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[読書]東京貧困女子。-彼女たちはなぜ躓いたのか-/中村淳彦

こんにちは、noriです。

突然の秋の到来に驚きを隠せない、
そして8月の電気代にも驚きを隠しきれない、そんな最近です。笑
冷房つけすぎました……いや仕方ないとは思うけども。


ワタクシゴトですが、大阪に引っ越して丸6年が経ちました。
外食と言えばラーメンか居酒屋な僕ですが、ふと『大阪で有名なものを食べたい!』という衝動に駆られました。
どうせなら食べたことない物がいいと思い、この前の休みに『りくろーおじさんのチーズケーキ』を買ってきました。

りくろーおじさんのチーズケーキは1ホール単位での販売なので、1人暮らしの僕には多いんじゃないかな?と思いましたが、杞憂。
瞬殺でした。笑

生地の部分はフワッフワで、甘さは控え目。
温めるとぷくーっと生地が膨れ、冷やすとしっとりした食感に。
とても美味しかったです!
大阪に来たら是非食べてみてください(^^)

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(公式HPより画像を拝借しました。美味しそう……。)


さて、今回取り上げる本は全然スイートじゃなく、むしろダークな題材の本です。
中村淳彦さんの『東京貧困女子。』という本です。

【著者について】

著者の中村淳彦さんは、東京生まれの作家です。
風俗や介護など、社会的貧困に晒された業界を中心に取材され、これらに関する本を執筆されています。
代表作に『名前のない女たち』シリーズ、『ルポ 中年童貞』などがあります。

悲しいことに日本は貧富の差が大きく、特に貧しい層に対する処遇は厳しくなる一方です。
(ここで言う"貧しい層"とは、大凡の若者に加え、障がい者やワーキングプア、家庭事情に問題がある人などが該当)
そういったフィールドにメスを入れ、世間へ発信し続けているのが、今回ご紹介する中村さんです。


【本著を読もうと思ったキッカケ】

ズバリ、ジャケ買いです。
というと元も子もないので、少し背景を書いてみますね。

知り合いに生活保護に関する仕事や夜の仕事をしている人がいまして、そういった方々からお話を聴く機会があります。
その人々とのお話を通じて、"異常な世界"というのをなんとなく認識していました。

また中村さんのことも認知はしていたのですが、この本を読むまでは『風俗業の実態を書く人』という認識でした(失礼しました……)。
とはいえ風俗業界のことを知りたいとは思っていなかったので、中村さんの著書を読む機会はありませんでした。

……という感じで何もかもボンヤリと認知していたのですが、詳しく知る機会はありませんでした。
そんな中、今回の著書を目にしました。
目にした瞬間、表紙のインパクトに驚かされました。

前面に押し出された【貧困】の文字と、東京のネオンをバックに立つ女性の写真。
装丁はモノトーンに統一され、黒の背景がよりダークさを示している。

第一印象は、『なんじゃこの本……』でしたね。

そこから中村さんのことを調べ直し、この本のレビューを漁り……。
読むべきか迷いつつ、1ヵ月ほど悩んだ末に、購入しました。

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【本著を読んだ感想】

この本は基本的にインタビュー方式で綴られています。
中村さんと女性とが対談し、その女性のリアルを紐解いていく形式で書かれています。取材は女子大生から始まり、社会人や休職者など、さまざまな方が登場します。

いずれの方々も、死なないために風俗で働く、働いても手取りが少なく生きていけないなど、悲惨な実状ばかりです。
女性の証言だけではなく、中村さん自身が取材で感じたこと(住居、身だしなみ、精神状態など)も、事細かに書かれています。
彼女らは共通してマジメであり愚直です。しかし、貧困からは抜け出せていません。
言い換えると、社会に絞り取られている方たち、という印象を受けました。

読み進めていくほどに分かるのですが、『救えない貧困』がそこにはあります。


……


こう書くと『貧困は甘え』だとか『言い訳に過ぎない』とか、
そういう気持ちが湧く方もいらっしゃると思います。
そういう方にこそ、この本を読んでほしいです。

また『なんだ女性だけなんだ!性差別だ!』という意見もあると思います。
残念ながら著者の職業柄、女性にフォーカスした本になっています。
しかし本に綴られた『貧困の理由』からは、現代を生きる男性も貧困に喘いでいることが読み解けます。


……


僕はこの本を読み終えて、大きな虚無感だけが残りました。
それと同時に、世間へこれを発信している中村さんへの尊敬も。

僕自身、理不尽な社会に身内を殺されています。
だからこそ、追い込まれた人間は思考がまともじゃなくなることを知っています。
『甘え』や『メンヘラ』という言葉で一蹴する人たちほど、その人のことを理解しようという気持ちが圧倒的に足りないことを経験しています。

――その時味わったつらい経験を、この本を読みながら回顧していました。

そういった方たちへの理解を深めてほしい。
だからこそ、この本を通して一人でも多くの人に、"中村さんの伝えたい現実"を知ってほしいと思っています。
泣きながら読んだこの本を、僕はnoteを通じて広めるべきだと思い、今こうして書いています。

イントロ部分はAmazonで試し読みできます。十分、強烈です。
是非、読んでみてください。





最後に。

辛くなったら、美味しい物を食べて、頼れる人に思いの丈をぶちまけてください。
チーズケーキとかね。


それでは、また。


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