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聴きポジのススメ 会話のプロが教える聴く技術 (堀井 美香)

(注:本稿は、2023年に初投稿したものの再録です。)

 著者の堀井美香さんは、2022年4月にTBSを退社しフリーとして新たな道を歩み始めた元TBSアナウンサーです。

 堀井さんの著作は、ちょっと前に「一旦、退社。~50歳からの独立日記」というエッセイ集を読んでいます。とても読み心地のいい内容でした。
 今度は、前著とはかなりテイストが変わった “HowToもの” ですね。

 「アナウンスのプロ」である堀井さんは、数多くの番組やイベントでインタビュアーとして “聞き役” を務めることが多々ありました。
 その経験をもとに、実践に役に立つ具体的な “聴く技術” を紹介していくのですが、併せて、“聴く心構え” や “聴くための話し方” といったテーマにも話題は拡がっていきます。
 そのあたりの問題意識も「アナウンスのプロ」としての心配りの表れですね。

 さて、本書を読んでの感想です。
 堀井さんが実践してきた “聴き手” というポジションでのコミュニケーションの深化のためのTips紹介も大いに参考になりましたが、もうひとつの楽しみは、話を進めていく中での “堀井さん流の言葉選び” でした。

 たとえば、「ママ友と距離を縮めるには『言葉のカロリー』を上げていく」の章の締め。

(p133より引用) どんな話になっても、たとえ自分と意見がまったく違っても「聴いた話は引き出しに入れるだけ」なのが「聴きポジ」です。議論に持っていかず、それぞれの子どもや家庭の違いや個性を堪能してください。

 “個性を堪能する” というフレーズはいいですね。“違いを認め合い、それをじっくり味わう” 、深みのある姿勢です。

 “聴く” ことは、“相手あっての営み” ですから、相手への “語りかけ” の感性も練磨されているのでしょう。



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