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高齢社会を乗り切る舵きりは早いほうが良い。第2回

※弊社の方針とは一切関係のない個人的なブログです

■“事業対象者”は必要

②『卒業』という呼称について

まず、基準緩和型デイサービスを卒業し、拠点事業へと可能な事業対象者は、もともと活動的で行動範囲の広い人のみである。

・加齢による持病や怪我などにより、生活への何らかの支障が出始め、一時的なリハビリが必要だったという場合
・健康維持に人一倍意欲的で普段から気を付けている人の場合
これらの場合は、未来ある『卒業』として、上手く拠点事業への誘導が出来たと言える事例である。

では、上手く拠点事業へと繋がらない場合とはどういうタイプの人か。
それは、人付き合いの苦手な人である。返せば、何でも一人で熟す方が好きな人とも言える。

彼らは前者に比べ、多くに頼らず、困り事に対する接点を持たず生活しており、何らかの怪我や病気が発生した場合、他者からの必要なサービスを受け付けない、もしくは困っていることを周囲が把握しにくいことから、結果的に支援を受けられないまま、引きこもりになるリスクも高くなる。

人付き合いが苦手である場合、そもそも社会の中で彼らを発見すること自体が難しいといえる。家族や近所の住人からの相談がほとんどだが、相談があった場合、包括支援センターの職員はまず支援は必要ないと感じている彼らとの信頼関係を築かなければならない。これも非常に繊細な援助技術を要する。

その後、上手く関係を築けた場合に、初めて何らかのサービスを導入できるようになる。他者との繋がりを増やすという目的で、基準緩和型デイサービスに通所することになったならば、今度は、他の通所者や職員とのスキンシップを経て、時間を掛けて“安心できる場所”を築き、信頼関係を獲得していく。

この“安心できる場所”を獲得出来るまで1~3ヶ月は掛かる。
そうして初めて機能訓練への向上心が生まれることになり、次第に笑顔でデイサービスへと通うことが出来る。

そんな彼らの場合、機能訓練の成果が出たから卒業という流れは、決して良い結果を生まない。コミュニティからの離脱というマイナス体験として、包括支援センターの職員が懸命に築いてきた信頼関係まで、一気に壊してしまう危険性がある。

弊社での取り組みにおいて、彼らが『卒業』し、体操及びその他の拠点事業へと継続して足を運ぶことが出来た確率は、0%であった。
せっかく慣れたコミュニティから除外されたという失念と悲観を生み、その後の自立した日中活動にも暗い影響を及ぼし兼ねない。


再度、今回の表題へと戻る。


■“事業対象者”は必要
① 事業対象者という“概念”は必要
② 事業対象者の『卒業』という呼称について


この2点について論じてきた。多少情緒的ではあるが、心の動きに関することなので、ご容赦願いたい。

人の心の動きというものは、非常に繊細であり、社会における人間のアイデンティティのもろさというものを浮き彫りにした事例は過去のものではなく、現状である。これからも繰り返す可能性がある。

涙を流してサヨナラを告げなければならなかった方々もいる。彼らにとってそれは、未来ある『卒業』ではなく、コミュニティからの離脱であり『別れ』の体験となってしまう。彼らこそ、事業対象者という、まだ頑張れる状況から切れ目のない支援を必要とする方々である。

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結論】
1.事業対象者という概念は必要である
2.『卒業』の判断基準は筋力や脳トレなどの機能訓練の得点ではなく、切れ目のない支援が可能かどうかを含めた採点形式にする必要がある

※人口や地域の風土によって差がある可能性あり、これはおおよそ高齢者6,000人規模の町のお話


今回は、

■“事業対象者”は必要
■“要介護1・2”認定者の居場所の欠如と対策方法
■認知症を抱える人への切れ目のない支援とは

のうち、一つ目、『事業対象者は必要』について述べた。

次回は、
■“要介護1・2”認定者の居場所の欠如と対策方法について。

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