するために、どういう行動をするのかを書き出します。

顧客行動を可視化した後は、その背景にある感情の変化に注目します。その体験において、顧客の中にどのような感情の揺らぎや思考があるかを考えます。

実際に書き出してみると、その行動をとるためにいろんな感情や悩みが渦巻いてることが分かります。

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■ビジネス課題を洗い出し、施策を考える

顧客の感情と行動が整理できたら、ここで自分たちがやれる事を考えます。

ペルソナの動きを見て、どこにタッチポイントがあって、その時に何を用意しておけばいいのかというビジネス課題を洗い出し、施策として何が考えられるのか書き出します。

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ビジネスでは、自分たちの都合ばかり考えてしまうことがよくありますが、購入者やサービス利用者の都合や立場で考え、彼らがどういう思考で動いていくかということを立体化しててみると、自然と自分たちのビジネス課題や施策が浮かび上がってくるのです。

カスタマージャーニーマップが完成したら

一度カスタマージャーニーマップを作ると、ペルソナの特性や、彼らの行動や思考をチーム内で共有できます。そうすると、どういう施策を打つべきか、その施策は正しいか正しくないかという基準を、経営者はもちろん営業やマーケ、広報PRなど全員で持つことができるようになります。

まずはカスタマージャーニーマップを組織として共有できるレベルで完成させることが大切です。完成させた後は、抽出されたアイディアの中から、マストで実行すべき施策と、実効性のある施策を拾い上げ、その中で特に筋が良い施策から着手すると良いでしょう。

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狼煙ラボ#1 登壇者 紹介

<ゲスト>
PLEN Robotics株式会社 共同創業者 COO 富田敦彦氏
http://www.plenrobotics.com/

<スピーカー>
シェイプウィン株式会社 広報PRコンサルタント 重谷 敬代氏
https://www.shapewin.co.jp/
カラクリワークス株式会社 CEO 統括プロデューサー 濱門 慶太郎氏
https://caracriworks.com/

次回イベントのお知らせ

9月28日(月)18:00〜 狼煙ラボの第二弾イベントを開催します!

※先着10名!お申し込みはお早めに。

■カスタマージャーニーマップ道場 開設! 

今回のイベントでは、参加型のワークショップを通じて「使えるカスタマージャーニーマップの作り方」を、広報/PR、クリエイティブのプロフェッショナルが伝授します!

■ワークショップのテーマ
実際に、みんなでカスタマージャーニーマップを作ることに挑戦します!

コロナ禍でインバウンドおよび都外からの客足が遠のいてしまった、東京都内にある架空の宿泊施設『狼煙旅館』のお客様増加施策を考えましょう。

自粛生活で趣味の旅行に行くことができずに鬱々としている ”さっちゃん"(都内在住・30代・既婚)が、”狼煙旅館”を認知して利用し、記念日に毎年訪れるリピーターになるためのカスタマージャーニーマップを作ります。

ぜひご参加ください!

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