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寒い国から帰ってきたスパイ (ジョン・ル・カレ)
(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)
ちょっと前に読んだ手嶋龍一さんの本(汝の名はスパイ、裏切り者、あるいは詐欺師)で紹介されていたので手に取ってみました。
海外のスパイ小説としては、以前、フレデリック・フォーサイスあたりは何冊か読んだことがあるのですが、恥ずかしながら、このジャンルの巨匠ジョン・ル・カレの作品はこれが初めてです。なので、最初の代表作のこの作品を選んでみたというわけです。
この手の小説なのでネタバレになるようなコメントは避けるとして、印象に残ったフレーズをひとつだけ書き留めておきます。
(p316より引用) 平気でいられるわけがない。恥と怒りで、胸がむかむかしてくる……だが、おれは世間とは別種の人間だ。そんなふうに仕立てあげられている。どんなことにも、信頼できない男になっている。
今の流行りからいえば、派手なアクションシーンもなく、また話の展開にスピード感も乏しく、かなり地味な作品ですね。
その分、重厚なリアリティを醸し出していますが、“現実のインテリジェンスの世界” は存外こういうものなのかもしれません。
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