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〔再読〕真説金田一耕助 (横溝 正史)

(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)

 図書館で予約している本が切れたので、だいぶ以前にダウンロードしていた電子書籍のコンテンツを取り出してきたのですが、一年前に同じようなシチュエーションで読んでいました。(たった一年前なのに気づかないとは・・・)

 横溝正史さんが、自らの作品の代表的キャラクター金田一耕助をモチーフに書いたエッセイです。
 こういう軽い小品も残しているんですね。もともとは、昭和51年9月から51回にわたり毎日新聞に連載された随筆を再録したものとのことです。

 昭和51年と言えば私も高校生で、当時、横溝さんの小説とそれを映画化した角川作品、さらにいくつものテレビドラマにはハマっていました。

 私のころの金田一耕助といえば、第一に石坂浩二さん、続いて古谷一行さんですが、初代は片岡千恵蔵さんだったんですね。なんとその他には、高倉健さん三船敏郎さんも演じたことがあるそうです。

 片岡千恵蔵さんのころの金田一映画は、原作とは違う犯人に作り直すようなこともしていたようで、横溝さんとしては複雑な心境だったとのこと。
 10年以上のブランクののち再登場した「角川映画」の金田一シリーズについての印象については、横溝さん自身、こう語っています。

(p22より引用) しかし、作者としてはこいねがわくば原作どおりにやってほしいし、せっかく作者と馴染みの濃くなっている金田一耕助のことだから、原作のイメージのままやってほしいことはいうまでもない。
 その点、こんどの「犬神家の一族」に期待している。
 シナリオを読んでみると、原作に非常に忠実だし、よれよれの着物によれよれの袴という石坂浩二君の金田一耕助も、いささか二枚目すぎるのを難として、原作者のイメージにわりと近いようである。私はいちど石坂金田一とロケをともにしたが、気取らないその飄々たる人柄も金田一耕助である。
「少し名探偵ぶり過ぎると、しょっちゅう監督さんに叱られてるんですよ」
と、いう石坂耕助君のことばからしても、市川崑監督の金田一耕助観がうかがわれ、その意味でもこんどの映画を楽しみにしていると、ここでちょっと提灯を持たせていただくしだいである。

 そして、この石坂金田一シリーズ(1976年(昭和51年)10月「犬神家の一族」公開)は、超大ヒット作品になりました。
 角川春樹さんが仕掛けた “出版と映画のコラボレーション” は、当時の社会現象として強烈なインパクトを残しましたね。



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