点と線 (松本 清張)
(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)
ちょっと前に横溝正史さんのエッセイを読んでいて、その中に松本清張さんの名前が登場していたので、久しぶりに本棚から取り出してきました。
読むのは3~4回目かもしれません。
本作品は昭和32年から33年にかけて雑誌に連載されたもので、いわゆる “社会派推理小説” の先駆け的作品と言われています。横溝さんはそれより前、“怪奇的探偵小説” を世に出していたのですが、この清張さんが登場したころから日本の推理小説の潮目が変わったと感じたようです。
さて、この清張さんの代表作「点と線」ですが、改めて読み通してみると、一流のストーリーテラーとしての清張さんを強く印象付けた作品だと思いました。
プロットに役所の汚職事件を置いているとはいえ “社会派” というほどその内幕を抉った内容ではありません。また推理小説の謎解きとしても、移動手段の組み合わせや共犯者を使ったシンプルな “アリバイ崩し” です。
とはいえ、映画やテレビドラマのように映像や役者の演技の力を使わずして「読み物」として読者を惹きつける筆力は流石です。
やはり、時々、こういったオーソドックスな推理小説の原点に戻るのもいいですね。
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