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チームの「やる気スイッチ」を入れる5つの方法 自ら動き出す自立型スタッフの育て方 (徳永 拓真)

(注:本稿は、2014年に初投稿したものの再録です)

 レビュープラス(当時)というブックレビューサイトから献本されたので読んでみました。

 組織活性化を目指すマネージャ層を対象とした典型的なHow To本です。
 テーマは、まさに「タイトル」そのものです。

 著者は、組織のスタッフを「5つのステージ」に分類し、そのそれぞれのステージごとに、スタッフ自らが能動的に動き始めるトリガを示しています。

(p8より引用) やる気のスイッチを入れる方法を100個知っていたからといって、使いこなせなければ意味がないのです。
 重要なのは、次の2つ。
①それぞれのスタッフがどのステージにいるのかをきちんと把握すること
②それぞれのステージに合った「やる気スイッチ」の入れ方を知っていること

 この2つが揃っていないと、スタッフのやる気のスイッチを入れることはできないのです。

 こういう問題意識がベースにあるので、著者が本書で紹介している内容は、かなり実践的です。
 5つステージの人物イメージもリアルですね。こんな感じです。

  •  第1ステージ「無責任な”デモ隊ステージ”」、

  •  第2ステージ「愚痴仲間が多い”愚痴集団ステージ”」、

  •  第3ステージ「会社に必要な”忠犬ハチ公ステージ”」、

  •  第4ステージ「プロ意識にあふれた”大将ステージ”」、

  •  第5ステージ「複数のチームを束ねる”大親分ステージ”」、

 そして、それぞれのステージに合わせて、自らが気づき行動を起こすヒントとして「具体的な質問」を紹介しています。
 この質問が、本書の肝です。質問により、考えるべき観点・切り口を明示し、自らの頭で考えさせる、さらに、その回答を書き出させることにより、その後の実行への義務感を植えつけるという方法です。

 しかし、この手法を徹底して導入するのは、かなり大変だろうというのが、私の第一印象です。

 いくつもの質問の回答を、それも複数書き出すというのは、(特に、低いステージのメンバにとっては)ハードルが高いと思います。

 ただ、その点は、著者も意識していて、メンターや指導者によるサポートの必要性も指摘していますし、最初から全ての質問に答え切るということを求めてもいません。
 要は、自分の現時点の立ち位置を自覚させ、今後目指すべきステージに昇るための具体的な行動を自らの頭で考えられるような「癖」をつけさせることです。

 しかしながら、多くのメンバは、本書を読んでも、自立的な行動を取るようにはならないでしょう。

 本書を読んで、本書で紹介されている方法を自ら実践し独力で自立できたとすると、その人は、すでに(本書を読む前から)十分な問題意識と自立心を持っているのです。
 「本を読んでそこに書かれていることを実践する」というのは、かなり高度な能動的姿勢です。そういう素地があるから、その人は自ら変われるのです。本は、その少しの手助けに過ぎません。

 やはり、本書は、そういった姿勢を持つメンバを育てるための「マネージャー」のための本ですね。
 とすると、最終的には、マネージャーの “メンバ育成に対する本気度” が問われることになります。これが、また難物です。



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