漂泊の楽人 (内田 康夫)
(注:本稿は、2023年に初投稿したものの再録です。)
かなり以前に読んだ内田康夫さんの “浅見光彦シリーズ” ですが、このところ、私の出張先が舞台となった作品を、あるものは初めて、あるものは再度読んでみています。
ただ、私の出張先も以前勤務していた会社のころを含めるとそこそこの都道府県にわたるので、どうせなら “浅見光彦シリーズ”の制覇 にトライしてみようと思い始ました。
この作品は「第11作目」です。舞台は “新潟県” と “静岡県”。
新潟県は、新潟市や燕三条、静岡県は、御殿場、伊豆、清水などには、仕事関係の出張やプライベートのドライブ等で訪れたことがあります。シリーズの中では本作以前にも、静岡県は伊豆に関わりのある「天城峠殺人事件」、新潟県は「佐渡伝説殺人事件」がありますね。
ネタバレになるとまずいので内容には触れませんが、この作品は、本シリーズに期待する私の美意識?からすると少々気になるところが目につきました。
たとえば、陽一郎の関わらせ方。
刑事局長の “威光” により助けられるのは “お決まりの作法” のひとつですが、本作では、推理そのものや犯人確保という重要局面で「陽一郎からの情報や支援」がいままでになく程度を超えていてあからさまでした。
もうひとつ、“アンフェア” な手段。
容疑者を揺さぶるのに「鎌をかける」ことは否定しませんが、犯人を最終的に追い詰めるフェーズでこれを決め手にするというのは “相手の自滅を誘う” ものであり、謎解き放棄に等しいように思います。
スマートさが売りの浅見光彦にしては、ちょっと残念ですね。
さて、取り掛かってみている “浅見光彦シリーズ制覇チャレンジ”、それほど強い意志をもって完遂しようとも思っていませんので、まあ、“どこまで続くことやら” です。
次は「鏡の女」です。
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