見出し画像

腰痛の治療をする、そして正義のための戦い


朝起きると腰に違和感と少し痛みを感じた、筋トレを始めてここ数年現れたことのない症状だった、早めに対処しておいた方がいいと五年ぶりに霊能整体師に電話をする。

「〇〇です、腰が痛いんだけど」
「やあ、お久しぶり、では11時に来てください」

五年の歳月を全く感じさせずに施術ベットの上に横たわった。霊能整体師は私の身体ををゆっくりと回りながら時折体を触る、3周ほど回ると横になってくださいと指示され、横になると腰に触ってコックと骨盤を鳴らした。反対側も同じように鳴らして治療が終了した、これだけだ。

「前立腺の寿命が終わりかけていたので延ばしておきました、ちょうど交換時期だったのでそれによる腰の痛みです、もう大丈夫」

「前立腺ですか、もう赤い玉も出たし打ち止めかと思っていたのに、娘の手前恋愛に走るわけにもいかないから、もう十分なのですがね」

「そうもいきません、我々のような改革派にはこれが無いとね、ほら保守の人たちはもともとそれが無いから、ちょっとした言葉でいとも簡単に辞任に追い込まれてゆく、この頃は特に大事です。小泉進次郎がおばちゃん達に大受けなのはそれがあるからですよ」

「なるほど、じゃあまた少し華やかになりますね」
霊能整体師はにっこりと笑った。

「それと鼻腔に膿が溜まって気持ち悪いのですが」

「ああっ、脳が進化して古い細胞を排出しているので仕方ないでしょう、私も同じですタンや咳がよくでます。いつまで自分を磨かなきゃいけないのでしょうね」

「まったく、輝く前にすり減ってしまいますね」

「でも、だんだんと古い体制が変わってきています、政治もスポーツも相撲も、社会全体の古い保守体質が終わろうとしています。でも新しい方向がわからないので混迷、、、、あっそうそう、東京の〇〇さん、ニコチンの排出と進化が一緒に来てかなり苦しんでますよ、あれほど言ったのに...」

我々は20年以上になる付き合いの間に「ニコチンの排出」「女性運の向上」「30歳の若返り」「エネルギーバルブの操作権」「うつ病のサルベージ」「結核の治療」と様々な楽しい進化と冒険を繰り広げた、どれもが、えっと思うような冒険だった。

冒険の参加者は最初何人もいたのだがいつの間にか消えた、精神を病んだり身体が動かなくなったり、不幸を選択したりした。

現実の時間と進化の時間はタイムラグが大きいらしく、結果や利益などわかりやすいものが無いと自分の位置が掴めず不安になって選択を間違えたり、自分で放棄してしまうようだ。

進化の法則を少し知って途中で放棄するとしっぺ返しは大きくなる、当人の慢心や怠慢と知識不足、時間軸の違いなので仕方ない、進化のせいではないだろう。

治療の後二人でお茶を飲みながら話をした。

「〇〇さん、すごい体にして来たね、無駄なものが全く無い赤身のような筋肉だ、まるで鹿の肉。」

「若がえりの治療のおかげかな、この歳で三十代のパフォーマンスを出せますよ。」

「女性運はどうでした?」

「今まで私の周りはキレイで魅力的な人ばかりでした、そしてずいぶん助けてもらいました。彼女たちがいなかったらとびっきりの美意識も勇気も無く、広い世界感もお金も夢もないつまらない人生だったでしょう、最後にとびっきりのレイディも来てくれましたからね」

ここまで聞くと整体師はおお笑いをしながら、

「確かにね、それは最高の女性運だ」と言った。

52歳の時に突然やってきた娘のことだ。

この治療院では病気の原因を西洋医学のように肉体的ダメージだけとは考えていない、一つは肉体的ダメージによる病気、もう一つが憑依、身体波動の乱れによる病気、そして気づきを促すための病気、概ねこの三つに分けている。この頃は経済のための病気も出てきた。

私の場合はほとんどが気づきを促すものらしく、いつも思いもよらない解説がつく。

もう50年以上も前にひいお婆さんから聞いた話

病気には3つの原因があってね、一つは肉体が壊れて起こるもの、もう一つは悪霊に取り憑かれたもの、最後は気づきのために必要なものだよ、病気の原因はみんな一緒では無いからね、それぞれにあった治し方をしないといけないよ。

ひいお婆さんは明治生まれだからその頃は当たり前のことだったのだろう、山間の農村には医者もいなかったので昔から伝わる自然療法や加持祈祷のようなもので病気を治していた。
日本が戦争に負けてアメリカに憧れてスクリーンやスポーツ、セックスを謳歌し貨幣価値に翻弄されて忘れてしまった大切な多くのことの一つだろう。

治療院を出て車に乗る頃には腰の痛みは無くなっていた、改革派はこれから大活躍をしなければならないから進化に気づけばすぐに治るらしい。

たしかにいい歳をして三十代のパフォーマンスを出す身体は手に入れた、膨大な知識と美意識は高い、がお金は無い。物忘れもひどいが執着心が無くなりましたといえば聞こえは良い。

今まで培って来たものと忘れやすさを武器に、いい歳をした改革派は子ども達の未来と正義のために戦うのだろうか?

前立腺も取り替えたし、ちょっと楽しい冒険が始まるかもしれない。

それからしばらくして、とんでもない冒険旅行に旅立つことになる。

2018年の少し早い初夏の話


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?