三国志談義 (安野 光雅・半藤 一利)
穏やかな画風で知られる画家の安野光雅氏と独特の切り口で歴史を論ずる半藤一利氏が、「三国志」について語り合うという内容に惹かれて読んでみました。
後漢に続く魏・呉・蜀、三国志の時代は、魏の流れを汲む晋による統一で幕を閉じますが、陳寿の「三国志」や後の羅漢中による「三国志演義」で後世に伝わりました。
半藤氏は、その時代を日本の幕末期と相対させます。
そういう観点からみると、双方に、とても個性的で人間的な魅力に溢れる人物が大挙して登場するのも道理だと言えますね。
本書では、三国志に登場する多くの英雄・豪傑たちをとりあげ、安野氏・半藤氏がそれぞれへの思いを語り合います。
その中で、二人ともの評価が高かったのが、魏の創始者曹操です。
三国志の時代には、軍師・謀将も大いに活躍しました。もちろんその代表格が、蜀の宰相として劉備を援けた名参謀諸葛孔明でしょう。魏の荀彧、呉の周瑜らがそれに続きます。
参謀というところから、安野氏は旧日本軍の参謀と三国志の参謀とを対比させます。
このように、本書での三国志に纏わるお二人の対話はとても興味深いものが多いのですが、正直なところちょっと残念な点がありました。致命傷といってもいいのかもしれませんが、私自身、まだ「三国志(正史)」も「三国志演義」も通読したことがないということです。
そのために、話題になっている人物や場面が、私なりの印象として具体的にイメージできないのです。
お二人の話題について行くには、いかにも素養不足ということでした。
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