ヤラセと情熱 水曜スペシャル『川口浩探検隊』の真実 (プチ鹿島)
(注:本稿は、2023年に初投稿したものの再録です。)
以前聴いていた「未来授業」というpodcast番組に著者のプチ鹿島さんがゲスト出演していて紹介していた著作です。
1970年代後半から1980年代にかけて登場した “娯楽としてのテレビ番組” は、昨今のバラエティとは全く別物で異様に高揚したエネルギーに包まれていました。
本書は、そのころの「エンターテインメント番組の制作現場」を当時の関係者からの取材をもとに掘り下げたもので、とても気になる内容だったので楽しみに手に取ってみました。
“『川口浩探検隊』の探検隊” というコンセプトもいいですね。
実際、期待どおり刺激的なトピックが満載だったのですが、それらの中から特に印象に残ったものをいくつか書き留めておきましょう。
まずは、制作現場の実体、放映された映像以外の部分。
“川口浩探検隊” の放映で「見えているところ(テレビで映しているところ)」には、当然その前後のプロセスとしての舞台裏があるのですが、実はそこの方が圧倒的に面白いといいます。
そういった “まわり道” を知る当時のスタッフ、“川口浩探検隊” の黎明期から関わっていた小山均さんの回顧譚。
この番組に付いて回った「ヤラセ」についての本音です。
「視聴率を狙ったヤラセじゃない」、現場での高揚感のスパイラルを感じますね。この気持ちは理解できます。
さて、当時の番組制作関係者からの取材で見えてきた “川口浩探検隊” とは何だったのか?
これも当時の “テレビマンの矜持” でしょう。
“川口浩探検隊”、現在の制作環境では作り得ない突き抜けた番組だったようです。
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